【#Real Voice 2024】 「私が『プロサッカー選手』を目指すことをやめ、就職活動に踏み切った理由」 4年・アイクソエ怜生オーエンス
最後の部員ブログとなってしまいました。
商学部4年のアイクソエ怜生オーエンスです。
最後の1年間でした、人生最大の決断について書いていきます。
最終学年となった今年、自分の中で最も大きな決断である
「サッカー選手を目指さない」
という選択をしました。
小さい頃から追い続け、これだけ時間を投資してきたサッカーだったのでこの決断は難しいものがあり、決断に至るまでにかなり紆余曲折がありました。
3年生の終わりの時点でチーム内の序列が低く、このままいけば当然国内でプロになることは無理だと気づいたタイミングで、実は4年の初めから1年間の海外サッカー留学を考えていました。(将来的には海外リーグの2部や3部などに挑戦し、国内でプロに力が及ばずともマイナーリーグで、プロサッカー選手になるという夢を叶えられる可能性を残したかった。)
その過程で家族、これまでお世話になったサッカー関係者の方々、またア式の監督コーチにお話を伺う中で
「目的をはっきりした方がいい。本当にサッカーでプロになるためだけに海外に行くの?」
という問いを何度もされました。
その問いに対して私は自信を持って「そうです。」と答えられない自分がいることに気づきました。
当時の私は海外に行くことでサッカーも頑張りつつ、将来のために英語も覚え、さらに自身の価値観も広がればいいな、、といったように、目的が定まらないまま環境の変化に身を任せるような考え方になっていました。
感覚的にはサッカーを心から突き詰めたいと言うよりは、幼い頃からの夢を諦めることが「逃げ」であるという認識があり、ここで逃げることで自分は今後の人生のどんな状況においても「逃げ」の選択をとってしまうのではないかという危機感に襲われていました。
しかし、その考え方こそが「逃げ」なのかもしれないと徐々に感じ始めました。
無数の選択肢がある中で、自分の可能性に目を瞑りサッカーに依存し続ける毎日。しかもその理由が競技が好きだからではなく、過去の自分に対する罪悪感や義務感からくるものであると気づき、3年の最後になって自身の危うさを初めて自覚しました。
本当にサッカーでプロになりたいのか。
それが一気にわからなくなりました。
自分の人生の軸が崩れていく感覚に襲われ悩んでいたある日、相談していたコーチからサッカー抜きのひとり旅をすることを薦めてもらいました。
その話を聞き、一度フラットな気持ちで人生を捉えようと、オーストラリアにオフの2週間を使ってひとり旅をしに行くことを決めました。誰にも頼らず、自身が決めたプランで過ごし抜く、いわゆるバックパッカーのような生活をしてみたいと思いました。
オーストラリアに到着後は少ない期間を無駄にしたくないと、悩みながらも前向きに行動し続けました。
毎日何をするにも勇気がいる(日本語が通じない、文化が違う、頼れる人がいない)中で、どれだけ小さなことでも1人でやりきることがすごく自信になりました。普段の自分ならやらないようなことを毎日1つはやると決め、道端にいる人に近所のおすすめスポットを聞いて回ったり、ホステルのロビーにいる人全員に話しかけ、その日の夜ご飯のお供を見つけたり、地図を見ずに空港からホステルまで周囲の人に道を聞きながら(時に車に乗せてもらいながら)向かったり、こう聞くと些細なことですがその1つ1つが楽しく、新しい自分と出会っているようでした。
いつもの自分から、少しだけ勇気を出して新しいことをやるだけでこれだけ充実するんだと感動したまま、あっという間に旅を終えました。
この旅で感じたのは、
「少しの勇気で見える世界が大きく変わる」
「何事も経験してみないと分からない」
ということでした。
これは私にとって人生初めての、
自身が葛藤して、行動して、その上で肌で感じた生の教訓でした。これは言葉以上の重みを持って私の心に刻まれました。
よく海外ひとり旅をすると人生観が変わる、と言いますがこれはおそらく言語の壁や環境の違いがあることでコンフォートゾーン(ストレスや不安が少なく、落ち着いて過ごせる範囲のこと)を超えた経験がしやすいということなんだと思います。
また、こうした気づきを得ることができたのは、実際に海外に行ったからこそでした。
(頭の中をごちゃごちゃにして悩んでいるだけでは何も解決しない。それは悩んでいる風なだけだと去年のブログでは言っていました。その通りでした。)
海外という環境の中に飛び込むことで初めて得た少しの勇気で人生が好転していく感覚、それと同時に
「自分はまだまだ国内で、サッカー以外の可能性に対してチャレンジできる余地がたくさんある。」
と直感的に感じました。
またそのタイミングで、久しぶりに自分の将来に心からワクワクする感覚を思い出しました。
そして、帰国後は今まで選択すること自体が逃げだと思っていた就職活動を始めました。ひとり旅で学んだ、経験してみることの大切さを踏まえて周囲とはかなり遅れたスタートでしたが前向きに取り組むことができました。また、サッカーの技術だけではなく様々な要素が求められる就職活動は当初自信がありませんでしたが、少しの勇気を出してチャレンジすることの重要性を思い出し、臆することなく多くの壁を乗り越えることができました。
結果としては志望していた企業にご縁をいただき、来年以降は幼い頃想定もしていなかったサラリーマンとなり会社勤めの日々が始まります。
ここまで読んでいただいた人の中には、サッカー選手として大学4年間やっても結果が出ず、自分の中で夢を諦める言い訳を見つけただけだと思う人も少なからずいると思います。また、無我夢中でプロサッカー選手という夢を追い求めている小中高生や、当時の自分が見たら「負け犬」と思うかもしれません。
しかし、
幸い、今の自分はこれまでの選択に一切の後悔がありません。
どんな経験も全てが無駄ではなかったと全てのピースが繋がった感覚で、むしろ上手くいきすぎているとすら感じています。
幸せすぎます。
最後に、
4年間最後のブログでこうして堂々と幸せだと言えて本当に良かった。心からそう思います。
これまでの人生、中でもサッカーをしてきた18年間のすべてを今こうして肯定してあげられることがとても嬉しいです。過去の自分、よくやってくれました。
また、これを読んでくれているであろうダディとママ、たくさん苦労をかけました。おかげさまで気持ちよくサッカーを引退できそうです。本当にありがとうございました。
次のブログは石谷光基です。
彼はア式1の哲学者だと思います。4年間でかなり仲良くなり、オフにも出かけるほどですが、ふと見せる彼の真面目で繊細な一面には今でも驚かされます。
そんな彼が学生として世に残す最後の作品、期待しかありません。
皆様お楽しみに。