AkiraWada

*ご覧くださりありがとうございます。ここに記すことは、私個人の経験・見解であり、所属機…

AkiraWada

*ご覧くださりありがとうございます。ここに記すことは、私個人の経験・見解であり、所属機関の総意ではありません。また、医療に関する内容等を含むこともありますが、特定の医療機関や治療法を推奨するものではありません*

記事一覧

【HPAC2020.9.20】夕映えと、最後の5小節。

夕暮れは、なぜ美しいのだろうか。 背後から闇が迫るからだろうか。 とっぷりと日が暮れてなお、 最後の最後まで、彼は、山を登ろうとする。 登ろうとして、 もう力尽き…

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3年前

【HPAC2020.9.19】いも食べたい。

いも食べたい。 さつまいも食べたい。 ≪アルプス交響曲≫を聴き終えて、 そんなことを思った人が、この世に何人かはいるのだろうか。 総勢120名のオーケストラは、冒頭…

AkiraWada
3年前

【HPAC 2006⇒2020 ④】

14年前のことも、5か月前のことも、 「いま」に立って、振り返る… 当然、記憶の濃い、薄いがあり、 しかしそれは、時間が経ったから薄まっているかというと、 そうでもな…

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4年前
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【HPAC 2006⇒2020 ③】

「PACファンレポート」という連載を見つけた。 いまの時点で、4年前までさかのぼって読むことができる。 このnoteで2020年まで書ききったら、 じっくり読ませていただきた…

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4年前
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【HPAC 2006⇒2020 ②】

兵庫芸術文化センター管弦楽団(HPAC)の2シーズン目は、 2007年4月から2008年8月。 ◎第9回定期演奏会 チャイコフスキー : 幻想序曲「ロメオとジュリエット」 チャイコ…

AkiraWada
4年前
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病室バイロイト音楽祭

入院中、いちばん怖かったもの。 それは、注射でもMRIでもなく… 「夜」だった。 べつに、おばけが出るから、ではない。 つ、強がりなんかではない。 明日の朝、目覚め…

AkiraWada
4年前
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【HPAC 2006⇒2020 ①】

◎第1回定期演奏会 ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 2006.4.10(月) (ん)じゃじゃじゃじゃーんの、 (ん)を振り下ろした瞬間… …

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4年前
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真夏の空とロミオとジュリエットとブルックナー

ベッドに横たわりながら、見上げれば真夏の空。 青い空と白い雲。 絵に描いたような。 まぎれもなく、夏休みである。 そこが、病室であるということを除けば。 その名を…

AkiraWada
4年前
1

看板

人はそれぞれ、看板を背負って生きているのかもしれない。 わたしは野球選手 わたしはパン職人 「職業」が看板になっている人もいるだろう。 愛犬ポチの主人 何某という…

AkiraWada
4年前
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【HPAC2020.9.20】夕映えと、最後の5小節。

