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継続的に改善する仕組みづくりと運用の仕方

「enjoy!インハウス」は、ウエディングパークが主催する、「インハウス」ならでの面白さや難しさを語り合うイベント。

今回は「継続的に改善する仕組みづくりと運用の仕方」がテーマです。事業の成長やKPIの達成に向けた、当社での改善サイクルの仕組みづくりや運用の事例をご紹介した オンラインイベントのレポートをお届けします。

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「GA360×BigQuery×データポータルでチームのKPIを自動で評価するダッシュボードを運用している事例」

koriyamaさん

株式会社ウエディングパーク シニアディレクター/R.K
2011年新卒1期生としてウエディングパーク入社。 福岡営業所所長として従事した後、メディア開発本部のディレクターとして異動。 商品開発、SEOチームを経て、自社サイトにGAを導入・運用するチームの立ち上げを経験。 現在はマーケティングチームに所属し、自社サイトや、式場・指輪・フォトスタジオを運営するクライアントのサイトの分析やGAサポートを担当。

新しい仕組みやツールを導入する時、浸透するか不安がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。“効果が見えづらい”、“浸透しなかった”といったケースもよく聞きます。今回は、新しい仕組みを組織に導入・浸透させた事例として、私の所属するチームで、KPIを自動で評価する新しいダッシュボードを導入・運用している話をご紹介します。

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以前は、KPIの評価をスプレッドシートで集計・管理していました。ローデータを貼り付けた自動集計用のタブがいくつもあり、それをサマリー用のタブに集約して、定点観測用のダッシュボードをつくり管理していました。使っていくうちに、下記の課題が出てきました。

・更新の手間がかかる
・ローデータが増えて重くなり、使い勝手が悪くなってきた
・サンプリングデータ※を手動で集計をし直す必要がある
(※GAのサンプリングデータは、全データではなく概算値になるため、KPIの正確な進捗を把握するための手動集計が再度必要でした。)

これらを解決すべく、BigQueryを使ってダッシュボードを新しく作ることにしました。

調べてみると、Google Cloud Platformを活用して実現できることの幅は広く、やりたいことはたくさん溢れてきます。でも、いきなり全部は出来ません。大規模になればなるほど、開発・テスト・運用・ルール策定など、関わる人や影響の出る範囲が広がり、導入ハードルが高くなります。そして、無理をして導入しても結局、自分しか使えず形骸化してしまうリスクもあります。新しい物を導入する時は、活用する人たちがみんな、同じ熱量で当事者意識を持って使えるのがベストです。自分にしか使いこなせないなら、多少不便でも今まで使っていたみんなが使えるものの方がベターです。

そこで、要件を「重要度」×「緊急度」のマトリクスにして検討して、両方高い第一領域とした部分の要件のみのシンプルな設計でスモールスタートすることにしました。要件はこちらの3点です。

・サンプリング回避
・運用工数削減
・形骸化しないダッシュボード

実際に作成したダッシュボードは、運用の工数が月10時間から月10分になりました。その時間で、KPI達成に向けた施策により時間を割けるようになりました。
そして運用の上で何より重要な「形骸化しないダッシュボード」を実現するために、下記を実施しました。

小さな変化で、浸透ハードルを低く…裏側は大きく変えても、使うメンバーにとっての機能は大きく変えませんでした。

みんなが利用する機会を定期的に作る…朝会/毎日、定例会議/毎週、目標値を更新/毎月など。何でも自動化すればいいという訳ではありません。同じ熱量で利用してもらうべく、それぞれの担当者が日々触ったり目標数値を入力したりといった作業は残しました。

丁寧にレクチャー…新ダッシュボードの見方+使い方+更新の仕方のマニュアル、マニュアルの格納場所など、必要なら何度でもレクチャー!

