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人生のコントローラー

「夫から逃げさえすれば全て良くなる」
そう単純に信じていた私は更なる地獄へ落ちていきました

それはPTSDという、私の心が生み出す「地獄」でした

その回復期の課程で、私は多くのDV被害者の方達に出会い、お話しを聞く機会を得ました
そこで、もう既に離婚が成立している方達(その当時の私からすると「先輩」にあたる方々なのですが)のお話しを聞いて少なからずショックを受けたということがありました

ある方は離婚してから4年経過しているのに、いまだPTSDの症状に苦しんでいらっしゃいました
また、ある方は離婚が成立してからも、あの手この手で夫から嫌がらせや脅迫を受け続け、そのたびに恐怖と混乱に突き落とされていました

そしてご自身だけではなく、お子さんも精神的にダメージを受け、親子で精神科に通院している、そんな方もいました

離婚してもなお、「DV」は続いているのです
離婚しているのにもかかわらず、夫からの「支配とコントロール」から逃れられていないのです
私はとても驚くと同時にショックを受けました

それと同時に気付いてしまいました
「離婚しただけでは終わらないんだ」ということに

「離婚」という法律的に「別れる」ことと、精神的に「別れる」ことは全く別のことなのだ、ということを痛感しました

2人の間にできてしまった「共依存」という「繋がり」は
離婚という方法では解消できないのです

これを断ち切らない限り、私は夫と繋がり続けることになってしまう
離婚できたとしても、どんなに離れて暮らしていたとしても
この目に見えない「繋がり」を断ち切らなくては
本当の意味で私が自由になることはないのだと気付きました

それは当時、私が苦しんでいたフラッシュバックや悪夢などの症状にも関係していると思いました

リアルよりリアル

フラッシュバックとは超簡単に言ってしまうと「過去の反芻」です
過去の出来事を繰り返し追体験し、その際に感じた恐怖などの感情も蘇ってくるというものです

フラッシュバックの恐ろしいところは
「リアルよりリアル」だというところ

実際には「今ここに」いない人をリアルに感じ
実際には「今ここで」起こっていない出来事を感じ
実際には「今は感じることはない」はずの感情を感じる
しかも、実際にそれを体験していた時よりもリアルに強烈に体験します

「過去にした経験」を実際には起こっていない「現在」に体験しているのです
なんだかパラレルワールドのような変な感覚になりますね(笑

「今は別居して会うこともない、声をきくこともない夫
なのに一緒にいた時よりもリアルに存在を感じる
その存在を脅威に感じ、常に恐れて過ごしている」

全ては「私の心の世界」が生み出しているものでした
私が自分の「心の世界」の中を生きているのだとすれば
「PTSDからの回復」も、「夫との繋がりからの解放」も
自分自身の「心の世界」を「変える」必要があるのです

これを逆に考えれば「心の世界」を変えることができれば
現実の世界、「リアル」も変わるということになります

心の世界

過去に体験したことは残念ですが忘れることはできません
なかったことにもできません

ですが今この瞬間と未来は自分で選択していくことができます
それは過去にどんな出来事があろうと、それとは全く無関係です

そして他人や環境は自分でコントロールすることはできません
ですが自分自身だけはコントロールすることができます

自分が何を考え、何を感じ、どんな行動を取るのか
これだけは自分の意思で選択することが可能です

そして「思考と感情」そこから生まれる「行動」が自分の人生を作り上げていきます
「どんな人間で在りたいか」
「どんな人生を生きていきたいか」
それを明確にすることで「今」の自分が何を選択するかが決まります

もちろん過去を無視することはできません
それによって生じている痛みも無視することはできません
むしろ、無視してはいけないと思います

ただ、自分が常に「今この瞬間」から未来へ向かって生きている存在なのだということを忘れてはいけないと思うのです

「逃れられない過去の経験」の結果としての「自分」ではなく
これから作る「未来へ向かう存在としての自分」
そのうえで過去の自分の全てを丸ごと受け入れ、認め、許していく

過去にどんな経験があったのだとしても
どんなに自分を傷つけ苦しめてきた人がいたとしても
どんなに理不尽だ、と思うような環境があったのだとしても
それらに大切なご自身の心を支配させてはいけないのです
そして、ご自身の大切な人生を支配させる必要もないのです

私達には自分の人生を創造していくだけの「力」があります
それは過去でも未来でもなく「今この瞬間」の自分だけが持つ力です
それを信じて「今ここから」自分がどう在りたいかを明確にする
そしてどんな未来を選択するのかを明確にする
その時に私達は自分達の持つ「力」と
自分の人生のコントローラーをこの手に取り戻すのだと思うのです




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