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上司と部下の「わかり合えない」は教育で乗り越えられるか? 管理職になりたくない若手問題を考えてみた

今回は孔令愚さんの記事『「わかり合えない」を乗り越えるために教育があると思う』を紹介しつつ、「部下が管理職になりたくない問題」について考えを書きます。


孔令愚さんの記事を取り上げた理由

「わかり合えない」を乗り越えるために教育があると思う』は孔さんがマクドナルドの店長をしていらしたときのお話。ポテトをつまみ食いしちゃうような高校生アルバイトにどう接したらよかったかを振り返っている内容です。

これを読んで「この話、管理職になりたくない若手問題と重なるなぁ」と思ったのが、本記事のきっかけになっております。

孔さんの記事は全般的にネタの切り取り方が絶妙で、「自分に関係ない」と思えるものが少ない。さらに文章の解像度がちょうどいいため読みやすいです。

正直どの記事をネタにしても書けそうでしたが、今回は企業教育を行っている弊社と関わりの深い記事を選択しました。


アルバイトの高校生がポテトをつまみ食いしてしまう理由

平気でポテトをつまみ食いしたり、勝手にコーラを飲んでしまう高校生アルバイト。

「ふざけるな!」と叱られてもしかたない状況ですが、そもそもなぜ彼らはそんな信じられないことを平気でできてしまうのか? 

孔さんの答えはこちら。

社会で働いたこともない未成年のアルバイトにとって、自分の半径2メートルが世界のすべてであり、ポテトの1本ぐらいつまみ食いをしたからといって誰にどんな影響があるのかわからないのは当然です。それなのに頭ごなしに叱っても相手は「何で叱られるのか」もわからないし、叱られることが自分にとってどんな意味を持つのかも当然わかりません。

「わかり合えない」を乗り越えるために教育があると思う

店長としてやるべきは叱るのではなく、視座を引き上げるための教育だったと孔さんは振り返っています。

アルバイトの高校生は、見えている世界が狭すぎた。だからもっと広い範囲に考えが及ぶように彼らの視座を引き上げなければならない。

これを図にするとこんなかんじ(孔さんの記事の図を参考に作成)。

本人が見えている世界が狭い状態から、教育を通じて視座を引き上げ、見えている世界をほんの少し拡げてあげることが、本人に行動を改めていただくうえで必要なことです。

「わかり合えない」を乗り越えるために教育があると思う

視点を引き上げることで見える範囲が広くなる。教育がその手段になるというわけです。


管理職になりたくない若手問題

管理職になりたくない若手にも同じ構図が当てはまるのではないでしょうか。

プレーヤーの視点で管理職を見ていると、辛い部分がやたら目につきます。

「責任を負わされたくない」
「残業が増える」
「わりにあわない」

管理職を引き受ける人はツラい部分があるのは承知の上で、それ以上にポジティブなところにも目を向けているはず

「チームを動かして仕事するのがたのしい」
「経営を近いところで見られて勉強になる」
「自分の市場価値を高めている」
「自分には○○という使命がある」

見えている範囲は管理職を引き受ける人の方が広いです。なぜならプレーヤーも経験済みだから。

見ているものは同じだけれど、見える景色が違っている。

この違いが高校生アルバイトのように視座の高さによるものなら、若手の視座を引き上げることが「管理職になりたくない問題」を解決する糸口になりそうですが、問題は「どうやって視座を引き上げるか?」です。


教育だけで視座は引き上げられるか?

