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現代の宗教戦争。結婚教vs避婚教

東大の赤川学先生に拙著「超ソロ社会」取り上げていただきました。

先生の解説がめちゃくちゃ的確でわかりやすいです。ありがとうございます!是非ご一読ください。

家族はコスパが悪すぎる?結婚しない若者たち、結婚教の信者たち

赤川学 1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専門は社会問題の社会学、歴史社会学、セクシュアリティ研究、人口減少社会論。著書に『子どもが減って何が悪いか!』『これが答えだ! 少子化問題』(ちくま新書)、『明治の「性典」を作った男: 謎の医学者・千葉繁を追う』(筑摩選書)、『セクシュアリティの歴史社会学』(勁草書房)、『社会問題の社会学』(弘文堂)など多数。


この記事に対するツイッター、ヤフー、NewsPicks上でのコメントが、まさに現代の宗教戦争の体裁を示していておもしろい。

つまり、結婚教と避婚教との価値観の戦いなんですね。避婚教とは、非婚でも嫌婚でもなく、もはや結婚を避ける人たちという意味です。

結婚教の方は、どうも「結婚をコスパで考える」ことにものすごい嫌悪感を抱いているようです。

「結婚はコスパ」と言うと大体炎上します。今回のこれも、ヤフーでは780件以上のコメントが寄せられています。トップトピックスにも載っていないのに相当な数字です。

連載「ソロモンの時代」で書いたこの記事も炎上したなあ。→http://toyokeizai.net/articles/-/156392

コストって別に金だけじゃなく、時間も精神的負担もコストです。何を大切にするかは人それぞれですし、無理やり改宗を迫ったりする必要性はないと考えます。にも関わらず、既婚教の人たちは避婚教の人たちをどうしても改宗させたいらしく、うるさく言ってくるわけです。


こういうのにいつも出てくるのがこれ。

「愛はお金では買えない!」とか「愛こそすべて」ってやつ。


ちょーだせえ!

大体、「愛こそすべて」とか言ってる奴に限って、「愛とは何か」なんて実はわかってないんですよ。そのあたりはウートピのインタビュー取材でお話しているのでこちらをご覧ください。

「恋愛の先に結婚がある」は幻想です。→https://wotopi.jp/archives/63297


今回の記事のRTの中におもしろいものがありました。イギリス人の先生が、日本の高校生が結婚の話題で「愛についてちっとも触れない」と嘆いている話。

当然ですよ。イギリス人にすれば、愛はあるんでしょう。ですが、日本人にとってイギリス人のいうLOVEとかROMANCEは明治以降に翻訳された輸入品ですから。キリスト教の方はいいですけど、ほぼほとんどの人が違うし、もともと日本人の奥底で培われてきた「結婚観」というのは西洋とは異質のものです。

そこには愛よりも「生活」があった。それが日本人の結婚観です。そもそも論を言ってしまうと、男女の結びつき及び結婚的なものなんていうのは、生きていくためのコスパが高い形態だったから選択したわけ。生きるための手段。愛なんかよりコスパが先にあったんですよ。それを知らない人多すぎる。

※この話をするとそれだけで書籍一冊書けるのでまた別の機会に。


ところで、結婚教と避婚教とのいざこざですが、まだ勧誘レベルでおさまっているうちはいいんです。そのうち「こいつ改宗しないな(結婚しないな、子ども産まないな)」と思うと、一転異端扱いし、批判し、排除し、下手すれば(社会的に)抹殺しようとします。まさに魔女狩りです。

考え方の違いを論じるのは大いに結構ですが、自分と違う考え方の人間を異端扱いし、その人格を否定する言い方にならないよう気を付けていただきたいものです。

何を信じるかは自由です。私たちは八百万の神の国の人たちなんですから。


というわけで、赤川先生も推薦していただく拙著「超ソロ社会」もよろしくお願いします。


長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。