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vol.4若手向け越境学習~社会課題解決PBLにおける学びとは~

株式会社ウィル・シードは、大手企業様に対して研修プログラム等を通じた学習体験を提供し、人材育成・グローバル人材育成を支援しています。研修のタイプは座学/体験型、対面/オンライン型、など多様にありますが、今回は社会課題解決PBL(Project-Based-Learning)と呼ばれる研修の概要と、その場で得られる学びについてお伝えします。

vo.3の記事はこちらをご覧ください。

6.  社会課題解決PBLの参加経験がつなぐ未来


最後に、このPBL参加の経験がどのように自業務につながっていくのかをお伝えし、締めくくっていきたいます。

終了時には、「今回のプロジェクトを経験し、実業務において意識・行動面に変化があれば具体的に教えてください。 「この経験は、今後のキャリアにどのように活かせると思いますか?」という問いを投げかけており、研修期間の3か月の中で、既にチームの雰囲気をよりよくするために「依頼した仕事が終わった際に、一言添えるよう意識するようになった」という声や、仕事を進める上で「1つ1つの局面での判断力やメンバーとベクトルを合わせること、周囲への働きかけ、納期の観点を特に意識するようになった」などといった声がありました。

図:PBLにおける学びと要因/成果(再掲)

今後とっていきたいアクションをみていくと、チームの雰囲気づくりやメンバー間の関係性構築に関することが見出せましたが、特筆すべきは、今回の経験によって「今後取るべきリーダーシップ像がクリアになっている」ということです。

・チームの中では情報まとめや旗振りを行っていました。普段の仕事ではあまり経験していなかったので、改めて自分のチームの中でもそのように動けるようになっていきたいと思います。
・チームメンバーそれぞれ忙しい中、プロジェクトをスケジュール通りに進めなければならず、チーム内の認識のすり合わせと役割分担をスムーズに行う必要があると感じたため、業務においてもプロジェクトを進めるためには自分自身が声を上げてチームを動かしていく必要があると感じました。
各々の意見を集めて整理し方向性を決めていくということの難しさを改めて感じました。打合せやチームミーティング等において、進行を務めるときには今回の経験を活かしたいと思いました。
・相手に対して効果があるのか、本当に有益なのか、という部分を考えて業務にあたっていきたいと感じています。ただ、論理的な思考で効果を考えることも必要ではあるが、効果がでるか頭だけで考えるよりはまずやってみてブラッシュアップしていくこともひとつのリーダーシップと感じました。
メンバーの得意な部分に積極的に目を向けるようになったことと、周囲を巻き込むための情報発信を意識して行動するようにしました。お互いの得意を活かして協働することの重要性を感じられたことと、今後リーダーとしてチームを動かす時に意識して行動していきたいです。
・これまでも自発的に取り組むことを意識してきたが、チームを率いる上でチーム内にそういう意識を持っている人がいるととてもありがたく、仕事しやすいことを感じました。実業務でも自分自身だけでなく、周囲にもその意識の醸成や発揮してもらうように取り組んでいこうと思いました。

終了後アンケートより

上記のように、チーム内の認識すり合わせ、役割分担、情報まとめ・発信、行動力、メンバーの得意に目を向けることなどなど、チーム内で自分が意識を向けるべきところややるべきことが明確になっているのが分かります。今回のプログラムの狙いの1つはリーダー育成でしたが、各自がプロジェクト内で苦労したこと、その中でチャレンジしていったことが学びとなり、自業務においても各場面でリーダーシップを発揮していこうとする様子が伺えます。
 
一方で、仕事への取り組み姿勢、熱量の変化をあげている声も多くありました。

・変化ではないのですがNPO団体の「よいと思ったことはすぐに取り入れてみる」思考は今後取り入れていきたいと思いました。大きなことを変えるのは難しいかもしれないですが、自分の周囲の小さなことからでも取り組んでいきたいと思います。
・NPO職員の方々がそれぞれ責任をもって、でも楽しそうに仕事をしている姿を見て、自分もこんな風にモチベーションを持って楽しく仕事ができればいいなと感じました。NPO職員の方々は「社会になじめない若者を助ける」という大きな目的のもと働かれているので、私も目的意識を持って業務に当たりたいと思いました。
何に取り組む時にもしっかり想いを持って取り組みたいという意識が強くなりました。
「直ぐに行動に移す」は運用部署では難しく感じましたが、すごく大事で相手に良い印象を与えるものだと感じました。また「ありがとう」を意識的に相手に伝える事の大事さは研修を受けて感じました。2点ともあまり得意としない部分なので意識して今後に活かしたいと思います。
・NPO団体の改善のスピードを目の当たりにして、今後は「いいと思ったことはまずやってみる」という思い切りも大事にしてみようと思います。
・NPO団体の行動力の高さと失敗を恐れないチャレンジ精神を見習い、今後の自身のマインドにも活かしたいと考えるようになりました。

