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エンタメ・スポーツのインキュベーションプログラム 『W incubation』 DemoDayをレポート!

W inc.(以下、W)は、エンタメ・スポーツに特化して、起業家、クリエイターに創業出資と成長支援を行う3ヵ月間のインキュベーションプログラム『W incubation(旧称SCRAMBLE(スクランブル)』を実施しています。第3期を現在募集中です。こちらより、ご応募お待ちしています!
第1期で3チーム、第2期で2チームをプログラムに採択し、創業資金1000万円の出資とともに、エンタメ・スポーツ業界のネットワークへのアクセスと起業前から直後を支援するナレッジ・ノウハウを提供することで、急成長を遂げるための支援をしました。2022年9月28日に開催した『W incubation』の「DemoDay」には、エンタメ・スポーツの企業の出資提携責任者やこの領域に出資する投資家の皆様にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。ここでは、採択チーム5社のピッチをレポートします!ご興味を持っていただけましたら、お繋ぎしますのでこちらまでお気軽にご連絡ください。

ness(Twitterアクションに応じたNFT配布ツール)

起業の背景:
nessは、Twitterに連動してNFTを配布するツール「Spread」を開発・運営しています。いま世界、そして日本でもWeb3、NFT(Non-Fungible Token)という市場が大きく成長しています。NFTはブロックチェーンを活用してデジタルデータを識別、所有、そしてその所有権を移転できる技術です。最初は一部のエンジニアやゲームで熱狂的に利用され、その後、世界中のアーティスト、クリエイターが参入しました。そして、現在では多くのIP/ブランドや企業がNFTを活用しています。最新の活用事例として、スターバックスがゲームやチャレンジを通してNFTを配布、またカルビーがTwitterを通じて1万名にNFTを無料配布しました。この無料配布という手法は企業だけではなく、多くのNFTクリエイターやプロジェクトも活用しています。ユーザー側にはNFTを集めたい、企業のファンとして欲しい、将来値上がりへの期待などのニーズがあります。一方、配布側は低コストであるデジタルノベルティとしてNFTを配布することで、認知拡大を図ります。また、ファンである証明を配布することで、ファンエンゲージメントの向上を狙っています。ただし、無料配布という手法は大変な手間と時間がかかります。これを解決するのが「Spread」です。

プロダクト:
「Spread」は、特定の条件達成者に対してNFTの配布を全て自動化するツール
です名前、説明、画像を入力するだけでNFTが作成でき、Twitterのフォロー、リツイートなどの条件を設定することで、配布ページが完成します。配布側は、Spreadによってユーザーが何の条件をクリアしているかをチェックできるため、手間を大幅に省けます。

ビジネスモデル:
現在はTwitterにフォーカスしています。また、日本のユーザーにとって使いやすいUXを提供することで差別化を図っています。現状は200名までの配布は無料で活用できます。それ以上の配布になると配布枚数に応じた料金プランと、企画から運営まで一気通貫で支援するプランを用意しています。

今後の展開:
まず、Twitterを中心に187億円ほどのSNSの運用市場へアプローチします。その後、7000億円規模であるファンマーケティング市場を目指します。僕たちが実現する世界は「IP/ブランドとファンのより深い関係性の構築」です。NFTの獲得履歴がブロックチェーンに記録されているため、詳細に分析することでコアなファンを可視化し、ファンのセグメントに合ったNFTが配布できます。また、ファンにとっても貢献度が可視化され、これまでは不可能だったファンの証明を第三者に対外的に示せます。このようにして、IP/ブランドとファンの関係性を変えていきます。僕たちnessは、未知の体験と人の心を揺さぶるプロダクトをミッションに掲げ、まだまだ新しい技術であるNFTを使って未知の体験を作っていきます。

しゃもじ(野球スコアリング&練習記録アプリ)

