見出し画像

FYI.8 信頼と心理的安全性

WBC、侍ジャパンがやってくれました!
未だに余韻に浸っている。。。いや、この感動を活力と学びに変換して、私も自分のフィールドで最高の結果が出せるように頑張らなきゃと思います。

それにしても今回の侍ジャパンは、チームあるいは組織の理想的なあり方の1つを示してくれたように思います。根幹に、栗山監督が強く持っていた「選手たちには十分な力がある。彼らにはできる」という選手への信頼「力」、これが大事だと改めて思いました。そして、最近、看護界でも取り上げられている「心理的安全性」も、信じる力が鍵を握るのではないかと思います。

「心理的安全性(psychological safety)」は、1999年に組織行動学を研究するハーバード大のエドモンドソン教授が提唱した定義で、「組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状態」を意味します。一見、ハラスメント問題と結びつきやすい用語のようにも受け取れますが、

 ハラスメント有→「心理的安全性」が落ちる
  ハラスメント無→「心理的安全性」が上がる

という理解だと不十分になる点は留意が必要かと思います。というのは、「心理的安全性」が高いとは、単に仲良し組織を意味するのではなく、互いにぶつかり合うリスクがあっても安心できる=安心して自分の意見が言える組織を意味するからです。

チームや組織のあり方として、強力なリーダーシップ下の即断即決、上意下達の体制は、一見強そうに見えます。しかし、リーダーの判断が間違っていれば、組織もろとも大きなダメージを受けるリスクがあります。また、恐怖政治的に、あるいは懲罰的にメンバーをしばり上げて、リーダーの要求をメンバーに応じさせようとするのは、メンバーを萎縮させることはあっても、やる気やコミットメントを高め、本人のポテンシャルを最大限に引き出すパフォーマンスを生み出すことは難しいでしょう。つまり、ミラクルを起こせるチームにはなれないということです。

ミラクルを起こせるのは、上意下達ではなく、個々のメンバーが自分たちの力で解決していこうとする化学反応から、想定以上の力を生み出せるチーム。その過程で意見のぶつかり合いが生まれたときに、それが抑え込まれたり、意見のぶつかり合いを予め防ごうとするのではなく、大いにぶつかり合いながら多様な解決策を模索していく。それによってどんどん成果を生み出していく。これが「心理的安全性」が高い組織の志向であり、複雑で困難な課題ばかりの今の時代で生き残る組織に求められる要件でもあるのではないでしょうか。

意見のぶつかり合いが単なる喧嘩に陥らないために重要なのが「互いを信じること」なのだと思います。チームや組織の目標に皆が真剣に取り組もうとしている、ということが信じられれば、異なる意見に対しても、それが足を引っ張るものではなく何か重要な示唆を与えてくれるものかもしれないと思えるはずです。

人を本気で信じることはなかなか簡単なことではないと思います。たとえば自分の上司や同僚、部下を見渡してみて、相手をどこまで信じてよいのか分からないと悩むのは普通だと思います。ただ、そう思う自分は、「相手から信頼されるに足る人間」だろうか。そう振り返ると、相手に失望する前にやれることはまだまだあるなと感じます。

今回の侍ジャパンでは、大谷選手やダルビッシュ選手は、チームの誰もが「彼らのことなら心底信じられる」と思わせる圧倒的な実績と本人たちの立ち振る舞いがあり、そんな彼らは栗山監督を信頼していた。この信頼の太い柱が、全ての選手を巻き込んでトルネードのようにミラクルを量産し、最後に大谷選手vs.トラウト選手の奇跡の対決まで実現させてしまったのではないかなと、ミーハーな私は感慨深く思うのでした。。。

【Information sources】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?