毒にも薬にもならないのは嫌です。 せめて毒になりたい。

毒にも薬にもならないのは嫌です。 せめて毒になりたい。

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【1話1分以内に読めます!】予定調和なし。即興小説は、とても刺激的です。

私は小説家には向いていないと思います。 表現することは、大好きです。 でも、表現をするなかで、 小説とはこうあるべき、に当てはめる気もなく、 人様に認めてもらおう、楽しんでもらおう、 という気持ちもあまりなく、 自分がただただ楽しいと思えるものを書いています。 いま書いているものは、 小説の体をなしておらず、 展開もふざけてるし、 小説なめんな、と言われてしまいそうですが、 個人的にはそんなのどうでもよくて、 ただただ、楽しみながらやっています。 自分の

    • 【風】

      転がっていた鉄パイプを手に取ると 私は渾身の力を込めて 憎しみをかち割った 飛び散る血潮は風に乗って 燕の巣を赤く染めた 夢の中で見た 幼い頃の思い出は 虫が湧き 酷い臭いを放って 私を目覚めさせる 憎しみの墓標には 悲しみと孤独の名が刻まれ 私を誘い 血糊のついた鉄パイプは唸りを上げて その墓標を真っ二つに叩き割った 遠くで泣く二匹ののら犬 私は片方の犬だけを執拗に追いかけ回していた 風が冷たい

      • 【小説はおやすみ】重大な秘密

        赤レンガの隙間には いつか見たあのテントウ虫 楊枝を使ってほじくってみたところ 汁を出して爆ぜた 赤い夕陽と冷たい風 干しっぱなしの雨傘に日差しがたまる 私は今 遠くに響くサイレンを聞きながら テントウ虫の残骸を掻き出して 海に流した ひらり ひらり カーテンが揺れる 窓辺にはライフルを構えた男が私を狙っている 弾丸には 「約束」の文字が刻まれていた

        • 【日記】

          品川駅近く。 真夜中、日付が変わった。 辺り一帯、獣の匂いが漂う。 トラックで運ばれていく家畜たち。 ビルに反響して怯える声が響き渡る。 立入禁止の看板が立つ門の中をトラックが入っていくのをみた。 しばらくすると家畜たちの叫び声が聞こえた。 その声はまさに断末魔。 私達は日々、美味しいお肉を食べる。 その断末魔あっての食肉であることを忘れないようにしたい。 ありがとうございます。

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        【1話1分以内に読めます!】予定調和なし。即興小説は、とても刺激的です。

          【一言二言】

          自分の人生なんだから、幸せになるのも不幸せになるのもその人の勝手。 自分に不幸があったときに、それを人のせいにするな。 自分で選んで、自分で決めろ。 自分で決めたのなら、どんな結果になろうともそれを受け入れろ。 人のせいにするな。

          【一言二言】

          【1分で読了。即興小説】ストーカー

          【お題】 ストーカー 【本文】 憎きストーカーをついに捕らえた。 こいつは私の個人情報をどういう手を使ったのかわからないが抜き出し、プライベートを盗み見ていた。 私はまずこいつを椅子に縛り付け、右目にグーパンチをかました。 のた打ち回るストーカー。しかし、どこか喜んでいるようにも見える。少しニヤついている。 腹が立った私は、ニヤつく余裕がないように手の小指を折ってやった。 痛がる素振りは見せたが、私に折られたことが一生の思い出として体に刻まれるとかなんとかほざいたので

          【1分で読了。即興小説】ストーカー

          【1分で読了。即興小説】人知れず夜道を歩く

          【お題】 夜間ウォーキング 【本文】 高層ビルの間に歩く足音は ネオンの響きに溶かされて やがてくる不条理な出来事にも目もくれず ただひたすらに夜道に流れていく まばらに行き交う人々に 道を聞くこともできないまま彷徨う青春は 酔っ払いの屍を踏みつけながらイライラしている きっと不安なのだろう 心はやがて氷水を沸騰させるに違いない 寝ぼけたまま 無計画に 感覚だけを頼りに歩き続ける 電車が通る その度に なんとなく知る方角 私は今 遠い夢の中 歩いて歩

          【1分で読了。即興小説】人知れず夜道を歩く

          【1分で読了。即興小説】運動会で卵を産んだ話

          【お題】 産卵 【本文】 今日は娘の運動会だった。 大勢の人がいる中で、私は校庭のど真ん中で卵を産んだ。 私はPTAの役員として、教員とともに運動会の運営のお手伝いをしていた。 事件は玉入れの競技中に起きた。 私は玉入れの籠を持つ係で、子どもたちが玉を必死で空に向かって放り投げる中、 籠の支柱にしがみつく形で耐えていた。 玉は当たると意外と痛くて、歯を食いしばり、目を閉じて終了の笛が鳴るまで苦痛な思いでいた。 一人の男の子がそんな私の姿を見て面白がって、わざと私に

