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四次元のアジト

初夏の碧い日差しが
高層ビルに反射しあう
露出オーバーな世界が
まぶしい

ビルの谷間にひっそり
小さな社が佇む
こんもり繁る木々は
外界の喧噪と過剰な光を遮断する

その昔
真田幸村がここで死んだという
道明寺から天王寺にかけて
激戦のなか多くの将兵が落命したときのことだ

いま
ガラスとコンクリートとアスファルトの連合体が
死者の無念の魂を
がっちりと封じ込めている

でも
この社の森は
人目を避けるように時間の束を保存する
四次元のアジト

幸村が果たし得なかった想い
遠くに想う人のおもかげ
わたしの不安定な足どり
すべてが混じり合う秘密の場所

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