Fujiyama
何日ぶりかに梅雨がもどった ガラス窓についた雨のしずく しずくがここにくるまでに吸収した …
あじさいの花が咲いた 公園の入り口のところ われこそはと 無数の花が咲き乱れていた けれで…
わたしのこころはどこにあるのか わたしのこころはどこかにはある 眼の奥のほうに ———— …
通りを行き交うひとびとは みななぜか口に蓋をされ、心に錠前をかけられている 魂は浮かび上が…
また舌をかんだ こんどは右側の奥のほう コロコロしたしこりが 奥歯に当たる 痛くて仕方ない…
静寂が耳に突き刺さる午前二時 夜の闇は底が抜け 意識はどこまでも沈潜する 黒の世界 あらゆ…
初夏の碧い日差しが 高層ビルに反射しあう 露出オーバーな世界が まぶしい ビルの谷間にひっ…
漁港から届いた魚が 市場に並ぶ あわれ 捕らわれた魚たちよ おおきな眼を見開き ギロリと睨…
海に波が立つのは 太陽の熱のためだという はるかかなたから じんわりと ぬくめる いま …
こんな夜は ガラスの飛行機にのって 空高く飛んで行こう 飛んで行こう 重たい空気をつきぬ…
降りそうで降らない 鈍く重たい雲が包み込む 朝 灰色の川 水は生気なく滞り 水辺に生い繁…
チン チン ウーン ゴト ゴト ガタ ゴト ぱらついていた雨もやみ 雲間には青い空も…
おさなごが 公園で拾いあつめたドングリを 庭にまいた 冬がすぎ ドングリは人知れず芽を出…
ひとりまどろむ ひさびさの陽光に照らされ はりつめた朝の静寂が こころなしかやわらかい …
闇夜の雨が屋根をたたく ぼくはひとり遠くを想う トン テン カン テン トン トン トン…
まだ新鮮な雨のにおいがかぐわしく 自転車をはしらす ヤマボウシのはなが 洗い髪のように艶…