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【#Real Voice 2023】 「Start over」 3年・矢萩啓暉

気付けば大学生活もあと1年。
ア式蹴球部の部員として活動できるのもあと1年。



充実した日々もあと1年しかないと考えると少し寂しさを感じる。






しかし同時に、その寂しさを感じさせないくらいの「危機感」や「焦り」も芽生え始めている。


その「危機感」や「焦り」から


普段は何とも感じないような些細な事柄に対しても苛立ちを隠せなくなってしまったり、
また大好きな友人達にも不満を口にしてしまうような事が増えてきてしまったり、
さらにはマイナスな空気感・雰囲気を自ら作り出してしまったりと


あまり良くない言動に移ってしまう自分がいる。



「心に余裕が相当なくなってきているな」



と身に染みて感じている。



今までは、大半のことに関しては、容易に感情をコントロールすることができていた。
しかし、近頃は、ネガティブな方向に感情を持っていかれやすくなってきている。




なぜ「危機感」や「焦り」をそこまで感じているのか。



それは



将来への夢や願望が自分にはないことを実感しているから




である。



自分の人生の大きく左右するだろう極めて重要な年が到来しつつあるのにも関わらず、自分は今後何をしていきたいのか、どうなっていきたいのかがわからない。




大学4年目という年は、学生と社会人とを分ける境界線。
進むべく道の選択が余儀なくされる。
院に進学し、学生という道を継続するものもいれば、社会に出ていく者もいる。
そんな重要な節目に差し掛かろうとしているが、まだ、将来への活路を見いだせていない。
社会に出てどうなっていきたいのか、どうありたいのかが不透明である。
結局は口だけになってしまい、本音がどこにあるのかわからない。
そんな状態であるのだ。







こんな自分にもずっと夢がなかったわけではない。
本気で目指していたのかはわからないが、「プロサッカー選手になる」という夢を掲げていた。


いや、中学生までは本気で目指し、絶対になれると思っていたはず。


しかし、高校生になると、いつの間にか諦めていた。

それは客観的に自分を評価できるようになり、プロサッカー選手になるための能力と素質が自分にはないことに気づき始めたからであった。東北というコミュニティを抜け出した瞬間、技術も身体的能力も、周囲と圧倒的に劣っていることに気づかされた。プロサッカー選手という夢と現実の自分とでは、あまりにも乖離し、ギャップが存在していた。
自分の掲げていた夢が、現実味が限りなくないことを頭で理解し始めるようになった。



夢という言葉が徐々に薄れ始める。



現実的に物事を見れるようになったのかもしれないと肯定的に捉えるようになり、以後ロマンチストというよりはリアリスト寄りの考え方に移っていき、夢は消えていき、語らなくなった。




そして、将来への夢や希望がない状態で大学3年間を過ごし、現在の状態に至る。



日常的な目標は存在し、その目標達成へ向かうプロセスの中から得ることができる、感情の起伏。そこから充分な満足感は得られている。全く不満もない。
ただ、夢をがむしゃらに追いかけていた10代の頃と比較すると刺激は足りない気がする。





「あいつがああだって言ってた」
「こいつがこうだろうって言ってた」

だから
「みんなはこう思うだろう」


と周りに流され、同調してしまう日々。
現実的かつ安定志向が自分の当たり前のスタンスに。


夢を見るのは、、、と考える。





将来のことを考えるといっても、社会的地位や名誉を得ることを真っ先に考えてしまう。
周囲からどう見られるか、どう見られたいかだけを意識し、行動してしまう。
他人の目を起点に物事に対して思考を巡らせる。







果たしてそんな人生が最高に充実しているといえだろうか、、、






充実してないとは言えないし、満足していないわけではない。






だが、基本的には普通の日常になってしまう。
そこそこ充実した日常。
他人と代わり映えのない日常で満足できるのか。
安全地帯に腰を下ろし続け、ぬるま湯の環境で居続けるだけでいいのか。







このままでは、最高の人生を送ることはできないだろう。






Make it zero






安定から抜け出すこと。今までに築いたもの、プライドはどうでもいい。
もう一度夢を掲げ、そこに向かっての一歩を踏み出していく。
夢中になれる夢や願望を見つけ出して、更に人生を豊かなものにしていきたい。
カメレオンのように同じ色に染まるだけじゃおもしろくない。
この1年で壮大な夢を描けるように。







やり直そう。







もう一度自分の人生を再スタートさせる。





だからこそ、残り少ない学生生活を大切にしたい。
私の学生生活の大半はア式蹴球部での活動にあたる。
学生生活を後悔のないものにするために、まずはア式蹴球部の活動に熱意を持って取り組むこと。
そして最後に、みんなで心から喜んで卒部すること。
このことが自分の人生に最も大きな影響・感情をもたらすはずだ。





来年、ア式蹴球部は創部100周年を迎える。
創部100周年という年を、最高学年として迎えられるのも何かの巡り合わせ。
101年目以降も飛躍し続ける集団であるために、100年目は極めて重要な年。
再びア式蹴球部としてのスタートを迎える。
言わば‟やり直し„








これまで以上に覚悟と責任を持って。








‟Start over„という言葉を胸に刻んで。


◇矢萩啓暉(やはぎけいき)◇
学年:3年
学部:教育学部
全所属チーム:モンテディオ山形ユース

【過去の対談記事(早稲田スポーツ新聞会 企画・編集)はコチラ↓】


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