罪なる紙 秋ピリカ応募作
はるか昔の時代、免罪符と呼ばれるものが存在したらしい。人々は何も記されていない純白の紙に意味を見出し、自らの罪をそれと同じ状態にするためにそれを求めた。
そんな免罪符と、今手元にある紙はある意味対極に位置すると言える。何故ならこの紙は存在そのものが罪なのだから。
俺は手のひらサイズの小さな紙を、自分の指で撫でる。直に伝わってくるザラザラとした感触はどう考えても粗悪品のそれだ。しかし、バーチャルではなく確かに実在するこの紙は俺にとって何より大切だった。
今の時代、富裕層以外の人