赤いガーベラ
ー年の瀬のご挨拶(上)
2020年もお世話になりましたー。そんな意味を込め、わが夫婦、父親、母親の4人で食事会を開いた。場所は有名ホテルにある老舗の懐石料理屋。奥さんがお祝い事の名目で予約したため、この料理屋から心遣いとして、一輪の赤いガーベラをもらった。なかなか粋な計らいだ。
ふさわしい場所
普段、あまり利用しない分不相応とも言える高級料理屋だ。政府の飲食店支援策「Go To イート」キャンペーンのプレミアム付き食事券がなければ、予約しなかったかもしれない。落ち着いた雰囲気に、美味しい料理。一年の労を労うのにふさわしい。
18年に手術した父は、この日の前日に20年の検診スケジュールをすべて済ませた。母はその付き添い、食事管理などを中心に忙しい日々を過ごした。奥さんも平日は毎朝弁当を作ってくれたほか、義母の介護などに奔走し、気苦労も多かっただろう。それぞれに心からご苦労さまと言いたい。
他方、料理屋からもらった一輪の赤いガーベラ。一人を取り上げてお祝いする対象はこの4人にいない。そのため、誰がもらうかで話し合ったが、どうにも引き取り手が決まらない。せっかくの粋な計らいを押し付け合うのも無粋だったので、父の指名で、われわれ夫婦がもらうことに。
現在は一輪挿しにして自宅の食卓に飾っている。
何もしない人
ガーベラの花言葉は「神秘」「光に満ちた」「希望」「前進」。中でも、赤いガーベラは「神秘」「燃える神秘の愛」「前向き」「限りなき挑戦」という。花をもらったときは知らなかったので、後ほど"グーグル先生"に教えてもらった。この内容を奥さん、父、母にメールで一斉送信。
ほどなく父から返信。「(花言葉を)ソックリそのままプレゼントします」とある。花を贈ってくれたのは料理屋。料理屋を予約したのは奥さん。料理屋に向かう際、父の荷物を持ったのは母。教えてもらった花言葉を右から左に流した父。一人だけ自分では何もしていない人がいる。
なるべく気にしないようにするが、つい苦笑。
(写真:老舗・懐石料理屋でもらった赤いガーベラの一輪挿し。一見寂しく見えるが、その分、この花に込められた"思い"が強く感じられる気がする。花言葉は「神秘」「燃える神秘の愛」「前向き」「限りなき挑戦」。現在、食卓に飾っている=りす撮影)
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