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【#Real Voice 2022】 「組織適応力の還元」 3年・大橋優貴



今年はいいな。みんなのブログを読んでから書けるから。




素直にそう思います。笑








みんなそれぞれの想いや考えを綴っていて、各々の価値観が垣間見えます。
改めて、ア式蹴球部は多様性が求められる組織だと思いました。





「多様性は、個性が集まるだけでは完成しない」

私はこの3年間でそう感じました。
個性が集まった中で、お互いを認め合い、受け入れあってこそ多様性が生まれます。
ア式蹴球部という多様性が求められる組織である以上、組織に所属する一員として、この多様性を実現させる一員でなければならないと思います。
そのためには、より他の人を知る必要があるし、知った上で受け入れる寛大な心も必要です。




しかし、これで終わりではない気もします。


認めて、受け入れた状態というのは、個が組織の中で居心地が良く感じている状態といえます。それでは、個人としても組織としても成長がありません。
どの組織でも居心地よく過ごすためのスキルが身につくくらいだと思います。





認め合い、受け入れあった先に、お互いを活かす。




これが多様性のゴールではないでしょうか。
認め合い、受け入れあった先に、そいつと真剣に向き合い、どうやったら組織でそいつが活きるかを思考する。この過程として、私たちは日々ミーティングを行ったり、ぶつかり合ったりします。最高の多様性はこのようにして生まれると思います。




ここまで、ア式蹴球部の特徴の1つである多様性の話をしました。
もう1つ特徴を挙げるとすれば、文化だと思います。哲学のWASEDA the 1stをはじめ、他のサッカー部に比べると、社会との接点やピッチ外の活動にも重きを置いている組織だと言えます。



私は今となって、この文化の素晴らしさに気づきました。(理由は後述します)



大切なのは、先ほどの多様性とこの組織の文化を掛け合わせることだと思います。
このような文化の中で、自分をどのように活かすことができるのか。そいつをどのように活かすことができるのか。


昨年、外池さん(前監督)は「組織に属する以上、組織の一員として組織にコミットする必要がある」(このようなニュアンスでした)とよくおっしゃっていました。

まさにその通りで、多様性が求められる環境と文化に適応する必要があると思います。
文化に適応するということは、先述した、文化の中で自分自身をどのように活かすかがゴールだと思います。


私自身、ア式蹴球部のような文化だからこそ部の一員として活動できていると感じます。
主体性や愚直・謙虚など、この組織に来てから何回も言われてきた言葉ですが、中学生時代から言われてきたこととあまり変わりません。その上、早実出身ということもあって早稲田の文化には他の人より少しだけ長く触れてきたのも要因かもしれません。





ここまでで話してきた、多様性と文化はア式蹴球部という組織に適応する上で必要不可欠な要素であると言えます。


今まではそう考えてきました。ア式蹴球部は特殊な組織だからそうなのだと思っていました。しかし、これはどの組織であっても言えることだと思います。



・お互いを受け入れあって、お互いを活かすこと
・その組織の文化に適応すること

これは、今後社会に出たあとでどの組織に所属しても必要になる重要なスキルです。
就活を始めて、より一層そう感じるようになりました。




さらに、これはサッカーをする上でも間違いなく重要なスキルです。

・11人の個性を受け入れ合い、お互いを活かすためにプレーすること。
・チームの戦術や規律の中で最大限自分を活かすこと。


このように考えれば、ア式蹴球部で必要とされているものはすべてサッカーにつながっていると結論づけられるはずです。



しかし、当たり前のように感じるこの2つは意外と実行することが難しいです。
試合中に、隣のやつをどう活かそうかなんて考える余裕はないに等しいですし、常に自分のことで精一杯です。それでも、ピッチ外で多様性や組織の文化に真摯に向き合っていれば、その効果は必ずピッチ内でも現れます。


チームが苦しいとき、誰かが苦しんでいる時、「自分が声を出して支えなきゃ」や「もっと走ってカバーしよう」という感情が自然と芽生えるようになります。ピッチ外で積み上げれば積み上げるほどその感情は湧いてきます。


今年の1年間、私はこれまでの2年間とは違った感覚でピッチに立っていたような気がします。相変わらず周りを活かす余裕はなかったですが、試合に出る時は、チームや仲間に対して、どういう働きかけができるかを意識できていた気がします。同じことを伝える場合でも、人によって伝え方を変えたり、伝えるタイミングを考えたり。
自分のプレーと同じくらい周りのプレーに気を遣っている感覚でした。



このような感覚を持ち始めてからはその違和感に少し悩みました。個人として成長をしている気があまりしなかったからです。しかし、そのような姿がチームからは求められているようでした。



私は中学時代の恩師から、ピッチ外の行動はすべてピッチ内で出ると言われ育ちました。ピッチ内ではピッチ外の人間性がすべて出ると。



まさにこの通りだと感じました。きっと私のピッチ外での今までの経験がすべてピッチ内に反映されているのだと捉えられるようになりました。
2年生まではピッチ外とピッチ内を分けて考えていたので、大きな変化だと思います。ピッチ内でも自分の味を出せるようになってきたと成長を感じました。


この経験から、私はア式蹴球部という組織において、ピッチ内外で多様性や文化に真摯に向き合えるという点で、活きることができると思いました。


これらを踏まえて、今シーズンの私の目標は明確です。大橋がいれば勝つ。そう言われる選手になります。今までの大学サッカーを通じて得た経験全てを駆使して、そんな選手になりたいです。自分とプレーする選手が、いつも以上の力を発揮できて、私がその中心にいる。それが理想です。





最後に、後述するとお伝えしたア式蹴球部の文化の素晴らしさについて記述して終わりにします。


一般的にサッカーをした人は、サッカーを通じて得たものを活かして、その後のキャリアやプロ生活を行なっていくと思います。
しかし、ア式蹴球部ではそれをピッチ外の方向からも本気で向き合って得られる組織だと思います。これができることによって、私がそうであったようにピッチ外の活動をサッカーに還元できる環境であると言えます。




私はこれこそがア式蹴球部の存在価値、さらには日本サッカー界全体で見たときの大学サッカーの価値だと思います。スーパーな選手はもっと早い段階でプロになっているはずです。大学での部活動を通じて身につく組織適応のスキルを通じて、どんなチームでもチームにとって不可欠な存在になれると考えています。


つまり、サッカーから将来に必要なスキルを学ぶだけではなく、サッカーにおいて大きな武器となる思考や価値観を身につけ、サッカーに活かせる組織だということです。
考えてみると当然のことかもしれませんが、ア式蹴球部でのピッチ外の活動をこのように捉えて真剣に向き合っている人は少ないと感じます。


私自身、最後の1年を通じて自身の多様性にさらに磨きをかけたいです。
新シーズン始動後、陽琉(奥田陽琉)と2人で新2年生全員と面談を行いました。面と向かって話すことで始めて理解できる部分や想像できる2年後の将来像がありました。



素晴らしい個性だと感じるとともに、私が理想とする多様性のゴールまでなんとしても運びたいという思いが生まれました。今まで以上に仲間と向き合い、そいつから存在意義を見出せるほど多様性を体現できる存在になりたいです。





そして、今年1年だけでなく、私と関わった100期から102期の後輩たちが強い早稲田を取り戻していく、そんな礎となる1年にします。


◇大橋優貴◇
学年:3年
学部:社会科学部
前所属チーム:早稲田実業学校高等部

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