起業の背景:
私には、強豪校で甲子園を目指した選手と中学野球部の指導者の両方の経験があります。夢だった甲子園にも行けずに引退をして、野球がうまくなる選手と自分は何が違ったのか、ずっと疑問に思っていました。そこで、甲子園常連校などの強豪チームと好成績を残せていないチームにヒアリングを行い、両者における3つの違いを見つけました。1つ目は「弱いチームは選手たちが何をすべきか理解せずに練習」をしていますが、「強いチームは強みや弱みを理解して課題を潰す練習」をしています。2つ目は「弱いチームは目標設定が曖昧なまま練習」をしていますが、「強いチームは一人一人が明確な目標を持ってその達成のために自分たちで行動計画を立てる」ことをしています。3つ目は「弱いチームは野球が楽しそうではない」ように見え、強いチームは「野球を心から楽しんでいる」ので雨の日でも練習したい、上手くなりたいと意欲が充分にあります。これらの違いから分かった、弱いチームから強いチームへ導くためのソリューションを僕たちは提案します。

プロダクト:
①現状を正確に把握するためにスコア分析をより詳細に分かりやすくし、②細かく目標設定ができるように促し、達成までの行動計画を立てるサポートして、③サーベイでイキイキ活動できているかを測ります。これらのソリューションを形にしたのが「スコマネ×スポログ」です。スコアリングアプリ「スコマネ」では、スコアリングから試合後の分析まで一貫して行うことができ、正確で詳細な自己分析が可能です。従来の難しいスコアブックとは異なり、ボタン操作ひとつで簡単に入力できます。また、セイバーメトリクス分析を用いて、打率や出塁率といった従来の指標だけでは分からなかったものまで見えてきますので、自己分析にも活かせます。そして、練習記録アプリ「スポログ」では、スコマネで得たデータを分析して練習計画に役立て、目標設定とその到達度を可視化することでモチベーションを維持できます。また、定期的なアンケートで日々変化しやすい選手の精神状態も把握できます。2つのアプリを用いることで、自主的かつ自発的な行動ができる選手が増え、選手たち自身で成功体験を育めるようになります。

トラクション:
私たちは徹底して「データから読み取れることを分かりやすく伝える」ことにこだわって、サービスを開発しています。その結果、都内の強豪校への導入や大会への協賛が決まり、わずか3ヶ月で126チーム、約4800人の見込みユーザーを獲得しました。

今後の展開:
将来的には他スポーツへの展開を考えているため、市場はアマチュアスポーツ全体を想定しています。
また、教育ツールの観点から子ども向けスポーツ教室市場も視野に入れています。その上で、まず初めに384万人13万チームのアマチュア野球市場を狙っていきます。そして、蓄積されていく選手の練習データや試合データの活用にも力を入れていきます。全国のトレーナーやスポーツに特化した医療従事者との連携や、コーチの指導力向上などを想定しています。また、部活動指導員の外部委託化のサポートや、体育会系人材の就活支援など様々な領域で、蓄積されたデータを活用できると考えています。

RIGHTHAND(野球スカウト向け選手データアプリ)

起業の背景:
「選手の見える化を実現する」次世代の野球専門アプリ「RIGHTHAND」です。私はリクルートに勤務した後、スポーツ業界に転職し、パ・リーグマーケティングで働いていました。そのなかで、スカウトの支援に従事する機会があり、プロ野球の映像データをメジャーリーグ向けに販売する手伝いをしていました。年末になるとメジャーのスカウトと会っていたのですが、その際に「日本はアマチュア選手のデータ整備が遅れている」ことに気づきました。ソフトバンクのエース千賀選手は年俸6億円を稼ぐ大スターですが、実は彼を発掘したのはスポーツ用品店の店主と言われています。高校時代は無名だったため、スカウトのリストに入っていなく、埋もれてしまう可能性がありました。プロ野球では1球団10人ほどで全国47都道府県を回っているため、全ての選手の視察は物理的に難しく、結果として有名校を中心に視察せざるを得ないのが実情です。一方で、選手側は甲子園に代表されるトーナメント形式の試合が多く、負けた瞬間にアピールの場を失います。また、個人ではなく、チームの実力に左右される側面もあります。

