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自分は「強くない」と知ったとき、本当に強くなれた

私は、5年前、今とまったく違う人間でした。

当時、キャリアコンサルタントとして働きはじめて数年。
この仕事が大好きで、命掛けてこの仕事をやっているぞという自負があって、並々ならぬ心意気で働いていました。

だからこそ、でしょうか。私は、自分にも他人にも、とても厳しい人間でした。


入社2〜3年目から新人コンサルタントの育成にも関わっていたのですが、そのスタンスは完全なる「鬼教官」。

新人の初めてのカウンセリングに同席しては、「何ができてないか」をとうとうと指摘し続けて凹ませたり、「なんでこんなこともできないの?」とか普通に言っちゃったり。
私だったら絶対に「下に付きたくない」と思うような先輩でした。

しかも、これ、新卒に言うならまだしも、中途の方にも言ってましたからね。
若干27歳で、30代を泣かせるという無茶苦茶な奴でした・・・。


この頃まで、私、自分のことを「強い人」だと思ってたんです。

遡れば、中学生の時。家庭が崩壊寸前で、「自分の人生を自分で創るしかない」と決意してから、自ら進路を選んで、努力して、勝ち取ってきたと思っていました。

逆境から這い上がってきたというプライドがあったから、ちょっとやそっとじゃへこたれないぞ、と思っていたんでしょうね。

だから、私が思うレベルで行動できない人たちのことは、「自分の意志が弱いんだ」と決めつけていて、はっきり言ってしまうと見下していたんです。


でも、ある日、気付いてしまいました。
「私、どうしようもなく弱い人間だったわ・・・」ということに。

詳しくはこちらの記事に少し書いていますが、平たく言うと、挫折して、精神がボロボロになってしまったことがあったんです。

どんなに辛くても頑張ってきた自負があったので、こんなみっともない自分がいるんだ・・・ということが本当に衝撃でした。


でも、結果的に、あそこで挫折できてよかった、と心から思っています。

誰にだって弱い部分があるし、どう頑張ってもできないことだってある。
だからこそ、人は人と助け合って生きていくんだということを、このときに腹落ちしました。


そこから、昔の私を知っている同僚が「人が変わった」というくらい、まったく別人になりました。

くすぶっている後輩の話をじっくり聞く、その人の目線に立って寄り添って指導する、ということが私のポリシーに。
結果、会社では「再生工場」と呼ばれるようになり、それが私のブランディングになりました。

そして、自分の弱さをわかっているからこそ、柔軟に周りを頼ることを覚えたのも大きかった。

それまでは、自分の考えが絶対だと無意識で思っていました。

でも、自分の弱さを知ったからこそ、周りの同僚や後輩に尊敬や感謝の念が湧き上がってきて。
困った時に頼ったり、人の考えを取り入れて仕事することができるようになったんです。


そんなふうに変わったら、挫折してから低迷していた業績が回復。
部署全体が不調だった時期に、私の担当していたチームは絶好調。目標ハイ達成を成し遂げることができました。


例えるならば、昔の私は、ピーンと張り詰めた氷みたいな感じだったと思います。
パッと見て硬そうに見えても、実は脆くて、壊れやすい。


でも、今は、川の流れみたいなイメージかなと思っています。

カーブがあればその形状にそって曲がるし、段差に差し掛かればおとなしく落ちる。
でも、たとえ流れの中に重たい岩が出現しようが、そこを上手くかわしながらサラサラと流れ続けることができる。


こんなふうに、本当の「強さ」は「しなやかさ」だと、私は思うんです。

どんな状況がきても、その場にうまく合わせたり、人の手を借りたりしながら、自分のカタチを変えて乗り越えていく。

その方が、軽やかに世の中を渡っていけるんじゃないかな、と。


結構、仕事を頑張っている人たちの中に、昔の私みたいな人っていると思うんですよね。

そんな人たちに言いたい。

握りしめた拳をゆるめようよ。
拳をゆるめて、手のひらを解放したら、誰かと手を繋ぐことができる。
そうすれば、もっともっとラクに広い世界を見られるよ。

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