眠れぬ夜に
静寂が耳に突き刺さる午前二時
夜の闇は底が抜け
意識はどこまでも沈潜する
黒の世界
あらゆるものが輪郭を失う
あらゆる力から解き放たれる
わたし あなた
ひとびと ものごと おもい
みな 小さな粒子となり 溶け出す
無数の粒子が
渾然一体となり
不規則に浮遊し 消え また現れる
黒い海のなかに
あのひとのほんのちいさなかけらを見つけた
それだけだった
やがて粒子たちは
それぞれ元のからだに
戻っていった
耳に突き刺さる静寂が戻ってきた
どこかで鳥が鳴いている
夜明けも近いようだ
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