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ニッポンの世論はいつも文系がつくる

 学び直しがクローズアップされておる。

就職して社会人になってからも、時代の変化に応じて、新しい知識やスキルをつけるべく「学び直し(リカレント、リスキリング等)」することが大事らしい。

………..いわゆる研究職を始めとした理系職やIT業界にいらっしゃる方にとっては、違和感ありありじゃないっすか?

キミたちは今まで、一旦就職したら、もう何かを新しく学んだりしなくて良かったんすか???

おがばんのツッコミw

って思わない?

でさ。

私の過去の経験則で言うと、ガチ理系&数学に耐性のある理系寄りの人と、そうでない人では、圧倒的に前者の方が読書量が多いのよね。理由は「知識は書物(や論文)から得られるものだ」と思っているからじゃないかと。

でも文系の人たちは、圧倒的に(理系の人たちよりも)自分たちの方が多くの本を読んでいるし、文章の読解能力はあるとふわっと思っている。で、彼らが読んでいるのは小説だったり自己啓発本だったりするわけよ。

彼らは、別に新しい知識を得たりとか、仕事のスキルアップをしているとは限らない。っていうか、真面目にスキルアップを考えて学び続けている人なんて、レア中のレアじゃないかと。

でも研究職もIT職も、世の中は秒進分歩で、入社後数年間に培った知識と経験とスキルだけで定年までイケることは一切ない。ずっと学び続けないといけないのである。それが仕事であり当たり前の世界である。

国が予算をつけて「リカレント教育が大事!喫緊の課題だ!」などと言い出すなんてちゃんちゃらおかしいのだけれど、みんな大真面目にやっているのよ。

なんでか分かる?

そういう「自律的にスキルアップできない人」が、日本に大量にいるから!

大量に増えた大学の文系学部を卒業して就職したら、解雇されずに定年までイケるから、「就職後に学ぶ必要なんてないわ」と思う人を大量生産しちゃったからなの!!

韓国でも香港でも、日々スキルアップして学位や資格をプラスして、転職してガンガンと自分のキャリアを蓄積して、少しでも高い報酬の得られる仕事をゲットしようと必死なのを見てきたのに、帰国してみたら、ゆるゆるで仕事していて勉強もしない人達が大量にいてビビりまくったよ。

でも次世代を担うための人材が偏っていて、必要な分野では足らず、減りゆく職種に大量にいるから、「ディスコン職業に就いている人に、人材が枯渇している分野のスキルをつけて欲しい」からなのである。

つまり「これからはリカレント教育である!」と大騒ぎしているのも、今までそういうことをやってこなかった人も、要するに文系学科を卒業したヒトタチで、そういう方々で世論は形成されているわけなのだ。

(経団連などに属している)大手企業の重鎮が「オレたちが必要とする人材を、国が補助金を使って教育してくれなきゃ困るんやけど」と迫ったりして、世論が形成されちゃったりもするし。しかも補助が出ているコースを見てみたけれど、それがどれだけ実際の仕事の生産性や、自身のキャリアアップにつながるかというと疑問に感じるものも多々あるわけよ。

でも実際のリカレント教育なんて実は簡単じゃない。だって時間は有限で、仕事を終えてから勉強するなんて、実際はしんどすぎるのである。研究職もIT職も、それが実際の仕事に必要だから自分のプライベート時間を使って勉強したりはするけれど、「今の仕事を捨てて次の職を得るため」の勉強なら、マジでしんどいのである。

しかも、リカレント教育の指すものを吟味してみても、そのまま転職がすんなり行くような「競争力のあるスキルと経験」がすぐに手に入るようなものなんてゼロ。結局は、そのスキルをもってブラックだろうと低賃金であろうと、とりあえず数年間の武者修行で経験を積むというプロセスが必要になってきちゃうわけよ。だって即戦力でもない人に高給が払われるわけがないし。

それでも、今後のことを考えたら、何かをやらねばならないって焦る気持ちはわかる。

私も何もやらないよりは、いろいろな講座に通ってでもスキルをつけるべく努力する数年間を捻出した方がいいのだろうと思っていた時期もあった。

が、違う。

違うからね!

今からやるべきことは、資格を取得することでも、他分野のことを一から学ぶことでもない。

AIの力を借りて、自分の得意分野でプロダクトを作ること!!!
自分のあったらいいな!を自分で作っちゃうこと。
仕事に関係のある定型業務のうち、省力化&自動無人化できることはないかを考えて、試行錯誤してみること!


今までなら時間とエネルギーとコストをかけて一からスキルを習得しようとがんばっては見たけれど、やっぱりお金に結びつくところまでは行かなかったような人も、いますぐ、今日からすぐ、資格取得スクールなんかに行かなくても、サクッと成果物を作れる環境が整いつつあるのだ。

リカレント…..といって過去の自分を全否定しつつ新しい分野に挑むことは、本人にその意志があるなら誰も止めないけれど、仕方がなしにやるなら絶対に身にはつかない。「英語ができたら就活に有利かも」というレベルの熱量で、本当に英語が身についた人など見たことがない。K-POPアイドルが好きすぎて、彼らの言葉を肉声でリアルタイムで理解したいという想いが強すぎて、韓国語がベラベラになっちゃった人だったらたくさん知っている。

有益だが中途半端な知識やスキルと、「完璧に自分の血肉となったニッチな知識とスキル」なら、完全に後者が有利だというのは誰でも分かると思う。身についていない、使えないモノの価値はゼロなのだ。

だから、自分に興味のないことを漫然と学ぶくらいなら、今いる自分の環境で、与えられたAI系ツールを使い倒して何らかの成果物を出すことを考えた方が生産的だ。触っているうちに、現時点でAIができることや、そのクセ、その限界などを実感として感じ取っておけば、そこから「今後はこういう部分に長けた人材が必要なんだろうなぁ」ということが見えてくるんじゃないかと思う。自分が属するコミュニティによって、その限界の方向性と範囲は異なる。世間でざっくりと言われている「AIで消える職業」なんて話をそのまま無批判に受け入れて落ち込む必要はない。

まずデスクワークの方なら必ずさわるであろうMicrosoft Excelのマクロを、ChatGPTを使ってつくってみるのも良いと思う。

Kindle unlimitedで読めるよ。


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