村上春樹さん作品と英語版

ロンドンに来る何年も前に、ねじまき鳥クロニクルの日本語版を読んだ。しかし、内容を殆ど覚えていなかった。。。何故だろうか、仕事で忙しかったからなのか、読んでいる時に注意散漫だったからなのか?

そして、気が付いた。あんなに夢中になって、何年も彼の本を読んでいたのに、作品の終わりを覚えていない。。。

そう、神隠しのように。。。

当時、読んでいる間は、その世界にどっぷりはまっていた。そこから出て、現実に戻ると、夢を見ていたかのように、すこしづつ内容を忘れていく。不思議なのが、途中の話は覚えているのだ。しかし、エンディングを全く覚えていない。。。

数ヶ月前、そう、いつものようによく行く本屋に、ぶらりと立ち寄って、絵本のリサーチをしてた後、ふとHarukiの新しい本が目に入った。

そういや、はるき好きだったなぁ、なんて、思っていた時の事、ふと、あたしの心の中であたしが呟いた。


『はるきの本買ったらいいよ』と。


そう、あたしは、13歳の頃に村上春樹さんのハードボイルドワンダーランドを読んで、どえらい感銘を受けて、(というよりは、ショックに近い)それから、彼の本を読み漁った。高校に入って、安部公房さんに興味が移り、少しづつ、春樹さんの本を読むのが少なくなっていった。そして、彼が、ドキュメンタリー的な主題で作品を出し始めて、少しづつ、わたしは離れていった。それらの内容は、敏感なわたしにはちょっと刺激が強かった。

それから、ロンドンに移り住んでからは、英語を習得するため、日本語の本を読むのをずっと辞めていたのだ。最近になるまで。

あたしのあたしは、こころの中であたしに話しかけて来たのに、あたしはあまりにも吃驚して、声に出していた。。


『え!?はるき!?え?なんで!?今?』


そう、周りにいたお客さんたちが、あたしをちら見してくるくらいの声で。

気分的に、新しい作品を買う気がしなかったので、以前に読んだことがある本にしてみようと思った。ちょっと、はずかしいなぁ、っと顔を少し赤めつつ、そ素知らぬ顔でHarukiを探しに行った。そして、見つからなかった。何故だ、あんなに有名なのに。。。そして、近くにいた、スタッフに、Harukiはどこかと尋ねたら、あたしの目の前で、指をさしていた。


不思議だ、見つからなかったのに、目の前に並んでいる。。。

やはり、あたしと春樹さんの本たちは、何やら不思議なご縁があるのかもしれない。。。

そして、どの英語版を読もうかと、考えていてふと、思った。そう、覚えていないのだ。話の最後を。。。人の話をちゃんと聞いてなかったんでしょ!?というのと同じなのか?それとも、あまりにもその世界に入っていて、瞑想状態に近かったのか。。。理由はどうであれ、覚えてない。。。じゃ、また同じ作品を読んでも楽しめるって事だわ。と、ポジティブに捉えてみた。

その場で、携帯電話を使って、日本語の春樹さんの本のあらすじを調べた。英語ではない。日本語でだ。その方が、またハルキワールドに戻って、何かしら記憶が戻ってくるかもしれないと思ったからだ。

いくつかのあらすじを読んで、あ、そうそう!と内容を思い出し始めたのだけれども、それでもエンディングは浮かんで来なかった。。。

そして、そのいくつもの作品の中で、あまりにも内容を覚えていなかった ” ねじまき鳥クロニクル ”を選んだ。読んでいた時も、読んだ後も、あんなに、、、『 やばい! まじ面白い、さすが春樹!』などと言っていたのに。。。Haruki セクションに立って約10分程度、(あたしにしては珍しく、選ぶのに時間が掛かっていた)たまたまなのか、ちょっと前に話かけたスタッフが、あたしの近くでずっと、他の本を整理していた。そして、あたしを何度もチラ見して来ていた。不思議だ何故だろう。

