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【#Real Voice 2022】 「感謝」 4年・西尾颯大

約2週間。


これが俺のサッカー人生のタイムリミット。


幼稚園の時にちょっとだけサッカーをして、
本格的にサッカーを始めたのは小学1年生から。
最初は友達作りのような感覚からのスタート。
そこからサッカーに魅了され、
「楽しい」「上手くなりたい」そんな気持ちで毎日ボールを蹴り続けた。
結果が出た時はもちろん、それだけでなく、
放課後もほぼ毎日サッカーするくらいみんなとサッカーをするのが楽しかった。


中学校。
部活に入らずにクラブチームへ。
小学校よりもレベルの高いチーム。
そしてトレセンなどもあって、より高いレベルのサッカー。
プロになれる、俺は誰よりもうまいと思っていた。(今でも思ってます)
そんな自信もあり、自分の中でサッカーへの想いが強くなっていった。
サッカーはもちろん、サッカーだけに限らず、全てがうまくいった。


高校。
今までとは全てが違う環境。
楽しいことよりも、
「辛い、しんどい、きつい」
そんな想いの方が強かった。
練習はもちろん、寮生活、上下関係など、今とは比にならないくらい全てが理不尽。

1年目は夏に怪我をして手術。それで終わってしまった。
周りを見ても今までよりもレベルが高い。
「俺は試合に出られるのか」「まあなんとかなるっしょ」
そんなことばかり考えて、1年目を終えた。
そして2年目になり、怪我から復帰。
復帰後はなかなかうまくいかなかったけど、
運がよかったこともあって、冬の選手権から試合に出られるようになった。

3年目。
ほぼ全ての試合に出場。
プレミアリーグでは勝っていたのに、インターハイでは県予選で負けて全国に出られなかったり、怪我をしたりと、苦しいことも多かった。
インターハイに出られなかったことで、練習もより一層厳しい練習になった。
特に夏休みは地獄だった。
毎日1部目のトレーニングは、朝8時出走でクーパー走(ノルマが3200か3300)スタートだったことは忘れられない。

そんなきつい中でも、仲間がいたからこそ乗り越えることができた。
そしてなにより、きつく厳しいことを乗り越えたからこそ、選手権で準優勝ができた。
あんなに辛くて嫌だったけど、
3年間を終えてみればこの高校でよかったと思えた。


大学生になって、早稲田大学に入って、ア式蹴球部に入った。
「変なチーム」だなと思った。
「気持ち悪い」と思った。

今までのチームはサッカーが全て。
でもア式蹴球部はそうではなくて、
良くも悪くも色んな道がある。
そんな中で俺はずっと逃げていて、1.2年の頃は腐っていた。
今思うと恥ずかしい。
サッカーをしていて1番楽しくなかった時期。

3年になって、サッカーが楽しくなった。
試合にも絡むようになった。
でも試合に出れたのは少しだけ。
「出せよ」と思ってたし、俺が試合に出ないなら「負けろ」と思ってた。

4年目の今年。
ほとんどの試合に出場。
サッカー人生の中で1番勝てない。
こんなにも勝てないのかというような1年。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

高校時代の監督からの言葉を思い出した。
なんで勝てないのだろう、なんで負けるのだろう。
疑問だった。
捉え方は人それぞれだけど、負けるべくして負けていて、勝った試合もたまたま勝った試合がほとんど。
そう思った。
16年もサッカーをやっていても、最後までサッカーは難しい。


小学生から始めたサッカーも、
気づけばもうあと2試合で、残り約2週間。
時間が経つのが早い。あっという間。

俺の青春はサッカー。

友人の話を聞いたり、SNSで遊んでいる所を見ると、
楽しそうだと思ったし、そんな生活に憧れることもあった。
それでもサッカーに勝つものはなくて、全てをサッカーに捧げてきた。
生活の中心にはいつもサッカーがあって、サッカーのことを考えない日は1日もなかった。


サッカーをやっていなければ今の俺はいない。
サッカーがたくさんのことを与えてくれた。
サッカーがあったから輝けた。


そんな生活もあと少しで終わり。
来年からは社会人。
今まで当たり前だったサッカーが、日常がなくなるのは違和感しかない。

俺はこの先、これ以上夢中になれるものはないかもしれない。


高校の時から変わらない、
「日本一」への想い。
その想いを叶えることはできなかった。
プロになることはできなかった。


それでもサッカー人生に悔いなし。
サッカー人生をまとめると、うまくいってきたと思ってる。

今まで全てなんとかなってきたし、今後もなんとかなる。
なるようになる。


振り返って、
楽しいことよりも辛くきついことの方が多かったけど、
サッカーをやってきてよかったと本当に思います。

感謝。ありがとう。

この経験を糧にこれからの人生、
自分らしく、適当に生きようと思います。



引退した人みたいな文章だけど、

まだあと2試合あって、約2週間ある。

1つでも負ければ降格。
2つ勝てば残留の可能性がある。

最後の最後まで、サッカーは
「結果が全て」
だなと、感じる。


最後まで闘う。頑張ろう。





◇西尾颯大◇
学年:4年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:流通経済大学付属柏高校





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