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【#Real Voice】 「俺は、割り切ってなんかいない」 2年・大橋優貴

「組織に所属するということ」
 
私がア式蹴球部にきて、1番考えるようになったことである。どれくらい考えるようになったかというと、英語がほとんどできないにも関わらず、組織・人材マネジメントゼミという、公用語が英語のゼミに自らチャレンジするほどである。(もちろんついていくのに必死です笑)
 
 
今までは、自分の所属しているところを、あまり「組織」という単語を用いたことはなく、「チーム」という言葉で表現する方がしっくりきていた。しかし、ア式蹴球部にきてからは、「組織」と言う方がしっくりくる。
 
 
「組織」という単語を辞書で引いてみると「ある目的を達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団」と示されている。一方、「チーム」は「団体競技に参加して勝利をあらそうそれぞれの組」と示されている。
 
 
これを踏まえて、組織とチームの間にある大きな違いは「役割」を持っているかという部分にあると私は考える。
 
 
ア式蹴球部では、選手はランテストと練習生期間、マネージャーも練習生期間を経て入部が認められる。新入生はこの期間でこの組織と向き合い、4年生は1年生と向き合い、双方にとって最適な判断が下される。ここで言う最適とは、新入生の立場からするとこの組織が自分の本当にやりたいこととマッチしているのかであったり、この組織に共感できるかであったりという部分である。4年生の立場からすると、自分の最後の年に共に戦いたいと思うかであったり、将来性を鑑みて組織にプラスの存在になるかであったりという部分である。これらを4年生と監督を含めた社会人スタッフが総合的に判断して、決断が下される。(完全に私の主観です)
 
 
練習生の頃、私は「日本をリードする存在になる」というこの組織のビジョンにとても共感した。サッカーの枠に収まらないスケールの大きさ、この部を引退したとしても永遠に自らの目標とし続けられる、そんなところに惹かれた。
 
 
そして、私はこの組織の一員となった。
 
 
ア式蹴球部の一員となることは、自分にとっては非常に重いことだった。日本をリードする存在を目指す組織の一員と思うと、プレッシャーが半端ない。入部してから、サッカーのレベルの高さや、昨年の4年生の姿を見て圧倒される日々が続いた。
 
 
前述したように、組織に所属するそれぞれが役割を持っているならば、自分も何かしらの役割を全うしなければならない。当時の自分はここまではっきりではないが、やんわりとそのように感じていた。そのためか、私は寮外リーダーと呼ばれる役職に立候補し、これに就いた。そして、これまで、学年リーダーの陽琉と共に実際にこの役職について、学年の中心として活動をしてきた。

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その中で感じたことは、役職に就くと言うことは、役割を持つことと同義ではないと言うことだ。役職に就くと、その役名で組織に貢献しているように見える反面、ある程度は役名に守られているようにも見える。その役職や自分の立場と真摯に向き合い続けること、その先に自分自身の成長や組織の成長があると感じる。
 
 
4年生になると今よりも役職の数が増え、組織の中心として活動していくこととなる。そのため、学年全員にそんな力が必要になると思う。昨年の須藤君のブログには、4年生になることは100人をまとめることと同時に、100人の人生を背負うことになると書かれていた。自分はこの部分がとても印象に残っている。私たちの学年もさらに成長していく必要があると感じた。
 
 
今年の4年生を見てみると、B将には松浦君が就いている。B将は主にBチームのキャプテンとして活動をして、Aチームを目指す集団の先頭を走るような存在だと私は解釈している。私は今シーズン常にBにいるので、その背中を追い続けてきた。松浦君はこの役職を圧倒的なエネルギーで体現している。1つ1つのTRや発言からその熱量を感じる、自分たちもやらなきゃと思わされる。
ついに9月、松浦君は関東リーグのメンバー入りをした。Aチームに行ってからでも、自分たちBチームのTRは欠かさず見に来てくれて、自分たちのTRをよりいいものにしてくれる。B将と言う立場から組織に素晴らしい影響を与え続けつつ、自分自身も成長し続ける。そんな姿は、4年生として役職に就く人の最高の形だと感じた。
私は松浦君とはタイプが違うが、役職に就いて組織を引っ張り自分も成長する、このような存在になりたい。

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社会人リーグのベンチに入ってチームを鼓舞する松浦君(一番左)


