しなやかな心を目指そう:レジリエンス
1. ストレスに晒されて生きる僕たち私たち
ストレス社会と言われて久しいですが、現代社会は本当に疲れますよね。ストレスの原因は人それぞれだと思いますが、各人ストレスに晒されながら生活していることは確かでしょう。
本記事では、ストレスと、そこから回復する力であるレジリエンスについて解説していきます。目指すは、困難な状況で折れずに、柔軟に対応できる心なのです!
2. そもそもストレスとは?
そもそもストレス(stress)とは何なのでしょうか。
ストレスは、元は物理学用語で「外圧による歪み」という意味です。そこから派生して心理学の用語として定着したようです。心理学では、ストレスを「外部からの様々な刺激(ストレッサー)によって自分の心や身体に負荷がかかり、歪みが生じること」と定義します。
ストレスには、善い意味のストレスと、悪い意味でのストレスがあります。なぜなら、上の定義からもわかるように、ストレスは「外部からの刺激を受けることによる歪み」という意味だからです。
善い意味でのストレスとは、やりがいのある仕事に従事しているときや適切な人間関係を取り結べているときの、ちょうどいい負荷です。対して僕たちがよく使う悪い意味でのストレスは、自分の身体やメンタルに悪影響が及んでしまうような負荷ですよね。自分が傷ついてしまうような過剰な刺激。
人間は生きていく上で、ストレスを受けざるを得ません。とすると、善いストレスだけでなくて、悪い意味での、つまり自分が傷ついてしまうようなストレスも避けられないものであることがわかります。
それでは、悪い意味でのストレスをどのように対処すればよいのでしょうか?
3. もちもちメンタル:レジリエンス
ここで本記事の目玉の用語を紹介いたします。それがレジリエンス(resilience)です。
レジリエンスもストレス同様、もとは物理学用語で「ストレスを跳ね返す力」という意味です。心理学用語としてのレジリエンスは「精神的回復力」「復元力」「心の弾力性」などと訳されます。さらに言い換えれば、目の前の逆境やトラブルを乗り越えたり、強いストレスに対処することができる精神力のことです。
じゃあ一体、このレジリエンスを高めるためには何をすればよいのでしょうか。
レジリエンスを高めるには、知識を増やすのではなく、視点を増やすという姿勢が重要です。すなわち、一つの出来事や事実を多くの異なる視点から違う見方をする訓練をするのです。そのような態度がしなやかで折れにくい心を醸成するのです。
ちょっと抽象的ですね。それでは以下で、レジリエンスを高める方法とレジリエンスを弱めてしまう考え方を列挙したいと思います。
3.1 レジリエンスを高める方法
3.1.1 セルフコントロール感を高める
セルフコントロール感、つまり「オレがやってるぜ!感」が、レジリエンスを高めるために必要です。なぜなら、自分がコントロールできない困難に直面することが、自信や自己肯定感を失わせてしまうからです。
3.1.2 マルチタスクをしない
マルチタスクとは、複数の作業を同時並行で進めることです。これ、仕事してるアピする人がやりがちですが、脳科学的には逆に効率が落ちることがわかっています。二重課題干渉と呼ばれる現象です。マルチタスクが常態化している人は、いつも頭の中が「いっぱいいっぱい」になってしまっているのです。
3.1.3 マインドフルネス・瞑想をする
マインドフルネスというのは、簡単に言えば仏教+心理学の瞑想法です。瞑想というだけでちょっとカルトっぽーいと拒否反応を示す人もいるように思われますが、いわば呼吸法です。グーグルやアップルの社員研修にも取り入れられています。
(マインドフルネスや瞑想に関しては、今後たくさん記事を書くつもりなので、お楽しみに!)
3.1.4 単調さを受け入れる
僕たちは、意味のない作業に時間を使うことを極端に嫌います。ただ、そのほとんどが短期的な視点に立っていることが多いのも事実です。
勉強、スポーツの基礎練習、健康づくりなど、それらは中長期的視点に立てば、非常に価値のあるものなのですが、なかなか効果や進歩を実感できません。
そこで、次のような言葉を紹介しましょう。すなわち、「実りある単調(fruitful monotony(実りある単調)」です。
よっぽどの才能や運に恵まれない限り、何か大きなことを成し遂げるプロセスには、必ずある種の単調さが存在します。何のために自分がこの行為をしているのかをしっかり据えながら、「オレやってる感」を感じて、単調さを受け入れましょう。
3.2 レジリエンスを弱めてしまう7つの考え方
ちょっと項目が多いので、下のスライドで一気に説明したことにしちゃいたいと思います(内田、2016、68頁より作成)。
いかがでしょうか。まぁ、あるあるですよね。確認しますが、レジリエンス強化において重要なのは、視点を増やすことによって物事を多角的に捉えることです。上のスライドを見て落ち込んじゃったら、それこそレジリエンスが弱めてしまうので、ほどほどの反省でよろしくお願いします笑
4. まとめ
まとめましょう。本記事では、くそざこメンタルから、困難にあっても柔軟に振る舞えるようなメンタルへ変えていくためのキーワード、レジリエンスについて紹介しました。
その前に、そもそもストレスとは何かについて説明しました。繰り返すと、ストレスは心や身体への刺激による歪みなのです。ですから、良いストレスと悪いストレスがあるわけです。
それで、悪いストレスにメンタルがやられないようにするにはどうしたらいいのか、ということが問題になったのでした。その問題を解決するために、レジリエンスを高めることが重要とされたのです。
3.1節で、レジリエンスを高める方法を、そして3.2節でレジリエンスを弱めてしまう考え方を示しました。
レジリエンスを高めて、豆腐メンタルから、もちもちメンタルへと変えていきましょう!
おまけ
このレジリエンスという語は、心理学だけでなく様々な学問分野で注目されているワードです。例えば、災害からの回復について語られる際に、レジリエンスという語が用いられる場合があります。
思考の材料
参考文献
内田和俊『レジリエンス入門』、ちくまプリマー新書、2016年 (本記事の記述は主にこの書籍を参考にしています)
吉田昌生『マインドフルネス瞑想入門』、WAVE出版、2015年
その他
ウィキの、レジリエンスシリーズ ↓
第2章の記述は、特に下のサイトを参考にしました
あと、メンタリストDaiGoが最近レジリエンスについて話してました(けっこう久しぶりに動画見たんですけどね)。DaiGoは、トラウマを積極的に、細かく分析して記録することもレジリエンスを高めることになると言っていました。ふつうはトラウマを怖いから放置してしまって、原因までちゃんと見れていないのです。記録して、分析の対象にして原因を暴きましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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