終了後アンケートより

今後に向けて、物事を推進するチャレンジ精神、良いと思ったことは取り入れる、目的意識を持って業務にあたる、想いを持って取り組む、責任をもって楽しむ、といった精神面の意識変化がみてとれます。リーダーシップを発揮していく上では、自分が発揮すべきリーダーシップのイメージはもちろん、直面している仕事への想い・熱量は重要になってきます。本プログラムでは、行動面・精神面ともに今後のリーダーとして必要な学びを得ることができていたといえます。


7. 最後に~「PBL」は本気で向き合う分学びが多く、視座をあげるきっかけをつくる~


参加者のコメントの中で「自部署の業務から離れて、1つの課題に対してチーム活動を行うことで、客観的に物事(自分の業務に関すること)を考えられるようになった」という声がありました。

<客観的>に自身の業務について考えることができるようになったのは、本プロジェクトにおいてチーム運営や、その中での効果的な仕事の進め方を「考えてやってみる」経験をしたからではないでしょうか。

これまでは無意識に過ごしていたことも、考えることで、自業務にもどってからもそこへのアンテナが立つようになります。これまでみてきた学びにもも現れているように、今回の経験は、視座をあげて普段のチームや業務について考え、取り組むことができるきっかけとなっていたといえます。

最後に、参加者が、今後本プログラムに参加する人に向けて送るメッセージをご紹介します。

・目的に対して各ポイントで振り返ることと、積極的に参加することで何かしら得られるものがあると思います。
・長期間に渡るプログラムのため、業務との兼ね合いもあり忙しい3ヶ月になると思いますが、関わったことのない方々とチームになり、一緒に悩みながら新しいことを考えるというのは良い経験になりました。どこをゴールとすれば良いのか難しいので、たくさんヒアリングや議論をすると良いと思います。
・普段業務上関わらないメンバーとテーマの環境に身を置くからこそ、自身の主体的な行動次第でこの機会を活かすことができると思います。目の前の課題についてメンバーと試行錯誤し、改善を繰り返すプロセスを積み重ねることで得られる気づきが沢山あると思うので、是非前向きにチャレンジして頂ければと思います。
・課題における学びも多いが、同じチームとなった各メンバーの考え方、取り組み方、姿勢もとても参考になると思います。
・研修と思わずNPO団体に本気で提案する意識を持った方が良いと思います。NPO団体の方々は真剣に研修に参加頂いており、小さな提案・アイデアでも拾い上げて頂けます。中途半端な考えだとチーム内の意識・自分自身の成長に繋がらないと思います。私自身、研修という感覚ではじめはいたのですが、途中から真剣にしないと無意味だなと感じました。
・普段あまり発言しないような人でも、失敗を恐れずに積極的に発言したり積極的に関わる方が、研修後の学びがよりよいものになると思います。
・普段とは異なる環境で挑戦ができる貴重な機会だと思うので、積極的な姿勢でプログラムに取り組み、学びや気づきを得るきっかけにして頂ければと思います。
・これまで培ってきた経験や当たり前だと思っていたことが、思いの外活かせたり、反対に通用しなかったりします。普段の業務と離れて試行錯誤すること自体が自分の刺激になると思います。

終了後アンケートより

これらのコメントからは積極的にプロジェクトに関わり、本気で考え行動することで学びが多きものになる、というメッセージが伝わってきます。まさに、PBLは自分が動いた分だけ学びが得られる場となります。普段とは異なる環境や異なるテーマに対して、普段関わらない人と一緒にプロジェクトを推進することで、多様な個々人の実践が生まれ、その実践こそが今後につながる活きた学びとなり、人や物事との関わりの中で新しい価値観に出会いを通して、今の自分、今後の自分、仕事、キャリアについて考えるきっかけになる貴重な機会を生み出しているといえるのではないでしょうか。
 
(※今回は、学びとしてよりインパクトの大きかったものを取り上げましたが、他にも自分自身の強みや自社の強みを改めて認識する、社会課題への意識が醸成されるといった学びも見受けられました。その内容についてはまたの機会に紹介できたらと思います)
 
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▼参考リンク
<ウィル・シードが提供する、異業種での越境学習プロジェクト>
https://xbf.willseed.co.jp/
 
<法政大学教授石山氏による基調講演|越境は個人の志をどう磨くか>
https://www.willseed.co.jp/column/202203-1/
 


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