プロダクト:
上記を踏まえて、私たちは映像とデータを一元管理し、「選手の見える化」を実現できるサービスを開発しています。当初は、選手とスカウトを繋ぐマッチングプラットフォームを考えていましたが、80名近くのユーザーインタビューを重ねるなかで、いまはチーム運営にも欠かせないサービスに進化しています。主な機能は、①データベース機能(映像と選手データを一括管理)、②コミュニケーション機能(チーム内でのコミュニケーションを活性化)、③スカウト機能(ボタン一つで野球関係者へアピール)の3つです。現在、GoogleやMicrosoftが提供している学校向けのサービスからのデータ移行が起こり始めていて、また、有望な中学生が入部するように広報的な役割も期待されています。実際に、ある学校では導入をWebで公開いただきました。

トラクション:
2022年9月初旬に正式版のアプリをリリース以降、関東エリアの強豪校を中心に年内までに20校での導入が予定されています。
広告費を一切使わずに、人づての紹介で顧客開拓を進めています。また、社会人野球の強豪チームでのスカウト活動の支援も始まっています。

今後の展開:
ビジネスモデルは、選手・スカウトの両面からの課金を考えています。リクルート時代のスタディサプリの学校営業の経験やノウハウを活かしながら、営業を推進しています。今後は、スポーツテックと教育テックを掛け合わせた市場に挑戦をしていきます。まずは、野球で成功体験を積み上げながら、バスケットボールなど他競技やグローバルへの展開を考えています。私たちの強みは、スポーツと教育の業界に精通したメンバーが揃っているということです。スポーツベンチャーは儲からないと言われがちですが、私たちはその常識を覆していきたいと思っています。「RIGHTHAND」という社名は「選手・スカウトの右腕になりたい」という想いで名付けました。これからもスポーツの主役である彼らの右腕になれるように邁進していきます。

Vace Music Publishing(”使う”に特化した音楽企業)

起業の背景:
”使う”音楽に特化したスタートアップ「Vace Music Publishing(VMP)」です。私は音楽一筋20年で、キャリアの初期はバンド活動に、解散後はアーティストサポートを中心に武道館ライブなども経験しています。その後は、プロデュース・ディレクション業に転身し、楽曲制作に携わるなかで多くの作曲家との仕事を通じて感じた、作曲家の課題の解決を手助けしたい、と起業しました。作曲家には、制作した曲を届ける有効な手段がなく、権利が買い取られるなど課題があります。一部のトップ層を除いて、安定した収入を得られる産業構造になっていません。現在、音楽業界には大きな変化が起こっています。これまで、音楽は定額制配信サービスなどで”聴く”ことがメインでしたが、いまや可処分時間の多くはスマホ片手にYouTubeやTikTokなどで消費されていて、動画内で”使われている”音楽に触れる時間の方が圧倒的に多い状況です。音楽の消費のされ方が、”聴く”から”使う”へと変わってきており、ここには大きなチャンスがあります。

プロダクト:
YouTuberプロダクションに楽曲を提供して印税を管理する事業と、誰もが楽曲をダウンロードできるライブラリー「Vace Music Library」を運営する事業を行っております。音楽を使う側のYouTuberは、プレイヤーが増えることで1人あたりの収益の低下やフリーBGMを使うことで起こる著作権の問題など課題を、弊社が解決していきます。現在、140名を超える多くの作曲家が参画し、管理楽曲数は4,000曲を超えています。

トラクション:
楽曲が使われた動画の再生数に応じて、楽曲利用料を受け取っています。現在、楽曲利用顧客のチャンネル登録者の総数は3,200万人を超え、10月から12月の四半期で8.3億PVを見込んでいます。楽曲制作では、私の経験を活かして顧客の要望をヒアリングした上でオリジナル楽曲を提供しているため、高い満足度がチャンネルでのレギュラー化に繋がっています。

