介護をしている全ての人へ#63 ~母の膝・父と最後の将棋対決

 膝がいたい、足が浮腫む……”がん”でなければ、「歳をとったね~」と笑い話で済ませられる話なのに、”がん”というスパイスを効かせると、ひざの痛み程度の事でもすごく深刻な話になってしまう。
 父とは、ごく短い最後の将棋対決をしたことが日記に書かれていた。

2019年3月4日(月) 母の日記

 午前中、渡辺整形外科受診。
 レントゲン撮影、ひざに水が溜まっていた。抜いた水は澄んでいるので、がんが飛んだものではないと思うとのこと。
 膝も心も楽になった。
 午後は、いらないものを長男が用意した段ボールに一つひとつ入れていく。
 今日はよく電話が鳴る。健康食品の紹介や免疫力を回復させる飲み物などなど…
 がん保険の勧誘もあった。”おばあさん”でも、簡単な手続きで保険に入れる、”おばあさん”の歳でも……”おばあさん”を強調しすぎて少し腹が立ったので、「ステージⅣのがん患者でも入れるの?」と聞くと、「すみませんでした。お大事に」といって急に会話を打ち切って電話を切った。客にならない、”おばあさん”には用はないと言われた気がする。
 歳はとりたくない…
 長男が本当に久しぶりに夫の相手をしてくれたが、やはりダメだった。
最後には大声で言い合い。
 夜、次男から電話、夜勤シフトらしい。8日のがんセンターの話など。
明日は夫の精密検査の結果が出る。

2019年3月4日(月) 私の日記

 在宅勤務を会社に認めてもらうためにT部長(元の上司)に提出、細かく書いたので、多すぎると言われた。あまりたくさん書くと、会社に来てもらった方がよいということになりかねない、とのこと。
 いろいろ添削を受けて、夕方T部長を通じて人事に提出。大事になってきた。
 夕方、同僚のKさんからライン、軽く食事でもと誘われたが、両親の面倒をみなければと言って断ってしまった。こういう自分が好きではない嫌い。
 母の膝の不具合は水が溜まっていたとのこと、ひざから下の浮腫みの原因は何だろう?
 抜いた水が澄んでいたから、がんの進行が原因ではないのではないかとのこと。
 父と久しぶりに話をした。将棋をしようというので、駒をならべてみた。並べ方も駒の動かし方も怪しくなっていた。急に不機嫌になって大声でわめきだした。「馬鹿にしやがって!」とい言っていたようだがはっきりとは聞き取れない。たぶん、父と将棋を打つのはこれが最後。そして、今日の喧嘩?を最後の親子喧嘩にしようと思う。最後まで将棋で父を負かすことはできなかった。
 紙パンツを交換。脂肪様の便が半分ほど、やっぱり膵臓がまともに機能していない。 
 昨日、日本平で撮った写真をMちゃんにラインで送信。お礼の電話がきた。次は、八ヶ岳に行ってみたいという。入笠山あたりかな。
 

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