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墓場珈琲店。

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現代社会における『死』をテーマとした、フィクションの短編集です。抵抗のある方はご遠慮ください。
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#恋愛

墓場珈琲店。

墓場珈琲店。

霜のように張り詰めた空気。
降り積もる雪。
悴む手。

長靴が雪を踏みつける感触を確かに感じながら、俺は歩いていた。

今日はクリスマス。
まるで光の粒子があたり一面に飛び散ったみたいに、
町は煌びやかに輝いている。

そんな中、無論、俺の心も弾んでいた。

クリスマスで心が弾む、と聞けば、考えられるのは一つだけだろう。
そう、俺は今日、とある女に告白をするのだ。

アルバイトで忙しげな学生、

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墓場珈琲店7。

墓場珈琲店7。

「うげぇぇ、どうしよ、これぇ…」

私は目の前にあるモノをみて、ため息をついた。
そこには、もはや骸と化した黒色の液体──すなわちチョコレートがブチまけられている。

こんなはずではなかった。

理想ではもっと上手にチョコレートを作って、今日という日を大成功させるつもりだった。
しかし、現実はそううまくはいかないもので。

チョコレートの作り方を知らぬまま、インターネットでカカオを注文。
そこから

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