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【早稲田カップ2024 #epilogue】「百聞は一見に如かず」3年・丸山翔子(ア式蹴球部女子)

早稲田大学ア式蹴球部女子3年の丸山翔子です。


はじめに

今回、早稲田カップの両日程に参加させていただきました。

改めて、開催にご尽力いただいた関係者の皆様、ありがとうございました。


早稲田カップの両日程が終わり、今感じている私の想いを文章に残せることを大変嬉しく思います。


拙い文章ですが、最後まで読んでいただければ幸いです。




昨シーズンの私たちア式蹴球部女子のスローガンは「誇闘(こどう)」。
早稲田の誇りをもって闘うという意味だ。


「早稲田の誇りってなんだろう?」

「誇りをもって闘うってどういうこと?」


昨シーズン、何度も何度も聞かれるたびに自分なりに考えてみたが、明確な答えを出すことはできなかった。


監督に急に質問されたとき、しっかり言語化して答えられるチームメイトもいたけれど、私には答えられなかった。


結局、インカレ準優勝をベンチで見守っていたが、「誇り」が何なのか、最後まで完全に理解することはできなかった。


ただ、1年間その答えを探し続け、考え続けたことに意味がある、と思っていた。


そんな想いを抱えながら臨んだ、初めての早稲田カップ。


子供たちから活力をもらい、たくさん学ばされた。どの1日も刺激的で記憶に残る1日になった。


そして、閉会式のときに杉澤会長(杉澤直樹氏/ア式蹴球部OB会・WMWクラブ会長)がこんなお話をされた。

「みなさんも後ろにいる選手たちのように、早稲田大学ア式蹴球部でサッカーすることを目指して、文武両道で頑張って欲しい。」

その言葉を聞いた瞬間、子供たちが一斉に後ろを振り返った。

私たちを見つめる子供たちの目はキラキラと輝き、憧れに満ちていた。

その光景を見た時、私は初めて、「早稲田の誇り」をこの身で感じて鳥肌がたった。


"早稲田大学は子供たちにとって、憧れの大学であり、早稲田大学ア式蹴球部は、サッカー少年少女たちの憧れのチーム。

だからこそ、私たちは憧れの存在で居続けなければならないのだ。"と。


早稲田カップが終わった今も「誇り」を言語化することは、私には多分無理だ。

でも、今回の早稲田カップを通じて、私は自分自身の肌で「早稲田の誇り」を感じてきた。


私にとっての「早稲田の誇り」は、一つ外の世界に踏み出してみないと気づけないし、感じられないものであった。


来シーズンも「誇闘」は常に忘れずに自分の心に留めておきたい。


すがとよ酒店


両日程とも、大会の終了後に、すがとよ酒店で菅原さんに震災講和をしていただいた。


被災した方から直接お話を聞くのは、初めての経験だった。


女将・菅原文子さんは、あの日、最愛の旦那様を津波で失った。その後、旦那様は1年3ヶ月もの間、行方不明のまま見つからなかった。


家族を失った深い悲しみ。

それでも生かされた命を必死に生きなければという強い想い。

直近で起きた能登半島地震の被災者を想う言葉。

気づいたら涙が溢れていた。


菅原さんのことも、すがとよ酒店のことももっと知りたいと思ったので、帰りに菅原さんの本を購入させてもらった。

レジに持っていったら、とても喜んでくださり、サインまで書いていただいた。

本には、震災が起きてからの菅原さんの苦悩の日々が日記のような形式で書き記されていた。


寒さと津波と火の恐怖に怯えながら屋根の上で夜を明かした日。

息子さんたちに救助された日。

思い出の詰まった我が家が解体された日。

行方不明だった旦那様が見つかった日。

旦那様のお葬式の日。


当時の菅原さんの想いが赤裸々に書かれており、帰りのバスで大号泣しながら読んだ。


今はインターネットが発達し、分からないことは調べればすぐに分かる。


東日本大震災のことも、情報だけなら調べればすぐに分かる。


だけど、亡くなった人の数だけ悲しみがあり、それと向き合い続けている人がいる。

何年経っても、どれだけ街が復興しようと、その心の傷は一生癒えない。


そのことを私は忘れかけてしまっていた。


私は、知ったつもりでいただけだったのだと恥ずかしくなった。


スマホでどれだけ調べても知り得ないことを体験し、感じることができた貴重な機会だった。



最後に

菅原さんの本の中で印象に残った一節を紹介しておきたい。


思わぬことがやってくる

いいことも わるいことも

どんどんやってくる

くじけそうになる

なげ出したくなる

そんな時 亡き人達が

かならず 出てくる

もう少しガンバレと


負げねぇぞと歩む

誰のものでもない 私の人生


丸山翔子◇ア式蹴球部女子
学年:3年
学部:スポーツ科学部
前所属:スフィーダ世田谷FCユース

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