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介護をしている全ての人へ#67 ~ 治療とQOL

 母の日記には、治療に積極的な母の気持ちが綴られていた。でも、自分の日記にはそれとは違った感情が記されていた。

2019年3月8日(金)母の日記

 暖かい一日
 がんセンター
 長男は急に忙しくなり、がんセンターには行けなくなった。疲れた様子。少し仕事をセーブできないものか?
 次男のすゝめで夫も同行。少しでも家族のことに関心を持ってほしいとの心遣い。長男と違った対応、うれしい。でも面倒。
 11:00から血液検査やCTの撮影。その後、担当医師から検査結果の説明が少々。前回の抗がん剤が効いているとのこと。一安心。ただ、抗がん剤はだんだん効果が弱くなるとのこと。
 今後は、2か月ごとに抗がん剤治療をすることになった。過去の抗がん剤治療の経験値があるので、効果的に副作用を抑えることもできるという。流石に専門医は違う。
 今日はMSI検査という検査を受けたらしい。難しいことは分からなかったが、今まで保険適用外の治療が受けやすくなるとのこと。うれしい。
 病院でまた、Jさん(夫の弟)と会った。同病相憐れむではないが、お互いの回復を祈り、健闘をたたえあった。夫もJさんがいたので何となく楽しそだった。
 Jさんは電車で帰るというので、検査を受けている間、次男が車で駅まで送っていった。
 検査と診察が終わったのは午後2時過ぎ、次男が御殿場のプレミアムアウトレットで私と夫の上着を買ってくれた。
 夫はがんセンターに行って、私の病気を思い出した様子。役には立たないが、ピリッとした感じ。
 夕方長男から埼玉に行くと電話。夜、今日の様子を伝えた。

2019年3月8日(金) 私の日記

 今日は、がんセンターに行くために休みを取ってあったが、在宅勤務の準備を進めるために出社。金曜日はメールマガジンの校了日、同僚に校了手続きをお願いしてあったが、自分でやることにした。
 普段の仕事をしながら、仕事の手順書や問題が発生した時の連絡場所や対応マニュアルを作るのはなかなか大変。頑張っても2週間以上かかりそう。 昼休みもそこそこに、2時間ほど残業。今日は、埼玉のマンションに帰ることにした。その旨、母に伝える。
 帰ると、水槽で飼っていたメダカとドジョウが死んでしまっていた。ドジョウは、水槽のそとに身投げして干からびていた。世を儚んでの自殺?
 帰宅後、もう一度母に電話。母の抗がん剤治療が2か月毎になりそうだと聞いた。
 複雑……
 抗がん剤を使うと、副作用で2週間から3週間は身動きが照れないほどつらい副作用が出る。2か月(10週)の内、3週間は副作用に耐え、1週間を体力の回復に充てる。副作用がない期間は、糞尿にまみれながら、認知症が進んだ情緒不安定な父の介護を引き受ける。それに加えて、引っ越しの準備。痛みや四肢の浮腫みが抑えられるなら、生活の質の向上を第一優先に考えるべきではないのか?と考えてしまう。それでも、抗がん剤治療に効果があったと聞けば嬉しいし、1日でも長く生きてほしいとも思う。
 母との思い出を様々紐解きながら今後のことを考える。
 
 午前3時、今日も眠れない。明日弟は何をしているのだろう?話し合うべきことがまだたくさんあるような気がする。

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