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FYI.16 選定療養費って何?

患者相談窓口に立っていると、時々「ここで診てもらいたいと思って初めて来たんだけどどうしたらいいですか」という問い合わせを受けます。

日本には世界に誇れる国民皆保険制度があって、健康保険証を持っていれば、いつでもどこでもリーズナブル(3割負担等)に医療を受けることができる、ということになっています。ところが人々の大病院志向が高じて、大病院の外来に症状の軽重問わず多くの人が殺到するようになり、大病院の機能不全が懸念されるようになりました。そこで国は、何かあれば、まずは地元の診療所などで診てもらい、そこで「これは大病院できちんと診てもらったほうが良さそうだ」と診療所の医師が判断してはじめて、大病院で診てもらうようにするという体制を整備しようと考えました。つまり、大病院にかかるためには、そうした診療所等からの「紹介状」が必要、というルールを設けたのです。

それでも、「紹介状がなくても、どうしてもここの病院で診てもらいたい」と思う人も少なからずいると考えられます。そういう人は、受診をしても良いけれど、その代わり「選定療養費」を頂戴しますよ、ということにされました。よくある「ご指名料」のようなもの(?!)というと、やや乱暴かもしれませんがイメージしやすいでしょうか。選定療養費を取るのは、200床以上の病院とされます。2016年からスタートして、その時は初診で5,000円〜、2022年10月1日には改定されて7,000円〜に引き上げられました。「〜」というのは、個々の病院で料金を自由に設定できるという意味です。

「えっ、そんなに取られるの?!」と思いますよね。
救急車で搬送された患者さんなど一部を除いて、取るのです。
つまり、大病院はもはやコンビニ受診できるところではない、ということです。
こうした制度を知らない患者さんの中には、病院側が不当に請求しているのではないかなどと疑念が湧いてしまう人もいるようですが、事実はこうなのです。

患者相談窓口では、「もし、紹介状をお持ちでなければ、選定療養費を頂戴することになりますが、よろしいでしょうか」という説明をしますが、病院まで来てしまった人は、せっかくここまで来たのだし、一刻も早く診てほしいから、選定療養費を払ってでも診てほしい、という人が結構多い印象です。そのお気持ちは、良く分かります。。。

このことは、もっともっとよく周知されなければならないと思います。

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