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まとめ

・大規模な物だとリリースまでに時間も労力がかかるので、まずは要件を絞った無理のない運用設計にすること。周囲の人に小さくても成功をより早く体感してもらう、実績をつくるスモールスタートが大事。メリットを知るファンを増やしましょう。
誰でも使えるように、レクチャーしたり、全員で利用する機会を作ったり、1回での変化を小さくしたりと、丁寧に進めていくことが大事。
・利用する自分以外のみんながいかに変化を受け入れやすいか、どうやって浸透させるかを意識して実施することが大事。

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「Instagramを伸ばし続ける運用体制づくり」

doonさん

株式会社ウエディングパーク シニアディレクター/K.Y
2017年ウエディングパークに中途入社。ウエディングパークサイトを担当。 2019年10月よりSNS戦略チームの立ち上げからチームリーダーとして参画。新規アカウントを複数立ち上げ、現在まで合計50,000フォロワー以上を獲得。

運用するInstagramアカウントを伸ばしてきた現在までの体制や、リーダーとしてどうやってチームづくり・チーム運営をしているのかをお話しします。

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こちらの図は、一般的にInstagramを運用する上での指標のサンプルです。アカウント立ち上げ当初はフォロワーの増加を中心とした指標を追うことが多いと思いますが、10,000人規模になってくると、ダイレクトな事業貢献への期待も高まります。

弊社でも、フォロワーが10,000人を超えた頃、Instagram側の指標と事業側の指標両方にKPIを置くことになりました。そして、“フォロワーも増えたし次は事業側の指標を伸ばそう!”と、事業側の指標にKPIの比重を置くことにしました。でも、Instagram側の成長に比べて事業側の指標の成長は緩やかで伸び悩み課題に感じていました。

そこで、Instagram側の指標に注力し、ただフォロワーを増やすだけでなくファン化に全力を注ぐ戦略にシフトする事を決めました。熱量の高いファンが増えれば、Instagram内だけの動きではなく、事業にもいい影響が出るはずだと考えました。

そして、ファンを増やす為に、アカウントの世界観をつくりこむ、PDCA・仕組みづくりを徹底しました。実際のフローはこちらです。企画や分析については注力し、徹底的に話し合うことにしました。

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投稿企画MTG:フィード投稿の積み重ね(=タイルと呼ばれる9投稿のかたまり)が世界観を作るので、どう揃えるか、どう世界観を積み上げていくかを議論して決めていくミーティング。細かいニュアンスを話し合う為、オフラインで60~90分ミーティングを実施。
投稿振り返りMTG:投稿の1週間後を目途に30分ほど振り返り。分析ツールでエンゲージメントやリーチ数の確認、数値の比較・傾向分析を実施。また、数値以外にも「世界観を作れているか?」を振り返りの際の判断基準に。
「中の人」ペルソナMTG:複数人で運用や担当交代があっても投稿がブレないように、アカウントを運用する「中の人」のペルソナをつくるミーティング。常にペルソナを意識して、企画や振り返りの時も「○○さん(ペルソナ)だったらどうする?」が基準に。

また、これらのサイクルを加速させるために、チームづくりも工夫をしています。
一例としては、コミュニケーションの活性化や情報をチーム内に流通させる仕組みづくりです。

Slackで朝会(毎日5~10分):前日の数値確認で目線合わせ、質問や心理テストも。手軽に士気アップ。
Zoomで夕会(毎日10分):1日の出来事を顔を合わせて共有。疑問や違和感もその日のうちにスッキリ。
Slackで【ぼやき】:ちょっとした気づきやニュース・トレンドなどいつでも気軽に書ける空気感を作るため、チームのチャンネルで【ぼやき】と書いて気軽に投稿。
社内向けInstagramトレンド・実例メルマガ配信:アウトプットをフロー化するため、メルマガで配信。仕組みによってインプットが必然的に。
社内SNS担当者のナレッジ共有会:全社横断でナレッジを共有して流通させる仕組みづくり。

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まとめ

これらを続けた結果として、Instagramの成果が上がったのはもちろんですが、それ以上に事業への貢献指標としておいていたKPIが高角度に成長するようになりました。リーダーとして進めてきた中で考える、自然と改善が進むサイクルができる運用体制を作るために大切なことは、「明確!実行!実感!」です。

