ろくべえ

専門書の編集者でしたが、仕事に見切りを付けました。 今は、猫の「ぼんど」と山登りを人生…

ろくべえ

専門書の編集者でしたが、仕事に見切りを付けました。 今は、猫の「ぼんど」と山登りを人生の楽しみに生きています。

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  • 黒猫ボンドの優雅な生活

    愛猫ボンドの日常を、ボンドのフォトエッセイ風にお届けします。

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介護をしている全ての人へ

はじめまして   サラリーマンとして働きながら、両親の介護を経験しました。   親不孝ばかりしてきましたが、身近な人々に支えられながら病気と闘い続けた母と私の経験を綴っていきたいと思います。  母にがんが見つかったとき、病はかなり進行していました。ステージⅣの宣告を受けた時に胸に去来した感情は、悲しい、寂しいではなく、なぜ気づけなかったのかという後悔でした。  帰省した時や、電話で話をした時、出来の悪い息子を案じる言葉以外に聞く話といえば、「股関節が痛む」「最近疲れやすくな

    • 黒猫ボンドの優雅な生活 3 ~ ボンドのとくいわざ

      【ボンド】  ブリティッシュショートヘア(3歳)  毛並みがよくて、近所のおばあちゃんからは”ベルベットちゃん”と呼ばれています。  無口でだみ声です。  最近体重が7キロに迫ってます。  こんにちわ、みなさん。 ぼんどです。 きょうわ、ぼくのとくいわざをひろうしてあげます。 ①”ういんく”でおんなのこをめろめろにします。ぼくは、ゆうめいなすぱい、J ぼんどだからしかあがありません。 ②”ものまね”もとくいわざです。まかろんのまねです ③”おはなのていれ”もとくいです

      • 介護をしている全ての人へ#68 ~ 母の恋ばな

        2019年3月9日(土) 母の日記  Kちゃん(父の弟・三男)が岐阜から見舞いに来てくれた。何だか最期が近づいて、みんながお別れしに来てくれたような感じ。  4人で鰻屋さん(主水 https://www.unagi-mondo.com/)に行く。長男のために鰻弁当まで買ってくれた。Kちゃんに余計なお金と気をつかわせてしまった。でも美味しかった。ありがとうKちゃん。  夫、昨日はJちゃん(父の弟・次男)、今日はKちゃん。二人の弟と会って少しは気が引き締まったのか、昨日と今日は

        • 介護をしている全ての人へ#67 ~ 治療とQOL

           母の日記には、治療に積極的な母の気持ちが綴られていた。でも、自分の日記にはそれとは違った感情が記されていた。 2019年3月8日(金)母の日記  暖かい一日  がんセンター  長男は急に忙しくなり、がんセンターには行けなくなった。疲れた様子。少し仕事をセーブできないものか?  次男のすゝめで夫も同行。少しでも家族のことに関心を持ってほしいとの心遣い。長男と違った対応、うれしい。でも面倒。  11:00から血液検査やCTの撮影。その後、担当医師から検査結果の説明が少々。前

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        • 黒猫ボンドの優雅な生活
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          介護をしている全ての人へ#66 ~ 看病の理由

           在宅勤務が認められた。前の上司の心配りが本当にありがたい。これで、介護離職という選択肢はほぼ消えた。インターネットで介護離職者の末路を調べると、多くの人が生活の質を落として苦しんでいる。自殺寸前まで追い込まれてしまった人もいるという。 2019年3月7日(木) 母の日記  終日寒かった  長男朝ごはんも食べずに出かけて行った。疲れている様子。  8:40にデイサービスに送り出す。  昼前に久しぶりにQ兄さんが来てくれた。松坂屋の地下で買ったお弁当や、駄菓子、ジュースや長

