トマ
ジブンが書き続ける小説たち。 突然読みたくなった時にも、ゆっくり読みたい時にもどうぞ。
とある夏の日、その少女が見た夢とは─ 【SF気味/メカ少女/夢物語】全3話。
ある日突然、私が悪魔に─!? ふとしたことで2足のわらじを履くことになった不思議なOLの物語。 全13話。
ジブンの大好きなもの「バス」について、いろいろ書こうと思っていました。 現在は「トマさん雑記帳」で読み物を、Xで画像を投稿中。 (ヘッダー画像はイメージ図ですからご了承下さい)
ジブンの撮ったバスの記録。 現在は更新を終了しました。バス画像はXで投稿しています。
どうも、バスオタ小説家のトマです!初めましての方もいらっしゃるかもしれませんね。 初めましての方はジブンのプロフィールもぜひご覧ください。 はじめに 今回の雑記帳枠では、ジブンの小説をご紹介していきたいと思います。 目的は「どれを読めば良いのかの水先案内」。 ジブンの作品は基本、どこから読んでもいいように制作していますが、今回は初めての読者さんはもちろん、いつも読んで頂いている読者さんにも分かりやすくこれをまとめてみようと思います。 「私、悪魔になっちゃいました
撮影の仕事が入った。夜、高層ビルの屋上のプールで行う、水着撮影会。 仕事終わりに電車で向かう。今日は満月。何か特別なことが起こりそうだ。 更衣室として、普通の会議室があてがわれていた。 メガネを外し、用意されていた水着に着替える。黒髪のウイッグを外す。 鮮やかな金髪、これが私の本来の髪の毛だ。 メイク室で映えるようにしてもらった後、花の髪飾りをつけて屋上へ向かう。 屋上から眺める空は、下の方がほのかにオレンジ色に染まっていて、上に向かって青黒く色を変化させて
住宅街の路地。小さな魔物がたくさん現れるのを前にして、私は戸惑っている。 私は昔から、魔法少女になりたかった。でも、何かの取り柄がないので無理だと思っていた。そして気づけば大人になり、社会人生活まで始めてしまった。 小さな頃に見ていたアニメに出てくる子は大体私と同じようにおっちょこちょいなのに、何かが違う。 でも、その何かがわからないまま、私は今、魔法少女になっている。 意味がわからない。最初にネット広告を見た時はギャグと思った。良くできた宣伝だと。 それで
仕事を終えて家へ続く道を歩くと、道中に見慣れない建物が建っていた。 見たことのない外観のその建物は、どうやらアクセサリーを売っている店のようだった。 普段はきっとスルーするのに、たまたま見つけたのは何か運命的なものがあるのかも知れない。 そう思って、そのアクセサリー店に立ち寄ってみた。そこには、私の想像を越える品々が並んでいた。 扉を開けると、鈴がカラコロと音を立てた。 「いらっしゃいませ」奥から若い女の人が出てきて、レジスターの辺りに座った。 「ゆっくり見て
その日は朝から、雨が強く降っていた。雨音が目覚ましの代わりだ。 電気のつかない部屋で迎える朝だった。心の中が安心感で満たされる。 人事異動で職場を移ることになった私は、3階建てのボロ家を破格の値段で手にいれて暮らすことになった。 「住めば都」とはよく言ったもので、殺虫剤を焚いたりすれば見かけよりも心地よく過ごすことができる─そのはずだった。 昨日、突然家全体の電気がつかなくなってしまったのだ。電気代はきちんと払っていたのにも関わらず、である。 電気のことについ
海のピ、正式名称『ピンキープリンス』。人々はこれを探すのに夢中だ。 ひとたび磨けばダイヤモンドを越える桃色の輝きを放ち、世界中の人々が一度は憧れるという。 ピを探す者たちは、『ピンキープリンス』の名を隠す。 探していることがライバルにわからないようにするためである。 しかし同じ考えを持つ者は多く、気づけば界隈には『ピを探す者』が大勢いる結果となった。 ある日、海中でピが見つかったという話が流れた。 海中にはピを狙う者たちが数多く潜り、ピを必死に探していた。
都会の喧騒から離れた山の中に、「ループ」というレストランが建っている。 店主と妻の2人が切り盛りする、隠れ家のようなレストランだ。 静かな時間が流れるカフェに、一人の客が入ってきた。 水色のワンピースを着こなした、若い女だった。 「いらっしゃい。お好きな席へ」 彼女は窓際の席へ腰かけた。 遥か向こうに広がるビル街を眺めながら、彼女は小さな声で独り言を呟く。 「あの中で私も暮らせてたらなぁ」 その独り言は、誰にも聞かれることなく終わる。 「ご注文は?」