【HPAC2020.9.20】夕映えと、最後の5小節。

夕暮れは、なぜ美しいのだろうか。
背後から闇が迫るからだろうか。

とっぷりと日が暮れてなお、
最後の最後まで、彼は、山を登ろうとする。

登ろうとして、
もう力尽きてしまいそうで、
でも少し登って、
やはり力尽きて・・・

そんな最後の5小節。

人生の最期にどんな景色が待っているのか、知らない。
でも、もしかしたら、こんな感じなのかもしれない。

すべり落ちるようにして、
たどり着いた音は、

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【HPAC2020.9.19】いも食べたい。

【HPAC2020.9.19】いも食べたい。

いも食べたい。
さつまいも食べたい。

≪アルプス交響曲≫を聴き終えて、
そんなことを思った人が、この世に何人かはいるのだろうか。

総勢120名のオーケストラは、冒頭から気合十分。
リヒャルト・シュトラウスを弾ける/吹ける/叩けるよろこび、
みたいなものが溢れ出ていたと思う。

それでいて、自然体でもあり。。

今日は、思ったより雲の多い天気になったが、
秋の風が心地よい。

去年の今頃は、演奏

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【HPAC 2006⇒2020 ④】

【HPAC 2006⇒2020 ④】

14年前のことも、5か月前のことも、
「いま」に立って、振り返る…

当然、記憶の濃い、薄いがあり、
しかしそれは、時間が経ったから薄まっているかというと、
そうでもなくて。

もうひとつ、14年の中では、
音楽の聴きかたも変わってきているはず。

そんなことをひっくるめて、
私の、私による、私のための記録。
だれかの役に立つことは、ほとんどないでしょう。

それでも、この記事をそっと、世の片隅に

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【HPAC 2006⇒2020 ③】

【HPAC 2006⇒2020 ③】

「PACファンレポート」という連載を見つけた。

いまの時点で、4年前までさかのぼって読むことができる。
このnoteで2020年まで書ききったら、
じっくり読ませていただきたいと思う(いつになるねん)。

というわけで、こちらは、12年前までさかのぼる。。

◎第20回定期演奏会
バーンスタイン : 「キャンディード」序曲
バーンスタイン : 交響曲第2番「不安の時代」
チャイコフスキー : 交

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【HPAC 2006⇒2020 ②】

【HPAC 2006⇒2020 ②】

兵庫芸術文化センター管弦楽団(HPAC)の2シーズン目は、
2007年4月から2008年8月。

◎第9回定期演奏会
チャイコフスキー : 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
チャイコフスキー : ロココ風の主題による変奏曲
チャイコフスキー : 交響曲第5番

2007.4.6(金)

1階最前列でかぶりついて聴いたのは、14年のうちでこのときだけである。

緊張、した。。
べつに、オーケストラの

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病室バイロイト音楽祭

病室バイロイト音楽祭

入院中、いちばん怖かったもの。
それは、注射でもMRIでもなく…

「夜」だった。

べつに、おばけが出るから、ではない。
つ、強がりなんかではない。

明日の朝、目覚めるだろうか、
考えないでいようとするけれど、ふいに頭をよぎる。

だから、消灯時刻とは、
心の中で祈るときでもある。

「明日も、無事に朝を迎えられますように」

祈りをもって、すぐに寝つくことができるかというと、
そうでもない。

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【HPAC 2006⇒2020 ①】

【HPAC 2006⇒2020 ①】

◎第1回定期演奏会
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

2006.4.10(月)

(ん)じゃじゃじゃじゃーんの、
(ん)を振り下ろした瞬間…

指揮棒が飛んでいった。

飛んでいく指揮棒が描く、
放物線の残像が、
今でも目に焼き付いている。

「英雄の生涯」の最後、
静かなホルンの音色が、
今でも耳の奥に残っている。

◎第3回定期演奏会
シューマン:

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真夏の空とロミオとジュリエットとブルックナー

真夏の空とロミオとジュリエットとブルックナー

ベッドに横たわりながら、見上げれば真夏の空。
青い空と白い雲。
絵に描いたような。

まぎれもなく、夏休みである。
そこが、病室であるということを除けば。

その名を「横紋筋肉腫」という、がんとともに生きる日々は、
あっという間に季節を春から夏へと進めていた。

抗がん剤治療の副作用が落ち着いて、
あとは白血球の数がもう少し増えれば、外泊できるか、という頃。
体調はわるくないだけに、一番退屈する時

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看板

看板

人はそれぞれ、看板を背負って生きているのかもしれない。

わたしは野球選手
わたしはパン職人
「職業」が看板になっている人もいるだろう。

愛犬ポチの主人
何某というアイドルのファン。
「職業」だけじゃないかもしれない。

人はいつ、どこで、看板を見つけるのだろうか?

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「病名は横紋筋肉腫。治療は、秋ぐらいまでかかるでしょう…」
4月の夕方のこと。
病棟の片隅にある小部屋。
窓の外を見る

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