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製造系大企業の今後に関する憂慮

一昔前のスタンダードは「エリートは大企業に行く」であったと思います。

少なくとも、2016年にシャープが外資の傘下になった出来事より以前の日本では、エリート理系は大企業に行くことが普通とされていたのではないかと思います。

近年は、エリートの就業先としてベンチャーやコンサルなどへのシフトが進んでいます(と言われています)。

ここ10年以内に大きな変化があったことは、ビジネスマンであれば肌身で感じているのではないだろうかと思います。

今後、大企業がどのように変貌を遂げていくのか、個人的な憂慮を書き留めておこうと思います。

自動車業界のプレーヤーチェンジ

自動車業界は大変革の時代と言われます。

「電化」「自動化」の二大改革の中で、自動車メーカー各社が危機感を示しています。そんな中、急激に力をつけつつあるテスラは時価総額でトヨタを抜き去りました。

あくまで自動車業界でのプレーヤーチェンジではありますが、2003年に設立された振興の自動車メーカーが、売上高で先を行くトヨタと逆転したことは衝撃的でした。

2021年現在、とある説を聞かなくなりました。

GoogleやAppleが自動車メーカーになる

自動運転のトレンドが急激に進んだときに聞かれた、IT系の会社が自動車メーカーになるという説です。

自動運転がポピュラー化するにあたって、これまでの自動車メーカーの技術は汎用化され、制御に強みを持つソフト会社が自動車メーカーになり替わるという趣旨です。

まだ完全自動運転には遠いことや、販売網やサービス拠点が少ないことなどの課題も多く、この説は少し下火になったのではないかと思います。

Googleが自動運転から撤退したこともとどめだったのかもしれません。

ハードとソフトのせめぎあい

DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、ソフトウェアなどを提供するメーカーの存在感が強くなっています。

現状は、ソフトを乗せる箱を作るハードのメーカーが完成メーカーとして力を持っています。ソフトは買い付けるものという認識があるということです。

これから先考えられるシフトは、物は買い付けるものになるということです。

これまでは自動車メーカーが部品やソフトを買い付けて、それを組み上げることで価値を生み出していましたが、これからは「サービスを主体にしたソフトメーカーが車を買い付ける」というイメージです。

現在はこの過渡期ではないかと思います。

具体例として、自転車とレンタサイクルの関係を考えてみると良いのではないでしょうか。

自転車メーカーはレンタサイクルのサービス事業を考えることがありませんでした。そのため、レンタサイクル事業を考えた会社が自転車を買い付けて運用するという形になっているわけです。

このように、サービスを提供する会社が製造会社からものを買い上げて運用するという構図があちこちで起きるのではないかと考えられます。

サプライヤーとの逆転

完成メーカーとサプライヤーの逆転現象の例が最近生じたのでご紹介したいと思います。

2021年2月、半導体不足によって自動車の生産に影響が出ました。

半導体需要は右肩あがりであり、供給先に困らない状態が続いていました。

そのため、生産が逼迫した場合には利益率の高い産業を優先するという選択肢が取れるようになったのではないかと考えられます。

製造系大企業の未来

私は、「現在の製造系大企業は工場機能だけが残されていく」と考えています。

経営戦略はコンサルに、サービス形態の整備はベンチャー企業に、間接業務は外部委託に…。

新しいことに挑戦することを思い出さない限り、工場化の未来は避けられないのではないでしょうか。

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