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【#Real Voice】 「呪いを断つ」 1年・清井大輔

「復帰には3年くらいかかるかな」

あの時の室温、部屋の明るさ、部屋の匂い、医師の表情は今でも鮮明に覚えている。
悲しいという感情とかより先に、唐突すぎて頭が真っ白になった。
別に怪我をしたわけでもなく、日常生活での痛みもなく、少し走ると痛かっただけ。
だから、手術が必要だなんて微塵も思っていなかった。

そして、この日から私はある呪いにかかることになる。
しかし、まだその時はその呪いに気づく術がなかった。

長い長い3年間を終え、高1の夏。
本当に3年ぶりの試合がやってきた(確か紅白戦だった) 。
試合の内容はもはや覚えていないが、試合中に肺が全く機能せず息ができなかったこと、試合後に生まれて初めて全身の筋肉痛を味わったことは覚えている。

と同時に3年ぶりに呪いが発動した。

「まあ、3年間サッカーやってねーし、しょうがねーか」

無意識的に出たこのセリフ。これが呪いの正体。

ポジション争いに敗れ試合に出れない時
観客席で自分のチームを応援する時
なかなかAチームに上がれない時
自主トレで疲れた時
選手権全国大会で全く活躍できなかった時

不意に心のどこかから聞こえてくる呪いの声。
もはや心のどこかに住みついているのではないかと思う程聞こえてくる。

結果、高校3年間は呪いに完敗した。

そして私は1年浪人することになる。
浪人中、勉強の合間に自分と対話した。

「この呪い強すぎるわ、もう大学ではサッカーやめて遊んじゃおうぜ」
「いやいや、お前の心が弱いんだよ、まだチャンスはあるぞ」
「お前は弱くない、よく頑張った。もう諦めようぜ」
「お前ならまだやれる。こんなもんじゃないだろ」

ってな感じで
この対話をひたすら繰り返してでた結論。


「大学でこの呪いを断つ」


だから私はア式蹴球部に入部した。
ランテストや練習生期間で度々呪いの声が聞こえてきた。
でもなんとか乗り切った。
ここでも高校と同じく一番下からのスタート。
でも高校とは違う。
一番下から一番上を常に狙う。
心に呪いが生じる隙がないくらいに努力する。
Aチームの紅白戦とかを見ると、自分がフィジカル、技術、サッカーIQ全てがまだ全然足りないのが明確にわかる。
ポジティブに言えば、その足りない部分を克服すればAチームに上がれる。
そして、Aチームで活躍すればやっとプロへの道が見えてくる。

ア式の仲間はみんな向上心の塊みたいな人たちだ。
常に上手くなろう、強くなろうとしている。
そして、アドバイスを聞きにいけば自分に何が足りないのかを指摘してくれるし、練習中では高いレベルを要求してくれる。
そんな環境でのサッカーは最高に楽しい。


そして今現在、私は肉離れで離脱中。全治3ヶ月。今シーズンの復帰は難しい。
でもなんら問題はない。来シーズン活躍するための準備期間みたいなもの。
だから期待していてください。来シーズン、私がどこまでいけるのか。



清井大輔(きよいだいすけ)
学年:1年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:國學院大學久我山高校

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