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夫、ご機嫌

ー天然のスケートリンク

東京に雪が降った翌日ー。天気はすっかり回復し、人通りの多い道はほとんど元通りだ。ただ、建物と建物に挟まれて日が当たらない細い道に限っては、雪は溶けるも路上を氷が覆い、天然のスケートリンクになっていた。夜。会社からの帰り道。氷が張った道を敢えて通り、助走をつけて両足を滑らせる。何だか楽しい。人目を気にせず、自宅に戻るまで、何度も滑りながら帰った。その様子をご奥さんに報告すると、呆れたようにこう返す:

「昼間にどこかの子どもたちがそうやって遊んでたわ」

関連リンク(連載「『ご機嫌』シリーズ」):「りすの独り言:妻、ご機嫌ー東京に大雪が降った日」「りすの独り言:父、ご機嫌ーメールから伝わるウキウキ感

ー二重のヒヤヒヤ

氷の張った道001

実のところ、奥さんは羨ましかったのかもしれない。夕食後、わが家恒例の"夜散歩"で、奥さんも凍った路面に足を滑らせて楽しんでいた。それにしても、この遊び。自分がやるには楽しいが、人がやるのを見ていると、転んで腰を路面に打ち付けないかとヒヤヒヤする。一歩間違うと、完全に病院送りだ。冬の夜。外気の凍てつく寒さで身体が冷える。一方で、氷上で遊ぶ奥さんの姿にも肝が冷える。二重のヒヤヒヤ。

無事、帰宅したときの部屋をいつも以上に暖かく感じた。(連載、終わり)

(写真〈上から順に〉:『りすの独り言』トップ画像=りす撮影の画像を基にりす作成、建物に挟まれた細い道は天然のスケートリンク=りす撮影)

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