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かぷかぷ コーヒー #y-03

まりさんが、最初の記事の中で
盛岡の旅行について書いていて。

そこにクラムボンが出てきた。
クラムボンだ、あぁ、あの、クラムボンだ。
憧れのクラムボン。


クウネルという雑誌のなかでクラムボンを知って、
それは私の憧れだった。
白髪混じりの優しそうなおじさんが焙煎するコーヒー。
かぷかぷ笑うあの、クラムボンからとった店名クラムボン。
小さなお店から全国に送られるコーヒー豆には、盛岡の季節をつぶやく手紙が添えられるそうだ。


それからしばらくして、
私は自分の料理教室のなかでクラムボンのコーヒー豆を使った。

コーヒー豆を注文するためにクラムボンの電話番号をインターネットで調べたとき、あのおじさんの訃報を知ったの。
あぁ、全部、こーゆーところなんだ、
会いたいも、行きたいも、食べたいも、愛してるも、結婚してくださいも、そのときなんだよ。
憧れはもうどこかへ。

私のクラムボンは、あのおじさんのクラムボンだっから、
あのおじさんがいないクラムボンは私にとって意味があるのか、そんなことも考えたけど、
私の手元にはクラムボンのコーヒー豆と、優しい文字の手紙が届いた。

コーヒー豆を注文するとき、あのおじさんの娘さんに、
クウネルを見てクラムボンを知ったこと、
おじさんを、訪ねて行きたかったけど、行かなかった後悔、
いつか、必ずお店に行きます。と話して。

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クラムボンのコーヒーは、ベーグルと合わせた。
私の下手くそなハンドドリップの説明では、クラムボンの美味しさはあんまりよく出せなかったかもしれないけど、
私はそこで勝手に、クラムボンの話をたくさんした。
で、みんなに飲んでもらった、おじさんの愛したオリジナルブレンドを。

私は飲めないから。
カフェインアレルギーなの、私。


★写真はイメージです。

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