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FYI.19 特養・老健が初の赤字に。

来年度の診療報酬改定は、6年に1度の医療・介護・障害福祉等サービスのトリプル同時改定。そもそも国のお財布の紐が固いなか、どこにどれだけのお金を配分するか、今、非常に重要な議論が行われています。

そんななか、特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設(老健)の経営が国の統計調査開始以来初めて赤字に転じたというニュースが報道されました。主な原因は、光熱費や水道代の高騰によるものです。
特養も老健も、入りたくても入れない、入所待ちの高齢者が数多くある状態でフル回転していても赤字になるというのは、ちょっとおかしなことと思ってしまいます。当然、高齢者が暮らす施設で光熱費や水道代を節約するようなことは困難です(削れるのはもっぱら人件費。でも次に削ったら職員が辞めていくギリギリの状況にあることは容易に推測できます)。
光熱費や水道代の高騰は、多くの医療機関も苦しめられています。どちらも、国が定める報酬設定が厳しく、固定費が膨らんだ場合に対応できるゆとりが殆ど加味されてこなかったからではないかと思います。
一方で、診療所(クリニック等)は、黒字を叩き出しています。この結果を受け、財務省は診療所への報酬設定をもっと厳しくするべきと指摘しています。これに医師会が抵抗しているようですが、どう考えても全体のバランスが悪いことに気づくべきではないでしょうか。診療所だけ一人勝ちでは、日本の医療・介護提供体制は今後維持できません。個人的には、まずは人件費のバランスの観点から他の医療・介護サービスの水準にもっと寄せるとともに、診療所も医療機関と同様に、在宅診療やコロナ対応などに積極的に関わっている所とそうでない所にしっかり傾斜をつけた配分にするべきではないかと思います(診療所に限りませんが、あまりにも露骨にコロナ対応を拒否するところが多く、職業倫理的にもどうなっているのかとショックを受けました)。

サステナブルな医療・介護提供体制を構築するために私たちの税金が適切に配分されるようになっているか、議論の行方をしっかりウォッチする必要があります。直前になってから騒ぐのは遅いので、マスコミも今、もっと積極的に取り上げてほしいと思うところです。

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