人を導く方法として、教育はよく使われます。

ただ若手の視座を引き上げることに関しては「はたして教育だけでできるだろうか?」というのが個人的な意見です。管理職になるかどうかは「教えられて決めるものではない」と思うからです。

20代、30代で、管理職どころか「自分でビジネスを立ち上げたい」「ディレクションがやりたい」というアグレッシブな人はたくさんいます。

彼らは「えーふつうに会社で働くだけでいいよー」という人より明らかに高い視座を持っていますが、誰かに教育されたわけではありません。

先行く人を見て「あ、自分もこんなふうになりたいな」と思ったから、自ら進んでその道に入ろうと思ったはず。教育するにしても、この部分を無視することはできません。

つまり若手が高い視座をもつには、能動的なプロセスが必要だということです。これを踏まえての教育なら、若手を伸ばすことができるでしょう。

高校生の視座が教育で引き上げられたのは、まだまだ思考に柔軟さがありティーチングが有効な時期だったからかもしれません。


若手の視座を引き上げる方法

視座を高めるには能動的なプロセスが必要。それなら「マーケティング」として考えてみてはどうでしょう。

※わたしはマーケティング担当なので、どうしてもこういう発想になります。ご了承ください。

マーケティングとは、簡単に言うと「営業しなくても売れる仕組みを作ること」です。

管理職になりたくない問題に当てはめると「若手を説得しなくても、管理職になってくれる仕組みを作る」という発想になります。

なんかぴったり当てはまりませんか?

とはいえ「具体的にどうするんだ!それができれば苦労しないよ」というご意見もあるかと思います。

そんな方は、まずこの3つから考えてみてください。

  • 若手のニーズを調査する

  • 意識的に情報発信をする

  • 「管理職」という商品を磨く

順番に解説します。


若手のニーズを調査する

管理職になることを依頼するとき、どんな言葉を掛けますか?

「きみも年齢的にそろそろどうだね?」
「給与の面でもプラスだと思うんだよ」
「キャリアアップを考えて、経験しておくのもいいんじゃないかな」

これらは相手に刺さっているでしょうか?

若手が考えていることに合わせた言葉が掛けられたら、「わかりました。やってみます」となる可能性は高いです。

逆にまったく食い違っていたら「自分には関係ない」と思われて終了です。

相手に刺さる言葉をかけるためには、若手がどんなことを考えているかを知る必要があります

  • 何を重要視しているのか

  • 今後どうなっていきたいと思っているのか

  • どんな働き方がしたいと思っているのか

とはいえ、聞いたら教えてもらえるものでもありません。

普段からよく話を聞いて、仮説を立てて、また話を聞く。その繰り返しで徐々に答えに寄せていくイメージですね。


意識的に情報発信をする

情報発信は社外に対してだけするものではありません。社内のことでも案外みなさん知らないものです。

下から見ていると管理職は、よくわからない世界です。それだけに大変な話とか、口論になっている場面などがクローズアップされて伝わってしまいます。

だから「そんなこと、ありませんよ~」という情報発信を意識的にやる必要があるのです。

「いいことは悪いことの3倍言わないと伝わらない」と言われています。

ご主人は奥さんに感謝しているつもりだったのに、奥さんが「あなた、わたしにまったく感謝してくれないわね」と怒ってしまうのはこのパターンです。

話すだけでなく、書く、見せるといった方法も使えますので、まずはどんな方法で管理職のいいところをアピールできるか考えてみましょう。


管理職という商品を磨く

そもそも自分が「管理職なんてやるもんじゃない」と思っているなら、管理職の仕事自体を変えていく必要があるかもしれません。

はっきり言ってよくない商品は売れません

見せ方を工夫するだけでなく、商品をよくしていくのは必須です。

よくなっていく過程はストーリーになります。ストーリーは見ている人の心を動かす力を持っていますので、管理職をよくしようとするあなた自身の姿が若手に刺さる可能性もありますよね。


まとめ

以上、孔令愚さんの記事『「わかり合えない」を乗り越えるために教育があると思う』をもとに、管理職になりたくない問題について考えてみました。

孔さんの記事は、予想を裏切る切り口が気持ちいいので、ぜひほかの記事も読んでみてください。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございましたー。

この記事を書いた人
加藤久佳(かとうひさよし)
note編集担当。「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」でマーケティングをやってます。

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