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当たりのからくり

ー続・2021年のおせち料理

夫婦揃って、その味を堪能した2021年のおせち料理。実のところ、今回のおせちは、十中八九、"当たり"と踏んでいた。そのからくりは、姉がおせちを注文した先が、われわれ夫婦と両親が20年末に食事会(※)を開いた老舗・懐石料理屋だったからだ。事前に美味しいと知っていたため、姉に店の名前を教えてもらった段階で、"外れ"はほぼないと見込んでいた。だからこそ、母の今回のおせちに関する「まあまあ」という評価は意外だった。

関連リンク:「当たりー2021年のおせち料理」「赤いガーベラ

使いやすい言葉

「まあまあ」という言葉は、分かりにくい反面、とても使い勝手が良い。美味しかったが、期待していたほどでもない場合にも使うし、可もなく不可もなくといった場合にも使う。飛び抜けて美味しくないが、決して不味くない場合にも使える。だから、母の真意はよく分からないが、少なくとも不満を抱いているわけではないだろう。

これをやや気にしている様子なのは奥さんだ。20年末の食事会の場所を選んだ張本人だからだ。「食事会のときは美味しいって言ってたよね」と不安げな表情を浮かべつつ、こちらの聞き間違いを疑っている。奥さんは昨年、おせちの注文先をたまたま聞き、そこが両親の好みだと信じて食事会の店を予約したので、「まあまあ」がどうにも信じられないようだ。

"お茶"する回数

母によると、この店の期待度についても、そもそも「中ぐらい」だったという。それにも驚いた奥さん。ただ、だからと言って、ショックを受けているとか気落ちしているとか、そういった仕草は皆無だ。われわれ夫婦がおせちを堪能できたこともあるし、この話題で母と一緒にもうひと盛り上がりしようと企んでいる素振りさえある。実にハートが強い。

今年は奥さんと母が"お茶"する回数が一段と増えそうだ。(終わり)

(トップ写真:会話の中で「まあまあ」を巧みに使う父と母=フリー素材を基にりす作成)

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