          【1分で読了。即興小説】運動会で卵を産んだ話

          【1分で読了。即興小説】空を見上げる

          【お題】 夜空 【本文】 空気が澄んでいる。 冷たい夜。 人々が至るところで、夜空を見上げている。 いつもは絶えず人々が流れているこの場所も、今は皆立ち止まり、じっと動かない。 私も人々につられて、空を見上げる。 いつもどおりの夜空だが、なぜだか今夜は魅入ってしまう。 周りの人々も、ずいぶん長いこと夜空を見上げている。 雪が降ってきた。 私達はこれを待っていたのだろうか。 大して感動はないのだけれど。 しばらくして気づいた。 私達はこの雪に興味はないのだと。 私

          【1分で読了。即興小説】空を見上げる

          【1分で読了。即興小説】罪深き青年たち

          【お題】 罪深き青年 【本文】 残響の欠片が胸に刺さり 遠くの方でこだまする 野蛮な感情は心に支配され 行き場を失い 眠気と戦いながら豪雪の中をゆっくりと歩く 一歩一歩 後悔を踏みつけて 私は今 氷の中でじっくりと 涙に覆いかぶさり 懴悔する 罪深き人生を呪って

          【1分で読了。即興小説】罪深き青年たち

          【1分で読了。即興小説】タンカー船から突き落とされたときの話

          【お題】 タンカー船 【本文】 真夜中の勤務中、私はタンカー船から何者かによって突き落とされた。 それまでの記憶はほとんどないが、なぜだか意識が朦朧としていて、気づいたら甲板にいたことだけは覚えている。 きっと誰かの恨みを買っていたに違いない。 冷たい海に飛び込んだところからははっきりと覚えている。 巨大なタンカー船の側面がすぐ側にあり、唸りをあげていた。波はどす黒く何も見えない。 私は船乗りであるが、いつも真夜中の海に飛び込むことを想像して恐怖している。それが今、現

          【1分で読了。即興小説】タンカー船から突き落とされたときの話

          【1分で読了。即興小説】中華街ぼいん

          【お題】 中華街ぼいん 【本文】 中華街に彼女と旅行に行ったときのこと。 過去に何度か来たことがあったのだが、何だか当時とは様子が違う。人々が何やらピリピリしている様子。 彼女とその違和感を共有しつつ、まぁいいか、気のせいだ、楽しもうと一旦このことは忘れた。 しかし、奥に進むにつれて、時間が立つにつれて、その違和感は徐々に強まっていった。 彼女が言った。 「やっぱ変だよ」 「なんか怖い」 私も彼女を落ち着かせながらも警戒を強めていった。 だいぶ街の奥に進んだとき

          【1分で読了。即興小説】中華街ぼいん

          【1分で読了。即興小説】塾講師

          【お題】 塾講師 【本文】 「ついにこの日がやってきました!」 「私達は今日のために頑張ってきました」 「必ず夢は叶います!」 「私達は必ず勝ちます!」 「辛いときも苦しいときも耐えてきました」 「全力で戦い抜きましょう!」 「そして、勝利を掴みましょう!」 激励。 塾の講師たちは私達に最後のエールを送った。 生徒たちの中には涙する者もいた。 誰もがこの激励に勇気をもらい、闘志を奮い立たせていただろう。 ただ一人、私を除いては。 私はこのエールの中、一人

          【1分で読了。即興小説】塾講師

          【1分で読了。即興小説】死の島

          【お題】 死の島 【本文】 この島では数週間前から、とある感染症が蔓延し、島民の約80%が死滅している。 その病にかかると数日のうちに、皮膚がどろどろに溶けていき、最期には醜い姿になって息絶える。まさに死の病であった。 感染源は気体に舞う謎の胞子で、薄暗い湿った場所に発生していることが判明している。 島民は国から完全に見捨てられ、孤立状態にあった。 島民はこの病になすすべもなく、ただ神に祈るのみ。 そんなある時、事件が起きた。 一人の少年にこの感染症に対する免

          【1分で読了。即興小説】死の島

          【1分で読了。即興小説】旅

          【お題】 旅の途中 【本文】 ただならぬ気配に木々がざわめく 時の流れと緩やかに肌を撫でていく風は 私の遠い日の思い出を揺り起こす 赤く光る閃光は 遠くの方で気づいてほしいと泣き出して やがてその声は 私の立っているこの地に 希望という名の花を咲かせる 行く先はわからない さ迷いながらゆっくりと 心配はいらない 少しずつ たどり着くべきところまで この身を連れて行ってくれるはず 怖がることはない 少しずつ この身を変化させ あるべき姿に変えてくれ

          【1分で読了。即興小説】旅

          【1分で読了。即興小説】山の恋心

          【お題】 山の恋心 【本文】 「おかーさん!」 「おかーさん!」 山々にこだまする甲高い声。 叫び声の主はこの山の麓の村に住む少女。 彼女は道中、母親とはぐれ、一人野山をさ迷っていた。もうすぐ日が暮れる。このままではまずい。 少女は焦りと恐怖で、べそをかきながらも一生懸命叫びながら歩き回った。 すると、草むらから音がした。 唸り声が聞こえる。きっと野犬か狼に違いない。 少女は固まって動けない。 草をかき分ける音、足音がどんどん近づいてくる。多分こちらに気づいて

          【1分で読了。即興小説】山の恋心