日記:図書館の大男
ㅤ短編集に収録されていた手塚治虫の『落盤』が面白すぎたので図書館へ。
ㅤ一階の机でユリイカ大江健三郎号を読んでいると、二階の吹き抜けから視線を感じる。そちらを見やると、大男が一階を見渡すように手すりに捕まって身を乗り出している。男は一階をぼうっと見つめたまま、固まったように動かない。
ㅤいつの間にか机に突っ伏して寝てしまっていた。がばと頭を上げると、例の男はまだそこに居る。柵の上に両手を乗せ、空に目をやっている。
ㅤ別に男はこちらを見ている訳ではない。が、彼から異様な視線を感