ここまで組織について述べてきたが、あくまでもこの組織の中心はサッカーである。自分自身も、自身のプレーの成長のためや、あの勝利の瞬間の感情を味わうためにTRに励んでいる。
 
 
しかし、今年の春に1・2年の小グループでミーティングをしている際に、同期の颯辰から「大橋は割り切っているから」という言葉を言われた。組織への貢献を考えることはいいことだけど、それはサッカーをある程度割り切っているからできるのではないか、みたいなニュアンスだった。(本人は忘れている可能性が高い笑)
夏に、自分のカテゴリーの先輩と面談をしているときにも、「エゴというか、自分が!みたいなのがもっと欲しい」と言われた。
 
 
あの時は何も言い返せなかったが、今ではなんとなく自分でも理由がわかる気がする。それは、私のことを本気で動かす原動力は、ほとんどが他人のためだから。今までのサッカー人生において、あまりBチームを経験してこなかった私は、常に公式戦では「試合に出られない先輩のため」や「いつも支えてくれる同期のため」といった責任と感情を自分自身のエネルギーにしてプレーしてきた。それらが私を走らせたし戦わせてきた。

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ア式蹴球部にきて、なかなか公式戦に出場する機会もなく、それでも最高の環境で自分自身と向き合い、自分の成長のために費やしてきた時間は、今までにないほど楽しかった。あまり期待されていない、重圧の少ない中で己のサッカーに向き合うことはとても貴重な時間だった。しかし、どこか物足りないものはあった。私は、それを勝手に公式戦に出場する機会だろうと解釈してきたが、そうではなかった。
 
 
今年の9月頃になってから、社会人リーグで初めて公式戦にスタメンで出場する機会があった。それからも、社会人リーグと新人戦に出場させていただいた。もうシーズンが終盤ということもあって、4年生にとっては徐々に引退を意識し始めるような時期である。公式戦に出場させていただいたシーズンの終盤から、今の私には明確な自分がプレーする理由がある。
 
 
「4年生のため」 「別カテゴリーに繋ぐため」
 
 
自分のためじゃない、誰かのために責任を持ってプレーする。
これが、私の力が最大限に発揮できる最高の状態。別に普段より上手いプレーができるわけではない。いつもより集中して、いつもより走れる、自分に見えない追い風が吹いている感覚。このように思えるようになってからは、自分の中で今までとは違う感情でサッカーに取り組めるようになった。

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今年のチームを引っ張ってくれている4年生の引退を先延ばしにしたいという思いは、試合に出てからより強くなった。まだ一緒にサッカーをしていたいという思いは最近ずっと感じている。そういった思いが責任を持つことにも繋がる。社会人リーグは非常に厳しい状況となってしまったが、まだ関東リーグ、インカレは残っている。私もそこに貢献したい。
また、今シーズンの後半戦が始まるタイミングで、よりチーム内の繋がりを強めていこうという思いから「結繋きずな」という弾幕が作成された。

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「それぞれのカテゴリーのTR、特に試合結果が次のカテゴリーの公式戦に必ず影響を与える。だから必ず勝って繋げよう。」4年生は練習終わりの締めで、このような言葉をよく話す。実際のところ、私はこの言葉を100%信じている。そのため、この組織で出場する公式戦はとても大きな責任を持つと思うし、大きなプレッシャーも感じる。しかし、これを信じているからどのカテゴリーにいても本気で組織の一員として、戦えるのだと思う。
 
これが、自分なりに考えたあの時の理由である。実際に、関東リーグでプレーをするプレッシャーは感じたことがないから書けるものかもしれないが、今の私はこれを原動力にプレーしている。
 
 
 
 
ここまで書いた文を見返して、私が感じたことは、もっと大きな期待と強い責任感を背負って活動した時の自分を見てみたいということ。それらが大きければ大きいほど、自分の力を発揮できる気がするから。
 
組織の一員として、自分の役職を強い責任感のもとで全うし、関東リーグの舞台でその責任を胸に、期待とプレッシャーを自身のエネルギーにしてピッチを駆け巡る。
 
そんな、これ以上にない力が発揮できる最高の状態の自分を見たい。見せたい。
 
 
今は自信を持って言える。
 
 
 
 
 
 
 
俺は、割り切ってなんかいない

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大橋優貴(おおはしゆうき)
学年:2年
学部:社会科学部
前所属チーム:早稲田実業学校高等部

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