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【FVP政治観察記】(第4回)野党論

【衆参】

〜対決型か提案型か〜

1.「野党は批判ばかり」のウソ

第二次安倍政権以降「野党は批判ばかり」や、「野党は反対ばかり」といった論調が見られるようになりました。

原因の一つは与党と是々非々を標榜する日本維新の会や国民民主党の出現によりこれらの政党が他の野党との差別化を図るために使い出したということがあると思います。そして、メディアも野党を「対決型」か「提案型」かで区別するようになりました。

しかし、はっきり申し上げますと、「批判ばかり、反対ばかり」の野党は存在しません。どの政党も賛成し、反対し、批判し、提案しているのです。(「野党は批判ばかり」とういうのもまた批判であると感じるのは私だけでしょうか)

事実、各党それぞれ、様々な議員立法を提出しています。(詳しくは各党ホームページへ)

国会の採決に関しても政府提出法案に立憲民主党は8割以上、共産党でさえ5割程度は賛成しているという事実があります。



2.メディアは対決構図が好き

対決構図というのはわかりやすいですし、メディアはそれを好みます。国民の関心も高くなりますし、実際選挙となると異なっている点を比較して投票することになるのでその報じ方がだめだということを言っているのではありません。

スキャンダルとそれに対する野党の追求を報じるのに加えて与野党それぞれが何を提案し、何を批判しているのかそういうことも報じてほしいと思います。

国会は予算委員会だけではありません。国交委員、厚労委員などたくさんあり、各党が専門的に様々なことを議論しています。

ぜひそういうところも報じてほしいというのが私の願いです。

※各委員会での質疑はネット中継などがあります。ぜひご覧ください。



3.そもそも批判はダメなのか

ここまで野党の批判について論じてきましたが、そもそも批判することはネガティブに捉えられるべきことなのでしょうか。

私はそうは思いません。

批判は問題点を洗い出し、今後の議論へ向けての重要な足がかりになるでしょう。批判せずに、それぞれが提案した意見を眺めているだけでは議論は前に進みません。提案に対して批判をすることで新たな議論が生じ、より良い議論になるのではないでしょうか。

事実として、批判から政治が動いたことは多々あります。

例えば、コロナ禍における給付金についてもはじめの低所得者に30万という政府の案を野党が批判し、そして協議することで一律10万となりました。

他にも先日成立した統一教会被害者救済法もそうです。初めは政府与党は法案に前向きではありませんでしたが、野党が「後ろ向きだ」と批判したから与野党で協議され、可決成立に結びつきました。

「権力監視」という意味でも批判は大切です。

政府が好き勝手行動したときに追及される、批判されるという緊張感があるのとないのでは大きな違いです。税金の無駄使いにしても権力の私物化にしても批判し、追及しなければ国民は何も知らされないままです。

国民が情報を知らされなくなった国の末路はロシアや中国を見ていただければおわかりいただけると思います。



4.2種類の野党共闘について

ここからは少し話を変えて、野党共闘についてお話したいと思います。

野党共闘には2種類あると思います。

一つは「国会内での」野党共闘です。これは各党が国会内で法案を共同提出したり、まとまって論戦に臨んだりすることです。(統一会派については国会内での行動をすべて一致させるというかなり踏み込んだものなのでここでは含まないことにしておきます。)

もう一つは「選挙での」野党共闘です。これは各党が協議し、共通政策を結んだり、候補者調整したりすることです。

この二者は全く違う意味を持つと私は思います。

それぞれに程度の濃淡はあるにせよ、私の意見としては「国会内での共闘は積極的に進めるべきだけれども、選挙での共闘は慎重であるべき」というものです。

考え方が大きく違う政党でも、各党のそれぞれの政策で重なっている点についてその政策ごとに大きな塊となって論戦に臨んだほうがその政策は実現に近づくと思います。

一方で、選挙というのは国民の意志を示す貴重な機会です。任期を誰に任せるのかと言う機会です。

次の選挙までには様々な政策課題が議論されるでしょう。選挙のときには考えもつかなかったような問題が出るかもしれません。

そのような可能性がある中で、選挙での野党共闘は個々の政策の一致ではなく、「目指すべき社会像」がある程度一致しているべきだと思います。

このように考えると昨今の立憲民主党と日本維新の会の共闘は国会内での共闘にとどめておくべきで、選挙協力などはすべきでないというのが私の見方です。




※「FVP政治観察記」ではそれぞれのメンバーが活動を通して感じたことや政治への思いを書いています。賛同できる意見もできない意見もあると思いますが、ぜひご一読いただき、また、皆さんの意見を発信していただければ幸いです。

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