レトルト三角関係【毎週ショートショートnote】

俺たちは某食品会社のレトルトパウチ食品。
今回、株主優待品としてこの家に送られてきた。
俺はカレー、他にもハヤシライスやシチュー、鍋の素などが一緒だ。
この家の主は三十代の女性。かなり美人。
ひとり暮らしの割に部屋数も多く、暮らしぶりは良さそうだ。
株主優待品の俺たちが送られてくるんだから、株取引をしているということだろう。
会社でただ働くだけじゃなく、資産を増やすことを考えている頭が切れるタイプ。バリキャリってヤツか。
かといって仕事一辺倒なわけではなく、家事などもこなしている。
今も夕飯を作るためにフライパンを熱している。
材料を見るにオムライスを作るらしく、俺とハヤシライスがどちらともなく目を合わせる。
主はオムライスが好きで頻繁に作る姿が見られる。
「今日はオムハヤシだろう」
ハヤシのヤツが言う。
「いや、オムカレーだ」
俺も譲らない。
俺たちがこの家に来てから、主は５個入りの俺たちを取っ替え引っ替えしてる。まったく魔性の女だぜ。

（410文字）

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こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加します。
お題は【レトルト三角関係】で、追加お題は「魅力的な主人公を登場させる」でした。

さて、羽根宮はここで重大な勘違いに気がつきました。
主人公、カレーになってない？
でもまあ、家の主人は美人でバリキャリの女性だから、彼女が主人公でいいか。うん。
あるいは、レトルトパウチのカレーが主人公だって魅力的かもしれない。うん。

「レトルト」という意味を検索しましたところ、オランダ語で「加圧過熱殺菌をする釜」という結果が出ました。
レトルト食品は加圧加熱殺菌した食品のことで、広義には缶詰も含まれるとか。
羽根宮はパウチ（袋）に入ったもののことをレトルト食品というのかと勘違いをしていました。
勉強になりました。ありがとうございます、たらはかにさん。

ちなみに羽根宮の家では、父が株を少々やっておりまして、株主優待でレトルトパウチ食品などが届いたのです。
父はそれがきっかけで、最近初めてハヤシライスを食べたそうです。
今までは気に入ったものを繰り返し食べて、食べ慣れないものに挑戦をしないで保守的に過ごしてきた人なのです。
言い方を変えると、好きな肉と揚げ物ばかり食べて、あとはお寿司やお蕎麦など和食で過ごして来た人なのです。
現役で働いていたときに海外に出張があったら、現地のものは口に合わないと食べる前から決めつけて、日本からシリアルを持っていっていたような人なのです。
ハヤシライス、初めて食べてみたら美味しくて驚いたと言っていました。

話が逸れました。

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毎週ショートショートnote｜羽根宮糸夜　5/19文学フリマ東京 Q-38｜note

読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。