自分と組織に好循環を生む「やりきる力」を養う方法
こんにちは。「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」専任講師の齊藤です。
この夏休み、小6の息子の尻を叩きながら、「やりきる力」についてふと考えました。
今回は大人も子供も身に付けたい、「やりきる力」がどうやって培われるのかについてお伝えします。
■やりきる人は影響力を持つ
「うちの組織でなにかやろう!となっても、結局いつのまにか立ち消えになって 決めたことが全うできないんですよ」
先日ある企業様との打ち合わせで、そんなお悩みを伺いました。
じつは「やりきる力」は組織への態度に影響を及ぼし、仕事の成果を上げます。
さらにそんな組織内での態度や行動が上司からの人事評価に反映される、という状況を生みます。(*注1)
これは私の仮説ですが、個人の「やりきる力」は基礎的能力・性格的特性によるところはあるものの、周囲へも大きく波及するのではないかと考えています。
■認知能力と非認知能力
「認知能力」とは、IQ(知能指数)に代表される、点数で数値化できる知的能力。
対して「非認知能力」とは、忍耐力やリーダーシップのような数値化することが難しい内面的なスキルのことを言います。
やりきる力は「非認知能力」に含まれます。
「認知能力」は社会に出るまでの学業で培われるものですが、社会に出てからより必要となるのが「非認知能力」です。
人生においてプラスの結果を出すには、どちらもバランスよく備えているのが理想です。
■パフォーマンスが上がる仕組み
課題に対するパフォーマンスは、以下の流れで上がっていきます。
1.動機付けが、
↓
2.「認知能力」や「非認知能力」に影響を及ぼし、
↓
3.課題に対するパフォーマンスを上げる
「何のためにやるか」の動機付けが起点となって、「認知能力」「非認知能力」へ影響し、結果的にパフォーマンスが上がるのです。
*出典:Kautz,T.et al.(2014) Fostering and Measuring Skills -OECD Education Working Papers
■やりきる力はどうやって培われる?
一般的にやりきる力を含む「非認知能力」は、幼少期~学童期に育ちやすいと言われています。
・遊びながら伸ばせる
・子供は新しいことに挑戦したり、多くを吸収する力が高い
のが主な理由です。
また「非認知能力」が育つには、他者との関わりがあることが条件です。この点、繰り返し練習したり暗記したりして伸ばせる「認知能力」とは大きく異なります。
自分で工夫して作った作品をお友達と見せ合ったり、他の子のアイデアを取り入れてみたり、意見がぶつかった時には交渉や調整を試みたりと「他者との関わり」の中で学ぶことはじつに多くあるのです。
■やりきる力は後天的に備わるか?
答えはもちろんYesです。やりきる力は後天的に身に付けられます。
他者との関わりの中で、
・いまより少し難しいことにトライする(挑戦する勇気を持つ)
・成功体験を積み上げる(“できる”自信をつける)
・トライする事柄は変更してもよいとする(心に柔軟性を持つ)
・やりきる力を持つ人と行動を共にしてみる(真似る・吸収する)
・短期だけでなく長期の目標を視野に入れる(長期目標を立てる)
ことでやりきる力が育ちます。
またやりきる力の発揮には、応援してくれる家族や仲間の存在も大きいでしょう。
私自身、やりきる力を発揮しているときの状態は、動機や目標が明確で、やりきった後の自己イメージが見えており、それを得たいという強い欲求があるときです。
あなたの組織のメンバーはいかがでしょうか。
(*注1)『従業員の非認知能力と組織への態度が人事評価に与える影響』を参照 Tomohiko Saito/University of Tsukuba Graduate School/2021
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