Learning for Well-Becoming

まわりの人とうまく関係を作り、より豊かに生きていくにはどうすればよいかを日々、考えてい…

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まわりの人とうまく関係を作り、より豊かに生きていくにはどうすればよいかを日々、考えています。組織開発やシフトスキル育成、感情的知性についての情報を収集しつつ、考えをまとめていきたいと思います。

最近の記事

組織における多様性や平等性、インクルージョン(DEI)をどう評価するか?

ここ数年、ATD(Association for talent development)という、企業や行政機関の人材育成に関する動向をセミナーやカンファレンスを開催したり、出版物を発行したりしている団体の会員になっています。この団体は、TD magazineという月刊誌を発行しており、毎月、興味深い記事がいくつか掲載されています。 このTD magazineの中から私が興味深いと思った記事をいくつか抜粋して不定期で紹介したいと思います。今回は2021年10月号からの記事を紹

    • 「何のための研修か」を問うためのインストラクショナルデザイン

      最近、研修設計に関する興味深い動画を見ました。動画は2019年のLearning technologyというイベントの講演動画で、プレゼンテーターは研修コンサルタントで、人材育成に関する書籍の執筆・講演を行っているキャシー・ムーア氏です。Action Mappingという、企業内の職場における課題解決と人材育成を直接的に結びつけるためのインストラクショナルデザインモデルの提唱者でもあります。 この動画は、フィンランド在住のインストラクショナルデザイナーの友人から、「企業内の

      • モチベーションは矛盾をはらむもの

        先日、「先生のためのコーチング」という記事を書きました。今回は、その続編にあたる記事です。 わたしは、現在、高校や大学等、教育機関の先生方に教育設計のサポートを提供する事業を開発する仕事についています。そのため、どうしたら先生方に効果的な教育実践のサポートを提供できるかということに興味があります。 先の記事でも書いたように、大人の学びを支援するためには短期間の「研修」で知識を伝授するだけでは十分ではないと思います。研修後もコーチングなどを通じて、フォローアップをしながら、

        • たかが言葉、されど言葉:ウィトゲンシュタインに「出合う」

          ガーゲンの「あなたへの社会構成主義」という本の読書体験について書きました。 今回はそれに関連するお話です。この本では、哲学者ウィトゲンシュタインの言語に関する論考が、たびたび参照されています。いつかウィトゲンシュタインの本を読んでみたいと思っていました。 ところが…。ウィトゲンシュタインの本が難解すぎて、ついていけず、何度も挫折してしまいました。わかりやすい入門者はないかなあと考えていて、はや数年の月日が経っていました。 中村昇著「ウィトゲンシュタイン、最初の一歩」との

        組織における多様性や平等性、インクルージョン(DEI)をどう評価するか?

          「異なる価値観を持つことを前提に、うまくやっていく」という社会構成主義の教え

          いま自分は教育現場の支援に関わる身として、サポートする相手である先生方と自分の関わりは、どうあるべきかをいつも考えています。 その根底にある価値観はなんだろうか? 自分の普段の仕事のあり方を少し立ち止まって考えてみました。 改めて考えてみると、相手とは異なる価値観を持つことを前提に、うまくやっていく道を模索することではないかと思いました。この背景にある読書体験を今回は書いてみたいと思います。 「あなたへの社会構成主義」という読書体験 5年ほど前に、社会構成主義という、

          「異なる価値観を持つことを前提に、うまくやっていく」という社会構成主義の教え

          「相手の立場になって考える」は使い方次第?

          相手に共感しながら、相手の気持ちの寄り添ってコミュニケーションを取ることは良いことだという意見に同意する人は多いのではないでしょうか? 尊重し合いながら、独善的にならずに相手と付き合うことができれば、可能な限りお互いの幸せをにすることができるでしょう。 しかし、そこにはいくつか注意点があるのではないか、そう思わされる読書体験をしました。 読んだ本は、ハーバード・ビジネス・レビュー 編集部(2018)「共感力」です。 優れた聞き手は、どう振る舞うか? 本書は、ハーバードビ

          「相手の立場になって考える」は使い方次第?

          先生のためのコーチング

          教員免許の制度改革など、このところ、幼稚園や小中高校などの先生方の継続的な学びの支援のあり方を見直そうという議論が活発化してきているようです。 教員免許制度の廃止が現時点で決まったわけではないようですが、学びの支援のあり方について見直す機運は高まっているようです。 先生の継続的な専門性の向上支援のためには、どのようなアプローチが考えられるでしょうか? サポートのあり方を考える上では、先生方の長時間労働という状況を改善する働き方改革や学校という「職場」の組織改革等、現状の

          先生のためのコーチング

          そのメッセージ、受動的攻撃性を含んでいませんか? ―チャットでの感情表現の留意点―

          チャットで、以下のようなメッセージを受け取ったら、どんな風に思いますか? 「はい、わかりました。」 あるいは、以下のようなメッセージ。 「はい、ありがとうございました。」 なぜか、相手は怒っているのではないかという気持ちにさせられませんか?後者のメッセージは特に、文意は感謝のはずなのに、それとは真逆の否定的な感情を抱いているように思えてしまいます。なぜなのでしょうか? 文末に句点を打つことであらわれる受動的攻撃性カナダ在住のインターネット言語学者であるマカロック氏は

          そのメッセージ、受動的攻撃性を含んでいませんか? ―チャットでの感情表現の留意点―

          ポジティブな雰囲気づくりのための問いかけ

          まわりの人と上手に付き合うためには、オープンマインドで、お互いを尊重しつつ、言いたいことを言いあえる雰囲気を作ることが大事ではないかと思います。 しかし、これが難しいのも事実です。相手に否定的な感情を抱かせようとは思ってもいないのに、ふとした一言で相手を強張らせてしまったり、雰囲気を固くしてしまったり、といったことはありませんか? 私は、日々ちょっとした言葉遣いの難しさに直面しています。 問いかけのポイントそうした問題意識のもと情報収集をしていたら、大谷佳子(2019)

          ポジティブな雰囲気づくりのための問いかけ

          共感を探究しよう!

          ここ一年くらいで最も興味のあるテーマの一つに「人は共感をどう学ぶのか?」、そしてそれを「どう教えると効果的なのか?」という問いがあります。 共感への興味背景には、カスタマーサポートという業界で研修を担当していた経験があります。カスタマーサポートの仕事は、お客様と直接コミュニケーションを取り、サービスの顧客満足度を高めるというものです。 カスタマーサポートというと、一般的にはお客様が抱える問題に対して、それを直接的に解消する解決策を提供すれば良いと思われがちですが、そう容易

          共感を探究しよう!