          介護をしている全ての人へ#66 ~ 看病の理由

          介護をしている全ての人へ#65 ~ 混乱

           父のがん、弟の言う通り治療をするべきか?  認知症、巨大な債務、家族の介護負担……いろいろ勘案して逃げを打つべきか? 2019年3月6日(水) 母の日記  今日は長男を送り出せた。昨日のこともあり、悩んでいる様子。  8:40、夫をデイサービスに送りだす。  左ひざは少し軽くなった。  独り朝食を食べていると、左奥歯のブリッジが折れた。植松歯科に電話すると、午前中なら受診できる由。急ぎ歯を磨いて出かける。最近、出かけるのはすべて医者、これが老化?  帰宅するとすぐにデイ

          介護をしている全ての人へ#65 ~ 混乱

          介護をしている全ての人へ#64 ~ 父の検査結果、再検査へ

           この日は、父の件で大変な決意をした日になった。 2019年3月5日(火) 母の日記  今日は、夫の精密検査の結果を聞くために市立中央病院へ。検査結果を聞く前に担当医師から消化器内科の受診を勧められた。11日にヨード剤をつかったMRIで更に詳しい検査をすることになった。  経験上、こういう時はかなり厳しい。がんは確定と思った方がいいだろう。あとは、がんがどこまで進んでいるかということを確認する作業だと思う。  手術は避けたいと思っているが、息子たちと相談して決めよう。当の

          介護をしている全ての人へ#64 ~ 父の検査結果、再検査へ

          介護をしている全ての人へ#63 ~母の膝・父と最後の将棋対決

           膝がいたい、足が浮腫む……”がん”でなければ、「歳をとったね~」と笑い話で済ませられる話なのに、”がん”というスパイスを効かせると、ひざの痛み程度の事でもすごく深刻な話になってしまう。  父とは、ごく短い最後の将棋対決をしたことが日記に書かれていた。 2019年3月4日(月) 母の日記  午前中、渡辺整形外科受診。  レントゲン撮影、ひざに水が溜まっていた。抜いた水は澄んでいるので、がんが飛んだものではないと思うとのこと。  膝も心も楽になった。  午後は、いらないもの

          介護をしている全ての人へ#63 ~母の膝・父と最後の将棋対決

          黒猫ボンドの優雅な生活 2 ~ お気に入りの寝床

          【ボンド】  ブリティッシュショートヘア(3歳)  毛並みがよくて、近所のおばあちゃんからは”ベルベットちゃん”と呼ばれています。  無口でだみ声です。 こんにちわ、みなさん。 ぼんどです。 きょうわ、ぼくのおきにいりのねどこをしょうかいします。 どうですか?ぼんどのゆうがなくらしぶりがすこしみえてきましたか? あまりたくさんしょうかいすると、しょみんのみなさまのなかには、ねたましいきもちになってしまうひともいるかもしれませんね。 きょうわこれくらいにしておきます。 ご

          黒猫ボンドの優雅な生活 2 ~ お気に入りの寝床

          介護をしている全ての人へ#62 ~ 父、認知症に抗う

           この日の母の日記から、父が自分の認知症の進行に抗っていたことがわかる。後日分ったのだが、インスリンを認知症の薬と勘違いしていたらしい。誰だってボケたくないし、がんなんて病気とは無縁に暮らしたいにきまっている。当時の自分は、現実から少しでも遠ざかろうとしていた。そして、父に対しては負の感情しか持ち合わせていなかったのかもしれない。 2019年3月3日(日) 母の日記  今日は、桃の節句。贅沢な具ではないけどちらし寿司をつくった。考えてみたら昨日の夜もお寿司だった。好きだし

          介護をしている全ての人へ#62 ~ 父、認知症に抗う

          介護をしている全ての人へ#61 ~ 増え続ける心配事

           この日の日記、父の膵臓に見つかった影が家族にも大きな影を落とし始めている。病院でのことを覚えていない様子の父でさえ普段と違った行動。 2019年3月2日(土) 母の日記  少し寒いけど、良い天気  左脚のむくみはやや改善された。体も軽い。でも、気分は晴れない。  夫の膵臓、がんなのだろうか。私と夫、二人のがん患者を抱えて息子たちは耐えられるだろうか。  夫は、疲れている様子で起きてこない。でも、トイレはちゃんと自分で行けた様子。でも、インスリン注射の手順を全く覚えてくれ

