銀森 そのみ

詩 ❘ 短編小説 ❘ #涙活 #恋愛 #LGBT   【透明な悲しみをすくいあげて空に…

銀森 そのみ

詩 ❘ 短編小説 ❘ #涙活 #恋愛 #LGBT   【透明な悲しみをすくいあげて空に還す。】 Twitter @Sonomi_Ginmori  (詩画集の絵:音羽しょうこ https://shokootowa.wixsite.com/japan )

マガジン

  • 詩にしたとたんに空に飛んで行ったらいい、悲しみというものは

    詩集 ❘ 感情の端の一瞬のきらめき。 【テーマ:悲恋、孤独、抑圧】

  • いつまでも、いつまでも、私たちが幸せでありますように

    詩集 ❘ 幸福な光景しか浮かばない。目がくらむのは太陽のせいじゃない。【テーマ:幸福】

  • 彼女の横顔は物語のようだった

    短編小説 ❘ 百合、恋愛

  • 透明な水底の夢 ❘ 詩画集

    詩画集 ❘ 十代の透明な悲しみの断片。【絵:音羽しょうこ】

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最近の記事

見えない致命傷では死ねないから

覚えてる、 悲しかったこと 全部 忘れられない、全部 去年の傷 一昨年の傷 もっとずっと前の傷 子供だったころの傷も 大人になってからの傷も そのときどきの 悲しいことがあった私の たとえば25キロとか40キロとか そのときどきの体重が そのまま私にのしかかる 悲しいことから走り去りたいのに 足をとられて逃げられない 足がもつれて転んでしまう そしてそのまま重みに沈む 窒息するように 溺死するように 浮き輪がふいにはずれたように 水のなかにするすると沈むように もう地上

    • 冷たい波をもつ海が

      温かい言葉をかけてくれた人がいた。 その時ほしかった、とても優しい言葉 誰かがかけてくれるなんて思いもしなかった 傷を温かい軟膏で包むような優しい言葉  その言葉が、冷たい波にのまれていってしまう 流れていってしまう せっかく温かいお薬を塗ってもらったのに 冷えた心だけが取り残されてしまう 心のなかが大きな大きな海になっていて どうしても波がおさまらない 洗い流していってしまう あたたかい言葉、人の優しさ、親切と気遣い。 「悲しみたがり」なのかしら 悲しい心だけをとど

      • あなたは私を安心させる

        あったかい 思い浮かべるだけで 安心する 私のものではない人 でも私に寄り添ってくれる人 きちんと目をみてくれる人 きちんと会話をしてくれる人 助けてほしい 守ってほしい 私をあなたの中に隠して あなたの中から少しだけ外をのぞくだけでいい いらない、たくさんのこと ちょっとでいい、ほしいもの それだけでいい 他にはいらない でもそんなこと どうでもいいの ただ、あなたを思い浮かべるだけで 安心する 健やかな気持ちで 温かな身体で なんの

        • あなたとこれから出会うから

          素敵な女の子と出会うために きれいなお洋服をきて いい匂いの水を首筋になでつけて 新しいサンダルで 心がかけだす 都会の夜 (2023年8月11日 Xに掲載)

        見えない致命傷では死ねないから

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        • 詩にしたとたんに空に飛んで行ったらいい、悲しみというものは
          42本
        • いつまでも、いつまでも、私たちが幸せでありますように
          12本
        • 彼女の横顔は物語のようだった
          2本
        • 透明な水底の夢 ❘ 詩画集
          12本
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        記事

          うさぎは寂しいと死んじゃうんだよ

          寂しくて 寂しくて うさぎだったらもうとっくに 死んでいるだろうというくらいに 寂しいので いっそ死んでしまいたいから 白いうさぎになりたい それくらいに あなたに会いたい うさぎになって死んじゃうくらい あなたに会いたい (2023年7月30日 Xに掲載)

          うさぎは寂しいと死んじゃうんだよ

          流れる詩

          さっき胸の中で流れた詩の 最後を忘れてしまった ざらざらと音をたてて 粉々に消えてくれていたならば 両手をのばして すくったのにな (2023年2月14日 Xに掲載)

          神様の天秤

          ずっと自分で決めたいと思っていた 自分のこと 全て。 服、 髪型、 食べるもの、 話す言葉、 話す内容、 エトセトラ、 エトセトラ。 いまは神様に決めてほしい 誰とどこでどうやって生きていくのか 神様に決めてほしいのに 自分では決められないのに 身体がもう答えを知ってる 身体がそう言ってる ねえ、あなたは誰から聞いたの? (2023年2月14日 Xに掲載)

