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こだわりからその人が見える

あなたにはこだわりはあるだろうか。

こだわりというと大げさに聞こえるかもしれないが、自分がこれだけは譲れないと思っていること、または特別に思い入れのあること、心掛けていることなどと言い換えてもいい。

あなたのこだわりの中には、あなた自身が隠れている。
こだわりを知ることで、あなた自身を知ることができる。

            
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先日、姉と会話した時のこと。
姉から出た「こだわりがないのがコンプレックス」という言葉は意外でしかなかった。私から見れば、姉は多くの人から好かれる人気者であり、賢く楽しく日々を生きているように見えたからだ。そんな姉にコンプレックスがあるとは思えなかったが、なるほど「こだわりがない」というのも悩みになりうるのかと思った。

私も「こだわりってある?」と昔友人にたずねられた時にすぐには思いつかず、「たたんだタオルを重ねる時に、端の向きを揃えるとか……?」なんてちょっとずれた答えを返したことがある。私も、自分ではこだわりなんてないと思っていた。

だが、姉からは
「あんたはコーヒーが好きで、わざわざ好きな豆を取り寄せて入れているじゃない。それってこだわってるってことでしょ」
と言われた。

たしかに私にはお気に入りのコーヒー屋が存在し、現在住んでいるところからは遠いにも関わらず、もう何年も続けてそこの店のコーヒー豆を取り寄せている。しかしそれは、ただそこの店のコーヒー豆がいちばん美味しいと思っていたのと、自分の好きな店を応援したい気持ちからであり、特別こだわっているつもりはなかった。現に、コーヒー好きを公言しているからか家族や友人知人からコーヒー豆を貰うことがあるが、貰った時はとても嬉しいし、きちんと最後まで飲み切る。お気に入りのコーヒー屋があるからといって、そこに固執しているわけではない。

しかし特別コーヒー好きでない姉からしてみれば、私が同じコーヒー豆をずっと取り寄せていることは、十分に「こだわっている」ように感じられたようだ。

姉から言われて初めて、私はコーヒーにこだわっていることに気がついた。コーヒー豆に関してだけではない。いつもコーヒーを淹れる時は温度を計っているし、抽出する量だって決めている。一日のうち朝に飲むか昼に飲むか夜に飲むかによって、コーヒー豆の種類を変える。ここまで書くと、たしかにこだわっていると言えそうだ。

だがしかし、私は今でもコーヒーにこだわっているつもりはない。なぜなら、ただ好きでそうしているだけであり、そして私にとってコーヒーを淹れる時の温度や量や種類の調整はすでに当たり前のことになっているからだ。当たり前のことを当たり前にやっているだけだから、そこに特別にこだわりがあると自分では思わない。しかし、コーヒーにあまり興味のない人と比べたら、十分にこだわっているのだろう。なるほど納得である。

姉との会話が進むうちに、姉のこだわりも見えてきた。
それは「他人に挨拶をすること」である。職場で、プライベートで、他人に他人に挨拶をすべき時にきちんと挨拶をすることを心掛けているというのだ。だがそれも、姉は特別こだわっているとは思っていないらしい。冒頭で言ったように、「こだわりがないのがコンプレックス」と言うくらいである。しいて言うなら、という感じで出てきたものだ。

だがここに、姉が「物」よりも「人間関係」を重要視しているという価値観が垣間見える。現に姉は「コミュ力おばけ」と言ってもいいくらい、コミュニケーション力が高い。姉とのおしゃべりはいつも心地よく、身内である妹の私でも、姉の人間性に魅了される。姉がいる場にはいつも軽やかな空気が流れ、その場にいる人の笑顔が増える。姉自身も、「人とのコミュニケーションで困ったことはない」と自覚しているみたいだ。

そんな姉が見せたこだわりは、やはり人間関係に関するものであった。無意識にこだわりを持ち、人との関係を大切にしているからこその人気なんだろうと思う。

比べて私はというと、

・コーヒーは豆から挽いて淹れる
・本はできるだけ本屋で買う
・服は試着してから買う
・帽子が好きでよく被る

などが思い浮かんだ。自分ではこだわりとは思っていないが、普段意識していることたちだ。見事に「物」に対することばかりである。笑
「コミュニケーション力がない」と昔から悩んできていたが、もしかすると他人への興味が薄いからだったのかもしれないな、なんて思う。

これらのことから思ったのは、
「その人が大切にしていることから、その人が分かる」
ということである。

「人付き合いに関してなら、こだわりあるかも」という姉の言葉には「なるほど、だから人付き合いがうまいのか」と思わせられた。
私が好きなコーヒー屋の店主は、コーヒーに関してのこだわりがあった。話を聞くたびに、「だからここのコーヒーはこんなに美味しいのか」と納得した。

こだわりからは、その人が人生において何に重きを置いているかが分かる。私は見事に「物」に関することしか出てこなかった(だからといって人付き合いが嫌いなわけではない)。実は昔から、ものづくりに真剣に打ち込む職人たちに憧れを抱いていることに気付いた。自分のこだわりを知ることで、自分自身を知ることもできるのだ。

あなたにはこだわりはあるだろうか。
もしかすると、日ごろ当たり前のようにやっていることが、あなたのこだわりかもしれない。自分が大切にしていることを知って、自分自身を知るきっかけにしてほしい。

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