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【#Real Voice 2023】 「ナルキッソス」 3年・清井大輔

ナルキッソスが泉の水を飲もうと水面を見たとき、そこに美しい少年の姿があった。

ナルキッソスはすぐさま恋に落ち、口づけをしようとした。

ナルキッソスはそのまま溺れてしまい、溺死した。

諸説あるが、ギリシア神話に登場するこの少年は「ナルシスト」の語源となったと言われている。

25卒の就活シーズンの到来とともに、面接対策について少し調べてみると「周りからどんな人といわれるか?」という質問を発見する。

適当に友人に電話してみる。

まずはア式蹴球部の仲間、1番多かったのは「自信家」、その次に「ナルシスト」、その次に「変人」、大橋に「漢」と言われたのはちょっぴり嬉しい。

高校の同級生からは「ストイック」、次いで「ナルシスト」、その次に「自信家」。

中学の同級生からは「自信家」、次いで「異端」、その次に「合理主義」。

今までの人生を振り返ってみるとどうだろう。

小学校、中学校の個人面談では「リーダーの素質がある一方で、自己中心的な部分がある」と毎年言われていた記憶があり

小学校の女子グループが保有していた男子1人1人の評価が記載されている「評価ノート」には名前の横に「清井大輔 ただの変態」

中学生のころにツイッターで行われた「この学年で1番性格悪い奴は?」というアンケートスレッドでは2位と大差をつけ堂々の1位を獲得。

高校生のころ3年間本当にお世話になっていた恩師からは「能ある鷹、爪を腐らす」という貴重なお言葉をいただいた。

チャットGPT3.5に「ナルシストの特徴は?」と問いかけてみる。

ナルシストの特徴は多岐にわたります。以下に、一般的なナルシストの特徴をいくつか挙げてみましょう:

1. 自己中心性: ナルシストは自分自身を中心に世界を捉え、他者よりも自分の利益や欲望を優先します。彼らの行動や考え方はしばしば自己中心的であり、他者の視点や感情に鈍感です。

2. 自己評価の過剰: ナルシストは自分の能力や魅力を過大評価し、自己陶酔的な態度を示すことがあります。成功や称賛に対して過剰な期待を抱き、他者の評価が不足すると失望や怒りを感じることがあります。

3. 他者への無関心: ナルシストは他者の感情やニーズに無関心であり、他者の視点を理解することが難しい場合があります。他者との深いつながりや共感が不足しています。

4. 承認欲求の強さ: ナルシストは他者からの承認や賞賛を強く求めます。自分の成功や魅力を他者に認められることが重要であり、それが得られないと不安や不満を感じることがあります。

5. 人間関係の難しさ: ナルシストは他者との対人関係において問題を抱えることがよくあります。他者とのコミュニケーションが難しく、深い感情の交流や共感が不足します。

6. 優越感: ナルシストはしばしば他者よりも自分が優れていると感じ、他者を見下す態度をとることがあります。

なるほど、たしかに当てはまる。

そして「自信家の特徴」についても聞いてみる。

自信家の特徴は、一般的に以下のようになります:

1. 自己評価の高さ: 自信家は自分の能力や価値に対して高い評価を持っています。成功体験や肯定的なフィードバックからくる自信があります。

2. 積極的な態度: 自信家は積極的で前向きな態度を持っています。新しい挑戦や困難にも積極的に取り組み、ポジティブなエネルギーを発散します。

3. 自分の強みを知っている: 自信家は自分の強みや得意分野を理解しており、それを活かして行動します。自分の長所を活かすことで、成功への道を見出しやすいです。

4. 他者とのコミュニケーションが得意: 自信家は他者とのコミュニケーションが得意で、自分を適切に表現できます。社交的であることが多く、他者との協力関係を築くのが得意です。

5. ストレスへの対処力: 自信家はストレスやプレッシャーに対しても冷静に対処できることがあります。自分の能力や強みに自覚的であるため、困難な状況にも自信をもって対処します。

6. 目標を持つ: 自信家は明確な目標を持ち、それに向かって努力し、達成しようとする姿勢が見られます。自らに課す目標に対してコミットメントを持っています。

7. 他者を励ます: 自信家は他者を励まし、ポジティブなサポートを提供することがあります。他者の成功を喜び、協力的な態度を持ちます。

これらの特徴は、健康な自己評価と自己肯定感から生まれるものであり、自信家は自分や他者のポテンシャルを引き出す一翼を担うことがあります。ただし、過度な自己陶酔や他者を軽視する傾向がある場合、コミュニケーションの問題が生じることがあります。バランスが大切です。


