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ちいかわと姉、年相応とは何か

姉がちいかわにハマり出した。姉は今年で40歳。すでに大量の人形を買い集めているらしく、その事実を母から知り、思わず電話口で「ハァーーー」と強めのため息をついてしまった。

40歳だからといって、ちいかわを集めてはいけないという決まりはない。何を好きになるかは自由だ。自由だが、うっすら「年相応」という言葉が頭に浮かんでしまうのは私だけだろうか。




くら寿司がちいかわコラボで、会計2,500円以上ごとに1冊、ちいかわノートを配布するというキャンペーンを始めたらしい。ノートは先着順で、なくなり次第終了。それを聞いて、姉は喜び勇んで高齢者の両親を連れ、3人で2,700円分をたいらげたのだと、母が教えてくれた。

父はあまり寿司を好まないので、ほとんどは母と姉の努力である。その結果、無事お目当てのちいかわノート(ピンク)をもらい、ビッくらポン!で缶バッジも引き当てたそうだ。私は2度目の「ハァー」を出したが、1回目よりは多少弱めだった。




「年相応」というワードは自分にも当てはまる。これは長きに渡り繰り広げられる「もういい歳なんだからUNIQLOからは卒業しなさい」派と「何歳になっても好きなものを持てばいい」派の論争に起因する。私は他人の前では後者を装いつつ、実際は前者の考えに共感している。

三十路の女が、ギャルピースでプリクラを撮ってもいいのか?小6で作ったナップサックを使っていてもいいのか?ちいかわのノートをもらいに、くら寿司へ走ってもいいのか?
いいわけないだろう。


しかし、私は三十路目前で会社を辞め、フリーランスで文章を書く仕事を始めようとしている。福利厚生のしっかりした会社を辞めてもいいのか?その歳で不安定な職に就くのか?本当にそれが正しい選択か?

正しいかどうかは分からない。でも良い選択だとは思う。私の外面は「何歳になっても好きなことをすればいい」派だから。じゃあ実際のところは?心の底では不安で心もとなく、後ろめたい気持ちがあるのでは?


それはそうだ。新しい挑戦に不安は付きものである。しかし私は決めたのだ。外面も内面も「何歳になっても好きなことをすればいい」派になると。


月並みだが、人生は一度切りで、後悔している暇はない。精神を病み、毛を失い、休職した時点で私の人生は失敗も同然。これから新たな挑戦に失敗したとて、それはマイナスにはならない。今後の人生、平行線か上向くかのどちらかなのである。




私は今のところちいかわに興味はないが、三十路目前での新たな挑戦には心躍っている。将来的にはちいかわに愛らしさを見出すかもしれないが、その時はその時で、ありのままの感情を受け入れようと思う。

私はもういい歳であり、まだ若くもある。
私は私を自由にする。

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