今後の展開:
音楽印税市場は国内で約4,000億円、世界では2.8兆円規模です。注力しているインタラクティブ配信からの印税収益は急速に拡大していて、5年後には1,000億円規模になると予想されています。また、YouTuberに提供した楽曲をVMLへ掲載する施策や、TikTokやInstagramなどへの展開も進めています。ナノインフルエンサーへの楽曲利用促進やインフルエンサー事務所にもアプローチしていて、既に一定の効果が出ています。チームやパートナー一丸となって、”使われる”音楽ナンバーワンレーベルを目指しています。

ごっこ倶楽部(縦型ショートドラマ専門クリエイター)

起業の背景:
TikTokを中心とした縦型ショートドラマ専門のクリエイター集団「ごっこ倶楽部」です。はじめに、TikTokを歌って踊るだけの儲からないメディアだと誤解している方が多いです。また、Z世代はTikTokで情報収集するのが当たり前で、日本の2年先を行くTikTokの本場である中国ではショートドラマは最も注目されているジャンルです。さらに、2021年に発表された最もトラフィックを集めたドメインはGoogle、YouTube、Facebookを追い抜いてTikTokが世界一になりました。今春には、TikTokが収益化の開始も発表しています。この市場は2年後には1.5兆円になる見込みです。また、YouTubeショートも収益化の開始を発表し、大きな追い風が吹いています。

プロダクト:
わたしたち「ごっこ倶楽部」の強みは、狙ってバズるショート動画を作れることで、平均再生数は150万を超えています。また、従来の横型で長時間と縦型でショートの違いを強く意識しながら、スピード感を持って1年間で200本以上のショートドラマを制作してきました。

トラクション:
「ごっこ倶楽部」はショートドラマで総再生数は5億回、1500万いいね、100万フォロワーと、全てにおいて日本一です。

今後の展開:
TikiTokなどのプラットフォーム、企業から収益を作っていきます。今後、TikTokではコマース機能の実装が始まり、検索機能が充実すると、フォロワー数などがより重要になります。一方で、企業やサービスのアカウントの運用は難しく、これは日本だけでなくグローバル共通の課題です。そこで、企業やサービスが注目されているショートドラマという手法で、積極的にプロモーションする時代が訪れると確信しています。わたしたちは180秒で世界を驚かせる、ショートドラマ界のPixar(ピクサー)になります。

エンタメ・スポーツのインキュベーションプログラム『W incubation』

DemoDayのレポート如何だったでしょうか?エンタメ・スポーツのインキュベーションプログラム『W incubation』では第3期を現在募集中です。1000万円の創業出資とともに、エンタメ・スポーツ業界のネットワークへのアクセスと起業前から直後を支援するナレッジ・ノウハウを提供します。クリエイター、起業家、そして起業準備中のみなさま、ぜひご応募ください!

🔥『W incubation』第3期募集中🔥
エンタメ・スポーツの創業初期を支援するインキュベーションプログラム『W incubation(旧称SCRAMBLE)』では、1000万円の創業出資とともに、エンタメ・スポーツ業界のネットワークへのアクセスと起業前から直後を支援するナレッジ・ノウハウを提供します。ぜひご応募ください!
< 募集するテーマ >
 ◉ Web3エンタメ
 ◉ メタバース
 ◉ 新しいSNS/コミュニケーション
 ◉ スポーツテック(観戦・育成) など
< 参加するメリット >
 ◉ 創業出資1,000万円
 ◉ エンタメ・スポーツ業界のネットワーク
 ◉ 創業を支援するナレッジ・ノウハウ
 ◉ 無償のオフィス
< 応募の期限・方法 >
 応募期限:2022年11月18日(金)23:59 まで
 応募方法:こちらより登録をお願いします。
< ご参考 >
 プレスリリース(採択スタートアップからのメッセージ)

クリエイター、起業家へのインタビューはこちら↓

構成・編集 株式会社TEA.M

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