あたしが、Harukiの本をひとつひとつ手にとっては、読まずに、目をつぶって、エネルギーを感じていたからなのか、もしくは、携帯電話で春樹さんの本を調べていたから、ヘルプしてくれようとしていたのか、何とも彼女のそわそわ感が気になっていた。

やっと決まった本を片手に、お会計に行き、支払いを済ませた。とってもとっても色んな気持ちが入り混じっていた。ちょっとドキドキ感と、一度読んでいるから、新しい発見はあるだろうか?などと思いつつも、エンディングを覚えていないのだから、それは、それで、かなり楽しみだった。

家に帰る電車の中で、ウキウキでその本を読み始め、あたしは、思った以上に吃驚した。

家に帰って落ち着いてから読めばよかったのだろうか。いや、読む場所など関係はない筈だ。なんてったて、ハルキワールドに入ったのだから。。。

自分を整えて、何度も目を通して思った事は変わりなかった。


雰囲気が全然違うのだ。


以前に読んだ日本語版と今回の英語版を比べると何かが違う。笑いが出るほど違うのだ。

英語で読んでいるからなのか、なにかこう、さっぱりしていると云うか、ジョークを云ってるっぽいというか。

日本語版のあのなんとも言えないめっちゃ何か隠されてる感。あれは、日本語からの言霊なのか、それとも、日本文化から流れ出てくるエネルギーだったのか。

文章から受ける感じが全く違うのだ。あの当時の自分が読んでいたから、違う雰囲気に感じるのだろうか?ま、それもあるな。と思って、ふと、思い出した。たまたま、何年も前に誰か置いていった、日本語のねじまき鳥クロニクルが家にある事を。家に帰ってから、腑に落ちないなと思いながら同じページを読み合わせてみた。

やはり、全然感じが違う。今のあたしが読んでも、文章から受け取る雰囲気はあまり変わらないなと思った。

そこで、この2つの言語を通じて同じ文章を表現するにあたって、どれほどまでにエネルギーが違うのかをパートナーに熱く語った。もちろん、翻訳者の方のエネルギーも多少は絡んでいるんだろうけれども。

色々話した結果、それぞれの文化や歴史のエネルギーも入ってるからだよねと云う事で話しは纏まった。

その時に、彼が突然言ってきた言葉。

『本を逆さまにして読める?』


へ?何のこと?


本を逆さまにして読む。

そう、子供のように、ただ逆さまにして読むのだ。そして、思った。あたしは、そんな事をしたことがないと。いや、子供の頃もしかしたらあったのかもしれない。憶えていないだけで。

日本全国で、どのくらいの人数が " 本を逆さまにして読む " という事をしたあるのだろうか。

そして、あたしはやってみた。なんだろう、初めてやることは、何故こんなにドキドキするのだろう。期待感からなのか、読む事なんて出来るのだろうか?という気持ちからなのか。

あれ?

まさかのまさか。思ったより読める。いや、むしろ楽しい。なんだろう、この解放感。ずっとこのまま読む事も出来そうなこの喜び感。鏡の国のアリスの世界にいるような気分。あまりにも興奮しすぎたので、ちょっと普通にもどしたら、頭がくらくらした。どっちが現実?と一瞬思うくらいに。

何故、子供の頃にやった事がなかったのか。ま、性格や育てられ方にあったのだろうけれども。日本語は、3つのキャラクターで構成されてる事がほぼ多い。ひらがな、かたかな、漢字。ややこしい。それに比べて、英語は基本、アフファベットだけだから読みやすいのだろう。


日本語。日本文化。

日本国から外に出てから分かる様々な事。


柔らかいエネルギー、愛のエネルギー、思いやりのエネルギー


この地球のみんながもっともっとそれらを感じる事が出来るようになるといいなー。なんて、思いつつ、

The WIND-UP BIRD CHRONICLE ( ねじまき鳥クロニクル)を逆さにして読む、、、ふふふ。





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