N.K

病院で働き方改革や看護管理のお手伝いをしています。大学院で死生学の勉強も始めました。日…

N.K

病院で働き方改革や看護管理のお手伝いをしています。大学院で死生学の勉強も始めました。日々多忙な医療現場で尽力されている皆さまに、tea timeにささっと読めるFYI (For Your Information)。時事ネタなど、気になる話題を紹介します。

マガジン

  • FYI.2023

最近の記事

FYI.20 日勤/夜勤の区別をマスクの色分けで

看護師の残業を減らすためにどうすれば良いか。一時、注目を浴びたのは日勤と夜勤でのユニフォームの色分けです。それにより劇的に効果が得られたというので話題になり、当院でも一度導入を検討したことがありました。でも、当院では病院で用意しているユニフォームとは別に、個別に着用したいユニフォームがあればそれもOKとしていました。そのため、初期費用はもちろん、職員のコンセンサスを得るのも難しいとして、ユニフォームの色分けに頼らず、長時間勤務の改善を図っていこうという結論になりました。 で

    • FYI.19 特養・老健が初の赤字に。

      来年度の診療報酬改定は、6年に1度の医療・介護・障害福祉等サービスのトリプル同時改定。そもそも国のお財布の紐が固いなか、どこにどれだけのお金を配分するか、今、非常に重要な議論が行われています。 そんななか、特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設(老健)の経営が国の統計調査開始以来初めて赤字に転じたというニュースが報道されました。主な原因は、光熱費や水道代の高騰によるものです。 特養も老健も、入りたくても入れない、入所待ちの高齢者が数多くある状態でフル回転していても赤字にな

      • FIY.18 面会制限

        この夏、甲子園での高校野球は4年ぶりの声出し応援可のもとで、慶應義塾高等学校が107年ぶりに優勝と大いに盛り上がったようですね。「盛り上がりが足りない」というコール、最初はなんのことかチンプンカンプンでしたが、今や、時々心の中で「盛り上がりが足りない」を歌って自身を鼓舞することもあるくらい・w 日本も遅ればせながら、世の中は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のフェーズに入ったということでしょうか。。。コロナのことを言っています。 それでも、病院ではコロナはまだまだしぶとい。ここに来

        • FYI.17 外国人患者の医療費

          前回は選定療養費について書きましたが、当院には外国人の患者さんも結構来院されます。ある日、患者相談窓口に外国人の患者さんが来られて、「以前、保険証を持っていなければ診察代が2倍になると聞いたのですが、本当ですか」と尋ねられました。 保険に加入していない場合や保険適用外の診療は、基本的に全額自己負担扱いになります。それが外国人だと更に2倍?!驚きました。しかし、確認すると実際に受診料は200%というか、自由診療として医療機関が診療価格を自由に設定できるということになっていまし

        FYI.20 日勤/夜勤の区別をマスクの色分けで

        マガジン

        • FYI.2023
          17本

        記事

          FYI.16 選定療養費って何?

          患者相談窓口に立っていると、時々「ここで診てもらいたいと思って初めて来たんだけどどうしたらいいですか」という問い合わせを受けます。 日本には世界に誇れる国民皆保険制度があって、健康保険証を持っていれば、いつでもどこでもリーズナブル(3割負担等)に医療を受けることができる、ということになっています。ところが人々の大病院志向が高じて、大病院の外来に症状の軽重問わず多くの人が殺到するようになり、大病院の機能不全が懸念されるようになりました。そこで国は、何かあれば、まずは地元の診療

          FYI.16 選定療養費って何?

          FYI.15 働き方改革とNP(ナースプラクティショナー)

          国が推し進めようとしている、医師の働き方改革。端的に言えば、医師の長時間労働是正に向けた取り組みで、その1つにタスクシフト/シェアがあります。医師が抱える膨大な仕事の中で、他職種が担えるものは積極的に移管していこうというもので、その主な担い手の中でNP(Nurse Practitioner : 診療看護師)が注目されています。 NPとは、「日本 NP 教育大学院協議会が認める NP 教育課程を修了し、本協議会が実施する NP 資格認定試験に合格した者で、患者の QOL 向上

          FYI.15 働き方改革とNP(ナースプラクティショナー)

          FYI.14 もう一つの「看護の日」

          しばらく投稿が滞ってしまったうちに、ゴールデンウィークが過ぎ新緑の季節となりました。そして、新型コロナが感染症法上の5類へ移行、、、と言っても何かがガラッと変わる訳でもなく、ただ水面化では役所や医療現場などで、状況にアジャストするための緊張感がしばらく持続するような雰囲気です。 先週金曜日、5月12日は「看護の日」とされています。近代看護の祖、ナイチンゲール「爆誕」と言って良いでしょうか、ご生誕の日。世界中のナースたちが、ナースとしての自分のアイデンティティをふと確かめられ

          FYI.14 もう一つの「看護の日」

          FYI.13 働き方改革と「リカバリー」

          病院では、新入職員への諸々のオリエンテーションを軌道に乗せつつ、いよいよ働き方改革のX-Dayに向けて待ったなしの状況になりました。X-Dayというのは来年、2024年4月1日で、医師の時間外労働の上限規制が法律上適用される日です。一般産業では2019年4月からすでに、月45時間、年間360時間の上限規制が定められていますが、医師など一部の業種については「急には対応できない」ということで、5年の猶予期間が与えられていたのでした。それが来年からは医師も、一部の特例を除き、原則、

          FYI.13 働き方改革と「リカバリー」

          FYI.12 死生学に興味ある?