          介護をしている全ての人へ#61 ~ 増え続ける心配事

          介護をしている全ての人へ#60 ~ 壊れてゆく父

           父の検査と母の不調が重なり、介護休暇を取得したと日記にあった。  父の脳が干からびて死につつある。父との良い思い出は少ないが、確かに一緒に過ごした月日はある。それが壊れて消えていく。  つないでいた手が解かれる感覚を思い出した。 2019年3月1日(金) 母の日記  寒い朝、左足は冷たく鈍い痛み、末端の感覚が鈍い。  今日は、夫の膵臓に見つかった腫瘤をMRIで詳しく検査する。  左脚の不調を訴えると、長男が有給休暇を取って、病院に付き添ってくれた。私独りでは運転もできな

          介護をしている全ての人へ#60 ~ 壊れてゆく父

          介護をしている全ての人へ#59 ~ がんは厄介な病気

          日記の文字数が母のバイオリズムのバロメーター、今までにないほど体調が悪く精神的に参っている様子が分かる。 2019年2月28日(木) 母の日記  夫をデイサービスに送り出す。8:40 今日も、左足不調。触覚はないが、鈍い痛みだけが伝わってくる。 何をする気にもならない。  夕方、みそ汁だけ作って夫の夕食。ごめんね 2019年2月28日(木) 私の日記  出勤時、今日も見送りなく、寝室のドアの向こうから、「行ってらっしゃい」と一言。泣いているとわかった。  こういう時、

          介護をしている全ての人へ#59 ~ がんは厄介な病気

          介護をしている全ての人へ#58 ~ 死病の感触

           この日の日記にも、病気の進行を感じ取って不安感を増幅させている母の心情が綴られていた。ようかんを買って、甘いもので元気を出してもらおうと、浅はかな企てをしている自分……恥ずかしい。 2019年2月27日(水) 母の日記  長男は、朝早く出勤、今日も送り出せなかった。  夫、デイサービスへ 8:40  今日も膝が痛い、昨日よりも体が重い。  やはり、病気が一段階進んでしまったのだろうか。怖い。まだやりたいこと、息子たちに伝えたいことが沢山あるような気がする。  午後、夫の

          介護をしている全ての人へ#58 ~ 死病の感触

          介護をしている全ての人へ#57 ~ ”Brothers”母の功績

           この日、母の日記には、病気の進行を敏感に感じ取って、不安に襲われる感情が赤裸々につづられている。あの頃、母の成してきたことを讃える言葉を素直に伝えることができていたら、母の人生はもっと自信と誇りに彩られていたのかもしれない。  言葉を紡ぎだす仕事に就いていながら、それが出来なかったことが残念でならない。三流だ。 2019年2月26日(火) 母の日記  長男と次男は朝早く出かけて行った。見送れなくて申し訳ない。  夫、8:40にデイサービスへ。  体が重い、立っていると

          介護をしている全ての人へ#57 ~ ”Brothers”母の功績

          介護をしている全ての人へ#56 ~ 上司、弟、母いろんな人に支えられている

           父へのインスリン投与が始まった。詐欺被害(?)、認知症、膵臓の腫瘤、インスリン…家族と人様にいろいろ迷惑をかけてきた父だが、ここまで悪いことが重なると気の毒。  でも、日記を書いた頃には、そんな気持ちは爪の先ほどもなかった。 2019年2月25日(月) 母の日記  夫、午前中に市立病院で診察を受ける。次男も同行。  膵臓の腫瘤が影響しているのか、血糖値が安定しないためインスリンの投与を開始。  病院で血糖値の測定と注射器の使い方を教わるが、全く理解出ない様子。またひと手

          介護をしている全ての人へ#56 ~ 上司、弟、母いろんな人に支えられている