なるほど、「天才とバカは紙一重」と言われるように「自信家とナルシストも紙一重」で、「よく言えば自信家、悪く言えばナルシスト」みたいな感じだろうか。

これまでの自分を振り返った時、たしかに自分はナルシストだった。

小学生の頃、天気はいつも自分の思い通りになってくれた。

祖父母が宮崎県と島根県に住んでおり、高千穂と出雲大社を幼い頃から聞かされていたから、もしかしたら自分は神の子なのではと思ったり

中学生の時はワンピースを読みすぎてしまったのか、もしかしたら自分はDの一族で「神の天敵」なんじゃないかと思ったり。

なにせ能力値が高かった。

1学年10組まであるマンモス校、上海日本人学校虹橋校で毎年開催される持久走大会では、毎年余裕の1位。

小学3年生のころはあえて2位になろうとしたものの、いつの間にか1位でフィニッシュ。

小学1年生で、初めてリフティングを教えてもらった際には、1時間後には400回くらい出来ていた。

10回いくかいかないかで、てこずっている周りのチームメイトを見て、「俺ってもしかして天才か」と思ったりした。

日本に帰国し、将棋クラブに入ると、2時間の激闘の末、顧問の先生を倒してしまう。
(⚠先生が手加減してくれた可能性も否定できません)

生意気な問題児に敗北を喫し、苦々しさを噛みしめる先生の表情を見ながら、満面の笑みで「ありがとうございました!」。

ところが、年を重ねるにつれ、自分が特別でないこと、そして上には上がいることを実感する。

ただ周りの人より早熟であっただけ、それだけだった。

ア式には自分より頭がいい奴、身体能力が高い奴、かっこいい奴、努力できる奴がうじゃうじゃ存在する。

今までの「自信」は「過信」であったことを痛感する。

そんなこんなで色々な経験を経て、現在の私はこう思う。






  

「俺は世界を変えられる」








この流れだと、「ああ、謙虚になったのかな」と予想された方もいるでしょう。

しかし、今までの「過信」は「圧倒的な自信」へとアウフヘーベンされた。

なぜだかは自分でもわかりません。

熱くて蠢いている得体のしれないエネルギーが、大地から足の裏を伝わって、心臓の鼓動を早くする。

どう世界を変えたいのか。

「戦争のない世界」をつくりたいです。

パレスチナで何人死んだ、ウクライナで何人殺された、というニュースを毎朝見るたび、怒りが湧いてきます。

変わらない世界と、何もできない自分に嫌気がさして

頭が熱くなった瞬間、突如油蝉の鳴き声が脳内で響き渡る。

急いでAirPodsを耳にはめ、「One more time,One more chance」を爆音で流します。

『これ以上何を失えば 心は許されるの』

優しい歌声が流れ出す。

落ち着いていく鼓動。

テレビを消して、洗面所に顔を洗いに行くと、美しい少年の褐色の瞳と目が合う。

母に似た可愛らしい二重と、父に似た鋭い一重。

『命が繰り返すならば 何度も君のもとへ 欲しいものなど もうなにもない 君のほかに大切なものなど』

「ああ、俺か」

ちょうど音楽が終わるとともに、ふと我に返り、顔を洗い始める。

自分が日々美味しいご飯を食べ、仲間たちと談笑し、ロマンティックな恋をしている地球の裏側では、同時的に人が殺されているという事実を、かけがえのない命がありとあらゆる残虐な方法で弄ばれている事実を受け入れることは出来なかった。

すべての子供が全力で遊び、すべての若者が青春で甘酸っぱい体験をし、すべての家族が食卓を囲みくだらない話で笑いあう、そんな世界を作りたい。

どうやったらつくれるだろう。

約20年という浅い経験値から導き出された現時点での結論は、「国という概念の破壊と完璧なパノプティコンの完成」です。

地球上のあらゆるところに監視カメラを張り巡らし、すべての座標を監視下に置きたいです。

こんな強権的な政策は到底受け入れられるはずはないでしょう。

しかし、圧倒的なカリスマ性をもった政治家が現れれば、可能性も無くは無いと思っています。

そしてなにより、ア式蹴球部の部員はそんな政治家になれる可能性を秘めています。

大胸筋と上腕三頭筋が創り出す美しいスーツ姿。

フェードカットと七三分けが醸し出す、威圧感と清潔感。

臙脂色のネクタイ。

Dolce&Gabbana Light Blue

「第111代内閣総理大臣 清井大輔」

そんな世界線がいつか来ることを切に願って。

どうか清き一票をよろしくお願いいたします。



◇清井大輔(きよいだいすけ)◇
学年:3年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:國學院大學久我山高校


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