          昨日は雨でしたが、そこここにもうツツジが咲き出して、「あれっ、まだ入学式も終わったばかりじゃない」と世界のスピードがどんどん上がっていることを肌で感じて焦ってしまいますね・汗 病院では、入職してくれた新人看護師さんたちへ、配属先をお知らせするセレモニーも無事に済みました。出来るだけ個々の希望に添えるように、人事側は本当に心を砕きます。それでも第3希望までお聞きする訳。。。 どうか、全ての新人さんのポテンシャルが配属先で開花されますように。 そして大学も、キャンパスには新入

          FYI.12 死生学に興味ある?

          FYI.11 渡航移植者の診療拒否をめぐる倫理的ジレンマ

          4月3日付のm3ニュースで、「海外での不当な臓器売買や移植ツーリズムによって臓器移植をしたと疑われる人は、その経過観察のためのフォローアップ診療を受け付けない」と、少なくとも国内で5つの病院が表明していることが報じられました。趣旨は、海外で横行する、所謂「闇」臓器移植を根絶するための措置ということです。 1954年に米国で初めて腎臓移植が行われて以来、臓器移植の進歩とともに、貧しい人からの臓器の搾取などの問題が現れました。そうした事態に対し、2008年に国際移植学会がイスタ

          FYI.11 渡航移植者の診療拒否をめぐる倫理的ジレンマ

          FYI.10 「口は禍福の門」

          新年度最初の月曜日。 これからどんな新しい出会いがあるのだろうと、期待半分緊張半分。 今日は眩しい日差しが「後ろを振り向かずに前進!」と、やや浮き足立つ私の背中を力強く押してくれているように感じられました。 新しい出会いの前には、さまざまな別れ。 先週、職場で開催された某先生の退任記念講演会では、とても心に残るお話を拝聴しました。テーマは、「言葉は人を繋ぎ、命を救う」。先生がこれまで達成されてきた多くのご功績の道筋が語られるなかで、「思いをきちんと発することが大切であり、言

          FYI.10 「口は禍福の門」

          FYI.9 利他的マインドと健康

          WBCが最高の結果で終わり、気が抜けた隙にやられてしまったのか、風邪をひいてしまいました。以前は滅多にひかなかったのに、免疫が弱っているのかしら。。。と自問自答。そんな私にぴったりの朝日新聞主催イベントが今月あったようです。 題して「アンチエイジングで健康長寿」。 日本医科大学の北村義浩先生と、岡山大学の山下徹先生による講演のなかで、免疫アップのためには「小学生のような生活」つまり、 〇規則正しい生活 〇栄養バランスの良い食事 〇適度な運動 〇休養(6時間以上の十分な睡眠

          FYI.9 利他的マインドと健康

          FYI.8 信頼と心理的安全性

          WBC、侍ジャパンがやってくれました! 未だに余韻に浸っている。。。いや、この感動を活力と学びに変換して、私も自分のフィールドで最高の結果が出せるように頑張らなきゃと思います。 それにしても今回の侍ジャパンは、チームあるいは組織の理想的なあり方の1つを示してくれたように思います。根幹に、栗山監督が強く持っていた「選手たちには十分な力がある。彼らにはできる」という選手への信頼「力」、これが大事だと改めて思いました。そして、最近、看護界でも取り上げられている「心理的安全性」も、

          FYI.8 信頼と心理的安全性

          FYI.7 笑いの健康体操

          やはり昨日、東京で桜開花宣言が出ました。(基準は靖国神社の標本木で5~6輪以上の花の開花が確認できた日になります)   マスクを外しても良いと言われても、今更外すのは何だか恥ずかしい。。。でも、やっぱり表情がみえること、特に笑顔がみられるのはとても大切なことと思います。笑いはストレス解消やコミュニケーションの円滑に資するだけでなく、最近では高血圧、糖尿病など生活習慣病の予防や、認知症、口腔機能、健康寿命や生命予後との関連も報告されているそうです。   これまで、コロナ禍でひた

          FYI.7 笑いの健康体操

          FYI.6 マスク着用、個人の判断に

          世間はWBCの大谷&ヌートバーフィーバーで沸いていますね。東京オリンピックの時は無人の観客席が、今は人で埋め尽くされて、喉元過ぎれば熱さ忘れるというのか、春の陽気も手伝って、人々の弾けるエネルギーを感じます。   そして本日から、マスク着用が「個人の判断」ベースに。「個人の判断」というのは、これまで同調圧力について繰り返し批判される日本社会において、その影響がどのように現れるかが見えやすい設定で、私たち個々が試されているというか、「自分で考える」ということを一旦させられるわけ

          FYI.6 マスク着用、個人の判断に

          FYI.5 国際女性DAYの意味

          3月8日、昨日は国際女性DAYでした。これは1900年代初めに米国やヨーロッパの各地で起こった女性の労働運動に端を発して、国連によって1975年に定められた日で、「国や民族、言語、文化、経済、政治の壁に関係なく、女性が達成してきた成果を認識する日」とされているようです。 古代ギリシャ・ローマ時代に遡れば、「(市民として認められた)男とそれ以外(女や奴隷など)」と考えられていた社会から今日に至るまで、女性であることを理由に受ける不当な差別や暴力などと闘う運動は、最近では性的マ

          FYI.5 国際女性DAYの意味