左隣の座席に座った、ジャージ姿で冴えない見た目のの客が、化粧をし始めた。 嫌なのだが、今更移動すると損した気分になる。誰かが座ってしまうからだ。 誰かが化粧をしている様子を見るのはあんまり好きではない。 なんとなくこう、「裏側」を見せられたようで気まずくなってしまうからだ。 7人ぐらいが横並びに座っているため狭いのに、手をがさがさと動かしまくるものだから、なかなか落ち着かない。 まあ、顔を左側に向けなければいいだけの話─そう思って、視線をやや上向きにやって目を
蔦の生えた壁の向こうで、男は必死に叫んだ。叫び声が壁に反射する。 「誰か!ここから出してくれ!!」 反射したきり、何の反応もない。 「出してくれ!おい!ちょっと!!」 彼の叫び声は再び反射する。 「出して!おい!タコ!」 壁を叩きながらさらに叫ぶ。 「誰がタコだよ」 壁の一部分が開き、そこからフードを被った人物が出てきた。 「お前の関節バキバキにしてタコにしてやろうか」 「…!」 「ぐにゃぐにゃになるぞ~。めちゃくちゃ柔らかくなるぞ」 すると、男は
ある日の夜、天空建設の安田部長と京握不動産の松尾部長が、料亭で会食をしていた。 「安田さん、工事の発注はどのように…」 「もう会社は決めているんです。諦めて下さい」 どうにかできないかと悩んでいた安田は、何かをひらめいた。 「…それじゃあ松尾さん、気分を変えて踊ってみますか」 「え?」 「ヒメヒメ、オリオリ、ヒメオリコイ、と私が歌いますので、それに合わせて…」 「ほう、ぜひ!」 松尾は安田に言われるがまま、妙な踊りを始めた。 「ヒメヒメ、オリオリ、ヒメオリコイ
謎めいた異形のメカを一掃した私は、実に数十分ぶりに地面に足をつけた。 地面の感触がこんなにも懐かしいものになるなんて、想像もしていなかった。 よくある展開なら、どこかで目覚めて夢だったことに気づく─という流れで終わるはずだった。実際にこれは夢だったのだが。 けれども、その時の私は、これが夢だなんて思うことはできなかった。 あの武器から伝わった波動が、手にがっつり残っていたのだ。 夢でないなら、今の私は一体どうなっているのだろうか。一体どんな立場に置かれているの
ショーウィンドウに映る自分の姿を見た私は、何が起こったのか、まるでわからなかった。 黒と白で、ピンクのラインが入ったノースリーブのインナーがぴっちりと体に纏われていて、その上からいくつものメカが装着されていた。 頭にはヘッドギアがつけられて、腰には武器みたいなものも装着されていた。 不思議なことに、それらは全然重くなく、軽々と動ける。インナーの着心地はなんだかスクール水着のようだ。 不思議なことに、それらは全然重くなく、軽々と動ける。インナーの着心地はなんだかスク
今から、私が見た夢の話をしよう。少し不思議で、心地よい夢の話。 それは、よく晴れて暑い夏の日のことだった。私の毎日は、まるごとゲームに消えていった。 普段から、趣味と勉強をまるごと切り離す過ごし方をしている私だから、それほど苦にはならない。 勉強の成績はどうなのかって?もっぱら悪い…というよりは、教科によってむらがあるような感じ。 情報とか社会とか、興味のあるものが好調で、数学や生物といった数字の多いものが苦手。 でも人付き合いは悪い。周りとの趣味嗜好が合わ
「吉野ちゃんにはここで死んでもらおうか」深夜3時の公園で、豹変した阿部はチェーンソーを突きつけた。 吉野は、驚いた表情をして体を後ろに反らした。 「警察呼びますよ?」 「ふふ、呼んでも来るまで時間がかかることぐらいわかるだろ?それに…」 「くっ…」 「そんな風に縛られてちゃ、スマホも取り出せないんじゃないの~、ふんふんふ~ん…」 阿部は鼻歌を奏でて余裕そうにしている。 吉野は、阿部からの「公園で久々に会おう」という誘いに乗ってしまった。それが運命の分かれ道だった。
魔法少女だって、たまには遊びたい。というか、普通に遊ぶ。 今日は、流れる大きな風呂が新登場した大きなレジャー施設へ、友達と遊びに行くことにした。 汗をさっぱり流すなら、私はやっぱり風呂だと思う。プールもいいけど、何かが違うのだ。 更衣室で水着に着替え、重い引き戸を引いて浴場に出ると、流れる風呂には男女問わず多くの人が集まっていた。 時計回りに流れている上に全員が一方通行で進むので、「一方通行風呂」と呼んでもいいかも知れない。 流れる風呂へみんなで入り、他愛も
夕刻、電車の出発を告げるメロディが鳴り響く中で、ゆっくり歩く人々を障害物レースの如くよけ、猛スピードでコンコースを突っ走る。 改札をくぐろうとした時のことだった。 ICカードのかざし方が足りなかったようで、改札をくぐった途端に「ピンポーン」と音がした。 途端に流れる「もう一度触れてください」のアナウンス。 後ろを見ると、改札のゲートが閉まっていた。 辺りを見回すと、こちらをじっと見つめる客の姿があった。とっとと帰ればいいのにと思う。 何度もならないのがかえ