・戦略や目的は、はじめにとにかく明確にわかりやすく!
・説明するだけでなく、アクションも自分が率先して実行!
・今行っていることと戦略や目的との結びつきを実感してもらえるよう動く

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「新規事業を進化させ続ける仕組みづくりを公開!メディア×営業施策の運用術」

matsuuraさん

株式会社ウエディングパーク プロデューサー・アナリスト/A.M
2008年 ウエディングパークに中途入社。7年間営業を経験したのち、開発ディレクターを経て、新規事業Photoraitのメディアを担当。現在はプロデューサーとして、主にPhotoraitの開発・マーケティングを担当。元ウエディングプランナー。

Photoraitで実施しているメディア×営業施策の運用術というテーマで、事業成長させるための、サービスを生み出す仕組みづくりやチーム連携についてご紹介します。

Photoraitは、ローンチから今まで、右肩上がりでユーザー数・コンバージョン数ともに成長を続けています。サービス自体も、ローンチ当初はシンプルだった所からユーザーニーズを踏まえて機能を追加してきました。

チームは以前、職種によって部署が異なり、定例ミーティングはあるものの、職種をまたいで取り組みをすることは多くありませんでした。
2年ほど前に、営業職と開発職が同じ部署に所属する体制変更があり、これをきっかけに様々な施策や取り組みが行いやすくなりました。また、職種は違えどPhotoraitチームでは、「フォトウエディングでブライダル業界をイノベーションし、日本の結婚写真の価値水準をあげる」という意義目標※を目指しています。(※最終的に実現したいゴール)

これを聞いた時に、メンバー皆がワクワクしたことを覚えています。でも、目線は一致したものの、実現のためのアクションを日常業務に落とし込むのは難しく、壁にぶつかりました。そこで意義目標を言葉だけでなくきちんとワークさせるべく、「イノベーションって何したらいいの?」「価値水準はどうやったらあがる?」といったことを議論して決め、実現させるための仕組みを作ることにしました。そのために作ったのがこちらの3つの会議で、事業としての改善のサイクルをこの会議で回しています。

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イノベーション合宿…意義目標を達成するために、課題を議論・解決する会議。事業の意義とは?何のためにイノベーションするのか?といった意義を考えることから、「私たちが何をするべきなのか?」を具体的に落とし込んでいき、複数のイノベーションの種を見つけます。

イノP会議…イノベーション会議で見つけたイノベーションの種を育てる会議。優先度の高い課題を月1でテーマとして設定して、3,4人1組のチームでとことん議論して施策を検討します。それを事業部のチーム全体に提案し、開発案件として具体化します。

ディレクター定例…毎月初に、イノP会議で出た施策の開発にあたっての具体的な仕様検討やリスクの洗い出しを行い、開発を進めます。

この3つの会議のほか、メンバー間での情報流通を強化する取り組みも様々にしています。

・メディアだより…メディア内のユーザーの動きを共有して、マーケティングやクライアントへの提案に活かしてもらいます(メディア→営業)
・クライアントの声共有…定例ミーティングでクライアントの声を聞く為のアジェンダを入れて意見交換(営業→メディア)
・「外交官」…他部署のミーティングに参加して、良い文化を取り入れるための活動 など

まとめ
組織や事業を成長させるためには、運用する仕組みづくりが重要だと感じています。

・当事者意識を持って会議に臨める土台作りは合宿(集中的な長時間MTG)で!
・全職種で定期的に討論する時間を月一イベントに!
・アイディアを実現させる部隊をつくる
・定期開催のMTGのアジェンダに盛り込んで仕組み化する

元々当事者意識が強いメンバーは多いですが、自分の意見が採用される、いつ開発する案件の改善か、など、具体的に決まっていることも、意見が活発に出る要因なのではないかと思います。

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以上、「継続的に改善する仕組みづくりと運用の仕方」の当社での事例をご紹介したイベントレポートをお届けしました。

新しく仕組みを作り、継続的に運用していくためのポイントやチームづくりなど、参考になるものがあれば幸いです。

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