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統合失調症の夫、ついに警察のお世話になるまでに・・・

私の夫は統合失調症を患っています。
出会った当初、夫はこの病気のことを隠していました。
初めて気づいたのは、お付き合いをはじめてから2週間くらいたった頃。
彼の言っていることと、行動のギャップが大きすぎて、
何か変だな?と思いました。
おかしくなると、目つきもキツくなるので、
まるで人が変わったかのようになります。

夫曰く、彼の両親ですら、この病気を理解していないのとこと。
一人でずっとこの病と闘っているのだと、私に告白してくれました。

大好きな彼が病気と闘っているのなら、私も一緒に戦おう。
そう思って今に至ります。

かわいい3人の子供たちにも恵まれました。
子供たちはまだ小さいので、父親が病気だということをまだ分かっていませんが、
あと数年したら、自分のパパは何か変だと気づくでしょう。

先日、ついに警察のお世話になりました。
機嫌の悪かった彼が包丁を2本手に持ち、自分に向けて刺す真似をしたり、
カシャカシャと音を立てたりし始めたのです。

こういうことは初めてのことではありませんでした。
今までにも、大きな流木を持ちながら、私を殴ろうとしたこともあります。
別に喧嘩をしていたわけでもなく、いきなり、このような行動が始まるのです。
おそらく、怒りの衝動が私に向くのでしょう。

病院に行くほどではありませんでしたが、
蹴られたり、叩かれたりしたこともあります。
その暴力も2年前からはありませんでした。

包丁をカシャカシャと鳴らし、ブツブツと文句を言い始めたとき、
私の側には娘がいました。
「いつものことだ」と冷静な気持ちでいる自分と、
「今日はもうダメかも」と一気に弱気になってしまう自分が混在していました。
「娘だけは助けなければ」

最悪な事態を想像しながら、どうやって娘を助けようと考えているときに、
夫は「警察を呼べ」と叫び出しました。
私は携帯電話を手に持ってはいたのですが、
本当に電話をすると逆上する可能性がありました。

警察に電話しろ!なんて言ってはいますが、
本音ではないということくらいは私には分かっていました。

カシャカシャという包丁の音、止まない文句、
そして時折悲しそうに、誰も自分を助けてくれない。
と言い続ける夫に耐えられなくなり、友人にメッセージを送りました。

「警察を呼んで」

友人はすぐに返事をくれました。

「今、警察が向かっています」

今まで一人で抱えて頑張ってきたけれど、もう無理だった。
ついに最悪の状態にまできてしまった。

警察のけたたましいサイレンの音が聞こえてくると、
私は急に悲しくなり、声を立てて泣きじゃくりました。
もっと私にも何かできたんじゃないか?という思いでいっぱいでした。

泣いている私を見て、夫は急に冷静になり、包丁を台所に置いて、
私のところにやってきました。
そこには、優しい夫がいました。

サイレンの音がどんどん近づいてきたとき、
夫はようやく自分のために警察がきたということを理解をしたようです。
自ら玄関のドアを開け、警察車両に乗り込んで行きました。

私も娘も別々に警察の方に色々と話を聞かれました。
包丁は夫自身に向けられていたし、暴力も2年前から全くなかったのですが、
今後、傷害などの重大事案へ発展するおそれがあるということで
・被害届の提出(刑事手続)
・ストーカー規制法に基づく警告、禁止命令等の申出(警察)
・DV(配偶者暴力)防止法に基づく保護命令の申し立て(裁判所)
これらを警察の方からアドバイスされました。

目の前に差し出された紙には、下記のことが書かれていました。
暴力爆発期  (激しい暴力)
  ↓
ハネムーン期 (謝罪して極度に優しくなり二度と暴力を繰り返さないと誓う)
  ↓
蓄積期    (ストレスが蓄積される)

いったん暴力がおさまって相手が優しくなっても、
それはいわゆる「ハネムーン期」かもしれない。
→また暴力が再開される可能性は充分ある。

まだ相手に情が残っている。外では真面目な人なのに。
自分さけ我慢すれば・・・と考えていませんか?
→あなた自身やあなたの子供の生命や身体を守ることを
第一に考える必要があります。

そう、書かれている通りのことを
私は長いあいだ耐えてきました。

そして、これからも耐えていこうとしているのです。
これが「情」というものなのでしょうね。

この私の決断がよかったのかどうか、
今の私にはわかりません。

警察の方にたくさん話を聞かれた後、
警察の方と一緒に、二年ほど前にかかった病院へ行きました。
そう、夫は薬を何も服用していません。
精神科の先生は、苦笑いを浮かべ、薬を飲まないから
こういうことを起こすんだ。と仰っていました。

薬を飲んで治るのなら、はじめから飲んでいる。
そして飲み続けている。

これが夫の言い分です。

夫の言いたいことは十分分かっています。
私も精神科の先生のいうことはあまり信じていません。

この嵐のような日と翌日は、
夫は警察を呼んでくれた友人宅でお世話になりました。
この友人は哲学などを勉強している人で、
よく夫とご飯を食べに行ったり、スポーツをしたりと気が合う唯一の友人です。
警察沙汰になった後も夫の良き話し相手になってくれています。

夫が病気のことを人に話したがらないので、
私も今までは誰にも話していませんでした。

なので、何の前触れもなく、
大きな打ち上げ花火を打ち上げてしまったごとく
一気に警察のお世話にまでなってしまいました。

これからはもっと周りの力を借りていこう。
もっと私の本音をつぶやいていこう。
そう思った6月のとある日の出来事でした。





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