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【#Real Voice 2023】 「変化を恐れるな」 4年・松沢遥

「まだ見ぬ自分に出会いたい」

前回のnoteの最後に書いた言葉。

そこから約10ヶ月。

どんな感情を抱いているのだろう。



感情の浮き沈み、やる気のなさ、その日のメンタルに左右される練習態度等々。
自分でも分かっている自分の悪い部分がもろに出てしまった3月。
分かっていても目を背けて直してこなかった部分が最後の最後、ラストシーズンでそのツケが回ってきた。

当然そんな奴は評価されないし信頼されない。試合に使われない。
FCでも試合に出ないか出ても途中出場の日々。

ある日、
大森さん(ア式蹴球部コーチ)から
「松沢はこれからの人生でもそこそこの成果は出せるだろう。だけど松沢がいたから、松沢のおかげでくらいのインパクトを残すことは今のままでは難しい」
「最後の1年、松沢がいたからと言われるような大仕事を何回かしよう」
こう言われた。

こう言われたものの、
普段の自分なら、
やらない理由を探して現状から逃げるかせいぜいまた明日から頑張ろうくらいで片付けていただろう。

生活の中心はいつでもサッカーで、サッカーが全てだったこの人生、
サッカーなんて無限にできると思っていたし、サッカーをしている時間は永遠に続いていくものだと思っていた。
でも、
俺に残されているまた明日はあと数えるほどしか残っていなかった。
無限にあると思えたこの時間も有限で限りあるものであることを認識し、終わりが近いことを猛烈に意識させられた。

そこから行動を変えた。
まずは感覚的に1番体が動く57キロに体重を近づけようと、練後のローパワーと食事管理を始めた。
当然普段の練習も自分のできる全力で。
そんなこと当たり前だろと思うかもしれないけど、
感情の浮き沈みが激しくその時のメンタルに左右され続けてきた自分が、毎日の練習を本気でやり切ることは結構大変なことであった。

やり続けてやり続けて、これまでの当たり前と習慣を変えること。
ふとした瞬間に現れるもう辞めてもいいと囁いてくる弱い自分に打ち勝つこと。
周りに流されない強い意志を持ち続けること。
その日のメンタルに左右されないこと。
自分の欠点に向き合い続けること。
自分から変わろうとすること。

反復、継続、徹底、

4月はこの連続であった。

恥ずかしながら、
きついことから逃げてきた自分にとってこの経験はとてもしんどく大変であったが、
生き生きとし、
充実して密度の濃い時間だったと、
数ヶ月経った今思う。

あの時いつものように逃げていたら、一生後悔するところであった。

自分を変えることが他人を変える1番の近道であること。
このことに気づくのがあまりにも遅すぎた。
もっと早く気づけていれば、
子供の頃の夢を叶えられたかもとか満員のアルウィンでプレーできていたかもとかもっと活躍できたかもとかもっと試合に出られていたかもとか色々考えてしまう。
後悔も大きい。
まあでも間違いなく今後の人生の指針になるであろうことをサッカーをしているうちに気づけてよかったかな。



6月。
戸部(4年・戸部広大 / 早稲田大学本庄高等学院)が教育実習で2週間ほどチームから離脱したことにより、FCの4年生が自分一人になった。

これまでのサッカー人生を通して、
先頭に立ってチームを引っ張ったことがなかった。
誰かがやってくれるから、そういうキャラじゃないからで片付け、
練習の雰囲気作りも仲間への声がけも時には厳しいことを言うこともチームを引っ張る行動もあまりしてこなかった。

だがしかし、
この時ばかりはやってくれる誰かは他に誰もいなかった。
自分がやるしかなかった。

半ば強制ではあるが、自分の殻を破り、自分を変えるチャンスが、もう一度訪れた。

どう引っ張ればいいのか何をやればいいのかいまいち分からなかったから、
練習中試合中誰よりも声を出す
とりあえずこれから始めた。

最初の方はこんなことしたことがなかったから、
正直とても恥ずかしかった。
プレーがうまくいかず声を出したくないなと思う時もあった。
戸部がいてくれたらなとも思った。