          噛みつきたいよその顎(あご)に

          むしゃぶりつきたい あなたのその、白い顎(あご) 昔あなたが嫌いだった 凡庸な顔にいらだった 今、あなたの顔が好きだ あなたの石鹸のような白い肌が好きだ マシュマロのようにやわらかさの透けて見えるその肌が好きだ あなたの美しさがわかる大人になれてよかった 噛みつきたいよ、あなたの顎に 吸い付きたい、白い頬に あなたの中に溶けて溺れたい 生クリームの海のようなの かじりつきたい、あなたの顎に 女神の顔はきっと黄金の林檎なの (2022年11月23日 

          噛みつきたいよその顎(あご)に

          降る宝石

          美しい風景が 降ってくる  降ってくる   降ってくる    私の脳裏に    私の胸に  これはきっと 神様が 降らせているのだ その証拠に ほらこの胸からは なにも湧き上がってはこない なにかの記憶を 再生させているわけでもない ただ、 私に 降ってくる  降ってくる   降ってくる この美しい きらきらと輝く 波のように揺れて重なり合う まぶしい景色を この素晴らしい景色を 私は絵にすることもできないし 物語だってかけないし 写真もうまくとれないし 動画編集だ

          前髪

          前髪の乱れを ゆっくりと なぞるように直された。 あの瞬間にイイネをつけて 何度も何度もリピートして 再生させたい。 大切になでつけられた わたしの髪が まるでいま宝物のようだよ 匂いも体温も残ってないのに あなたの指に本当はふれたかったから いまひとりでなぞるよ あなたに大切にされた、わたしの前髪

          戻らないきらめき

          一瞬のきらめきを あの夏の思い出を 抱えて海の底に沈みたかった きらめきを、あなたが汚した きたない泥を塗りたくった、その手で それは泡になって、消えた わたしは人魚じゃないから それでも生きていかなきゃいけないのに 夏の残像がまぶしくて 目がくらんで 前が見えない それでも私は生きなきゃいけない

          戻らないきらめき

          消えてしまった私の言葉は

          twitterの誤作動に 軽い気持ちでアプリを消して、入れ直したら 下書きが全て消えてしまった 消えてしまった私の言葉は きっとまたひょっこりと 生まれてくるかもしれないけれど 誰かに叫びたくて叫べなかった 色々な気持ちが あのちっぽけな箱の中で ひっそりと眠っていたはずなのに すくいあげてあげられなくて 別の形で世にだしてあげられなくて ごめんなさい。 ごめんなさい。 私があなたを軽んじてしまったら 私があなたをないがしろにしてしまったら も

          消えてしまった私の言葉は

          悲しい調べの海は、癒やし

          悲しい歌を、そっと弾き語る 胸にしみこむ甘い粒 どこまでもどこまでも、沈んでいく 悲しい歌の中に 優しい世界 青い、青い、水の中 どこまでも深く潜れる どこまでも透明に 流せなかった涙も 言えなかった言葉も のばせなかった手も すべてが沈んで、溶けて、一つになって 私は優しく眠る 悲しい歌の中に 溺れてゆく 悲しい調べの海に

          悲しい調べの海は、癒やし

          恋しい

          寂しいよ あなたが寂しがってくれないからさ

          昔住んでいた街に

          空が青くて紫くて美しくて、寂しいよ きっと、私はまた寂しくなるために戻ってきた わたしの「寂しい」があの空にはつまっている わたしの「寂しい」と、「でも」、「それでも」、「きっと」、「だから」、「がんばらなくちゃ」があの空にはつまっている だから、きっと戻ってきた 私は寂しいと、美しいものが沢山作れるから きっとそうだから、だから戻ってきた 「寂しい」があふれて、綺麗なものになるから

          昔住んでいた街に

          今夜は電話をしなかった

          あなたとは 何度めぐりあっても やっぱり私ばっかり片思いなんだな そう思いながら 昨日の夜にあなたと話をした でも今夜は電話をしなかった 来週また話すかもしれないけれど 今夜は電話をしなかった あなたを好きだった頃は まだ子供で 子供だからあなたに恋したのかと思ったけれど 大人になってもやっぱりあなたが好きだった それがわかるくらいに何年も あなたなしの日々を 生きてこられてよかった 私の恋は、いくつになってもちゃんと恋だった 昨日、 あなたの声に一瞬にじんだ色

          今夜は電話をしなかった