占領下の抵抗(注xxiv)

作家の津原泰水氏は2018.12.6 Twitter(現X)上で

僕がそれなりにGHQ通なのは回し者だからではなく、戦後巻き起こった「日本の公用語・正式表記」論議を調べた経験から。GHQ民間情報教育局(CIE)の人類学者ペルゼルは、日本の民主化の遅れの原因を読み書き能力に求め、表記のローマ字化を主張したが、識字率調査の結果を知り断念。100%に近かった。

津原泰水 Twitter(現X) 2018.12.6.13:28

と述べた後

同時期、志賀直哉は随筆「国語問題」で「日本は思ひ切って世界中で一番いい言語、一番美しい言語をとって」としてフランス語の公用化を推した。僕はこれを、他国語を積極的に受け容れれば、日本語が禁じられはしまいと予測しての、一種の囮作戦だったのではと考えている。志賀は仏語を話せなかった。

津原泰水 Twitter(現X) 2018.12.6.13:42


とコメントしています。

前半部分はともかく、後半部の志賀直哉の「国語問題」に関する考えは、拙論と同じではないが、それを一つの作戦として捉えているという点で、類似した方向性がある。

拙論を書くにあたっては、その動機として、志賀の「国語問題」について、それを作戦として捉える見方が全く見受けられない事に対する強い違和感があった。

津原泰水氏の発言を知らなかった事は全く私の不覚の致すところです。

本日(2024.1.3.)この発言を見つけた時、私は嬉しくなり、後先考えずに、あわててコメントを返してしまった。しかし、津原泰水が2022.10.2.に亡くなっている事をすぐに知った。

ご冥福をお祈り致します。

戦後のGHQのローマ字化政策の流れについては注xxviiに引用を元にまとめました。↓


この記事は↓の論考に付した注です。本文中の(xxiv)より、ここへ繋がるようになっています。



津原泰水氏Twitter



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