でも1日1日と日が経つにつれて、
どんな状況どんな感情の時でも、
声を出すことが自分の中で当たり前になっていった。
これまでの当たり前を打破し、新しい当たり前を作ることのできた瞬間であった。
もちろん自分一人の力だけではなく、声を出したときにその声に乗っかってきてくれた人や4年の自分にも厳しく要求してくれた下級生など多くの人の力を借りて、変わることができた。

声を出してチームを引っ張ること。
チームスポーツでは先頭に立ち引っ張る人も重要だが、その人にどれだけの人が乗っかれるかも超重要であること。
90分間声を出し続けることがこんなにも大変であることを知れたこと。
これまで自分がのびのびプレーできていたのはこういうことを誰かがやってくれていたからと気づけたこと。
やり続ければ2週間くらいで恥ずかしさは消えること。
変わろうと思えば人はいくらでも変わることができるということ。
自分でも思ってもみなかったチャンスを掴むことができたこと。

たくさんのまだ見ぬ自分に、新たな自分に出会うことができた。



みんなには俺と同じ後悔をしてほしくないからあえて書きます。

自分を変えようとするのではなく誰かが変わってくれるのを待つ人がア式には少し多い気がする。
技術も才能もセンスも人より優れている人が多いからこそ、余計に勿体無いなと感じてしまう。

そういうキャラじゃないから、
誰かがやってくれるから、
ダサいから、
恥ずかしいから、
この組織はそういう組織だから、
自分は嫌われているから、
まだ下級生だから、

そんなちっぽけな感情で立ち止まっているのはもったいない。

時には不満を言ったっていい。

それでもいま動き出さないと、いま前に進もうとしないと、いま変わろうとしないと後で一生後悔するよ。

自分の恥ずかしい部分や欠点に目を向け続けること。
やり続けて継続してこれまでの当たり前と習慣を変えようとすること。
自分から声を出すことは難しくても仲間の声に乗っかることは今日からできる。
そうやって今日からできることを探して実行すること。
もっともっと自分から行動を起こして、行動を変えて、自分から変わろうとしないと。
自分を変えることができて初めて他人が、評価が、周りの目が、環境が変わる。
自分が変われば、時々、とんでもないチャンスが飛び込んでくる。
無限にあるやらない理由を探すのではなく、やる理由を1つ探そう。

来年から頑張ろうじゃなくて今日から頑張る。
明日から頑張ろうじゃなくて今日から頑張る。
今日から頑張ろうじゃなくて今この瞬間から頑張る。

この1つ1つの積み重ねが、
数ヶ月後数年後の自分の大きな自信となり、
苦しい時を乗り越える力になる。

立場学年性別関係なく、
こんな人が一人でも多くなれば、
本気で日本一を狙える集団になると思う。
日本をリードする存在に近づけると思う。

何かの縁で東伏見で出会った仲間と今しかできないことを全力でやりきってほしい。



最後に、
サッカー人生最後のチームがア式でよかったと心の底から思う。
みんなに出会えて、一緒にサッカーができて、本当に幸せです。ありがとう。引退して週6日会っていたみんなと会えなくなると思うとまあまあ悲しいです。来年以降も定期的に集まりたいです。
めちゃくちゃ尊敬できるドイツにいる先輩、友達かとつっこみたくなるほど距離の近い後輩たち、いじりいじられの同期、練前練後のだべっている時間、たまにある日夜の楽しみ、他にも数えきれないほどの宝物に出会うことができた。
1浪して、
早稲田に入って、
ア式に入って、
大正解だったと、
自習室で勉強しているあの頃の自分に伝えたい。
こんなにも素晴らしいサッカー人生を送れたのは、素敵な友達に出会えたのは、確実に両親のおかげ。
来年からはたくさん受けてきた愛を少しずつ返していきます。



残された時間はあと3週間。
3週間でサッカー人生終了。
3週間で人生の第一章閉幕。
3週間後どんな顔をしているのだろう。
前回のnoteに書いたもう1つの目標。
達成できていない。
まだ自分は変われる。
そう信じて、
あと少し、
全力で駆け抜けたい。

◇松沢遥(まつざわよう)◇
学年:4年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:松本山雅FCユース


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