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冷たい波をもつ海が

温かい言葉をかけてくれた人がいた。

その時ほしかった、とても優しい言葉
誰かがかけてくれるなんて思いもしなかった
傷を温かい軟膏で包むような優しい言葉 

その言葉が、冷たい波にのまれていってしまう
流れていってしまう
せっかく温かいお薬を塗ってもらったのに
冷えた心だけが取り残されてしまう

心のなかが大きな大きな海になっていて
どうしても波がおさまらない
洗い流していってしまう
あたたかい言葉、人の優しさ、親切と気遣い。

「悲しみたがり」なのかしら
悲しい心だけをとどめておきたいのかしら

折角言葉をかけてもらえたのに
折角なにかがあたたまったのに
一人ぼっちではないはずなのに

どうしてそのまま幸せでいられないのかしら

どうして温かく優しいものだけを覚えて
他の冷たいことを流してしまうことができないのかしら

いらないものばかりを残していく、私の中の冷たい海

(2024年1月20日)

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